第四十三章
(゜A ゜;)あのっ…また長くなっちゃいました…完結に向けてなので許してやって下さい!
外の騒ぎが収まるまで倉庫に潜む事にした悠呂だったが、この騒ぎの中でもここへ入ってくる研究員がいるかもしれないと用心する事にした。
取り敢えず辺りを見回し身を隠せる物を探す。すると丁度歩いて2、3歩先に大きな空き箱らしき段ボールを見つけた。 それを出口近くで、外の様子を窺える壁際でこの箱を置いていても怪しまれない場所はないかと探してみる。
「!!??」
この箱と同じ様な段ボール箱の群を見つけた。
悠呂はその置き場所の周りをじっくり目で追ってみる。
「…なんとかいけそうだね。」
と独り呟くと、空箱の近くを腰を低くして素早く移動した。その箱の中を覗き込み、何もない事を確認するとそれを頭から被って、取っ手口を中からつついて開けた。
「よしっ!」
悠呂はそのままの恰好で、カサカサと段ボールの群に移動する。
(……何だか、コントみたいだけど…仕方ないよね…。)
そんな事を思いながら、なんとか段ボールの群に到着すると一度空き箱を脱ぎ、壁際にある群の段ボールを除ける。
「……うっ!!」
どけようと持った段ボールはやはり、箱の大きさ通り重かった。
「ふわ〜…、やっぱり重いや…。」
と手の埃をパンパンと叩きながら独りごちた。
(…ここに、はじめ君がいたら張り切ってどけてくれるだろうな……いやっ面倒臭え!ってむくれるかな?)
ふとそんな事を思って、悠呂はハッとすると首をブンブンと振った。
顔と気持ちを引き締めて、先程の箱の端を掴むとズルズルと手前に引く。
その箱を横によけると、再び空き箱を被りその空いた隙間に潜り込んだ。
壁際だけあって外の物音が聞こえる。どうやらまだ騒ぎは収まる気配がないようだ。
(…一体、何があったんだろう?)
壁に耳を近づけてみるが、箱の厚みもあってはっきりとはわからない。何か叫んでいるだろう声と、廊下を走る数人の足音と振動、それだけが今わかる情報の全てだった。
(……何だかわからないけど、もしかしたらこれがチャンスかもしれない…この騒ぎに乗じて動いていれば難なくあいつの居る場所に辿り着けるかもしれない…。)
箱の中で高鳴る鼓動を感じながら、悠呂はこの騒ぎが収まるのを待った。
何分経っただろうか、ガクンと自分の頭が動いた感覚で目が覚めた……どうやらこの箱の暗さと狭さ、見つからないだろうという安心感で眠ってしまっていたらしい。
(あっ…しまった…寝ちゃった…。)
慌てて悠呂は壁際の方へ耳をやり外の様子を窺う。
……何も音がしない。箱の穴から倉庫内を見て誰もいないと確認すると、箱を脱いで今度は直接壁に耳をそば立ててみる。
……やはり、音がしない。
「…収まった……のかな?」
と呟くと後ろを振り返り、倉庫内の音も拾ってみる。
やはりシーンとして耳鳴りがする位静かだ。
悠呂は、意を決し箱の群から静かに這い出て辺りに警戒しながら、度々棚等に身を隠し出口付近に近づいた。
そこに身を縮めて再度、冷たい扉に耳を当て外の様子を窺う。やはり、音はしない。
さっと右側の開閉ボタンパネルのある壁に移動し、立ち上がって壁にぴったり背をつけると開閉ボタンに手を伸ばした。
扉はプシュッとエアーが抜けるような音を上げ、ゆっくり開いた。
しばらく開けたまま、誰か入ってこないか警戒する。
誰も入って来ないようなので、そろりと外の様子を窺った。
「…うぅっ!!」
ずっと薄闇の中にいたせいか外の蛍光灯が眩しい。目をすぼめながら外を見回してみる。
眩しいのもわかる…蛍光灯に次いで、壁や天井までが清潔感を見せる為、真っ白なのだ。
そんな壁や天井から目を離し、だいぶ明るさに慣れた目は左右に伸びる廊下を捉えた。
先程の騒ぎが嘘の様にガランとした廊下だった。
(……今しかない!)
そう思った悠呂は、倉庫からゆっくり廊下に出た。
左右に伸びる廊下を交互に見て、どちらに進むべきかと悩んだ。
(うーん…どっちだ?)
何度左右を見ても見当もつかない。
(……よしっ!右だっ!)
と右へ進むことを決め歩き出した。奥へ奥へ進むにつれて一抹の不安がよぎる。
今は誰一人出くわす事はないが、こんな事がずっと続く訳がない。研究員に見つかってしまえばアウトだ。
その思考が自然と目を動かす、どこかにすぐ逃げ込める場所はないかと…。
一つ扉らしき物を見つけた時だった…。
どこからか人の声と靴音が、自分が歩く先の角の方から聞こえてくる。慌てて先程見つけた扉に何の確認もせず飛び込んだ。
あまりの事で心臓も早鐘のように鼓動を打つ。
本当に危機一髪だった。すぐに目の前を通る人の声。内容は良く聞き取れないが低い老齢な感じの声の男性と、なんだか慌てたような口調の…研究員だろうか?年若い声が会話をしながら通って行った。
2人の声が遠ざかっていったのを聞いて、悠呂は溜息をつくと空気を抜かれた様にヘナヘナとその場に座り込んだ。
「はぁ〜…危なかった…。」
と片手で顔を覆うと、はっとした。何も確認せずここに入ってしまった事を思い出し、顔を上げ辺りを窺った。
幸い、人は居ないようだが辺りが静かなせいもあって、何かこの部屋の奥から聞こえてくる。
もっと良く聞こえるように、悠呂は四つん這いで奥に行ってみる。
今度はハッキリと聞こえる。水を沸かすようなコポコポといった音。
「……なに?」
悠呂はゆっくり立ち上がって更に奥に進んでみる。
この部屋も、倉庫同様に薄暗いのもあって周りの様子が良くわからない。
何かに蹴躓きながら音のする方へと歩く。
進めば進む程、音は大きくなる。
段々と辺りがうっすら明るく足元が見えてきた。本やら資料やらが床に散らばっている。
その資料の一枚を手に取って見てみるが、良く解らない。
それをもったまま、先へ行こうとして足が止まった。
微かだが薬品の匂いがしてくる。
「…ここは…実験室?」
そう呟くとまた歩き始める。
ぽぉ〜と光る入り口をくぐると、悠呂は唖然とした。
目の前には蛍のような光りを放つ大きな水槽が現れたのだ。
悠呂はその大きな水槽を見上げた。
「……ん?」
しかし、良く見てみるとそれは大きな水槽ではなく、壁の端から端までびっしり並べられた指三本くらいの太さの試験管だったのだ。
「…なんで?」
驚いた悠呂は更に近くまで近づけて、そのズラリと並べられた試験管の内の一本に目をやった。
コポコポとする水泡以外に、何かが見えた。
「……何だろう?」
目を凝らしてみる。中で何かがピクリと動いた。
「へっ………?」
と声を漏らすと、手に持った一枚の資料を落とした。
試験管の中で、再び何かが動く。
「……ふっ…うぅっ…うわああああぁっ!!」
と悲鳴を上げて、腰が抜けたようにその場に尻餅をついた。
そのまま、後退ろうと足をバタつかせたが上手くゆかない。
「……うっ!!」
途端に、胃の中の物がせり上がってくる感触がして慌てて口を押さえたが、堪らず横を向きもどした。
蛍光色の水の中には胎児らしきものが入っていた。
大量の投薬による副作用なのか、人とは似ても似つかぬ姿に変形してしまっている。
「…かはっ!…はぁはぁ…。」
口を拭い、荒い息をしながら悠呂は呟いた。
「……なんなんだよぉ…ここは…。」
(´∀`*)え〜長らくお待たせしました♪四十三章…いやぁ〜週刊誌並みに更新と意気込んでいましたが…(T0T)ドツボにハマったスランプ期…(T∀T)抜け出せませんでしたぁ〜なはははっ泣今回のはいつもに増して、脱出不可能な迷路に捕らわれた様でした…(・ω・)9゛しかっし!それでも読者様のあっつい声援により更新する運びになりました!(´∀`)応援してくれてる読者様ぁ♪いつもありがとうございます♪次回も見捨てず、楽しみにしてて下さいね♪