第三十一章
まだ薄暗い早朝、星羅は悠呂宅の玄関前に出た。冷たい風に息をはけばまだ白く流れる…もう春だというのに。
階段状になる玄関の先に星羅は腰を下ろし、白銀の長い髪をそよがせ夜明け前の薄紫色の空を見上げた。
「……おはよー。早いね。」
と声を掛けられ、星羅はビックリして振り返った。
そこに立っていたのは焦げ茶色の小さいブランケットにくるまって寒そうにしている黒髪の似合う少年だった。
その少年は、優しい笑顔を向けると傍に寄ってきて自分の横を指さすとこう聞いてきた。
「ここ……座っていいかな?」
「……うん。」
と応えるとその少年はフワッと自分の横に座った。
「まだ、このくらいの時間帯だと寒いねぇ〜。」
とその少年は腕を寒そうにさすると、こちらを見た。
「君は、寒くない?」
と聞いてきたので、
「少し……。」
と言って体をさすってみると自分でも驚く程冷たかった。
「あっ…ちょっと待っててもう一枚、ブランケット取ってくるよ。」
と彼はまたフワリと立ち上がった。何故か彼が自分から離れてしまうことに、少し不安をおぼえて気が付くと彼の手を取って首を横に振っていた。
(行かないで…。)
の意味だと思う。しかし、彼の笑顔は私が遠慮しているのだと思っている。
「……じゃあ、はいっ。」
と彼は自分のくるまっていたブランケットを渡してくれた。
「…えっ、でもっあなたが…。」
と言うと彼は笑って
「いいよ。」
と言うと再び横にフワリと座った。
すると、一点を見つめたまま話始めた。
「昨日は…僕、びっくりしちゃった。」
「えっ?」
と彼を見ると彼はクスリと笑って…。
「父さんの話…僕、父さんは普通の職業で母さんと一緒に新星開拓に行ったんだとばっかり思ってた…ふふっ。それがいきなり帰ってきて、秘密警察だって言われても普通信じないよね?」
と彼は幸せそうに笑った。そんな幸せそうな横顔が見たくなくて視線を逸らした。
「…それが…君のお父さんを監視する為だったなんて…。」
と彼の言葉が途切れたので再び横顔に視線を向けると、彼の顔は悲しそうだった。その悲しい横顔が自分の今までの悲しさと重なって、胸が重くて痛くて苦しく耐えられなくなって俯いてしまった。
「…どうしたの?…まだ、寒い?」
と彼は覗き込んでくる。私は無言で首を振った。そして、顔を上げて彼の顔を真正面から見た。
(この際、すべて…すべて話してしまったら…楽になるかもしれない…。)
目の前の彼はキョトンとしている。
(でも…でも、こんな事この人に話したって…。)
「あのっ…寒いなら、中に入った方が…。」
「…今…から話す事、誰にも言わないで…。」
「えっ?」
と問い返す彼を無視して私は、話し出す。
「……私は…もしかしたら、ここにいてはいけない存在かもしれない…。」
「…………それは。」
また問い返すのを無視して先を続ける。お願い、全て話させて…お願い。
「私は…私は…。」
声が震える。認めたくなくてずっと言葉にしなかった言葉。
「クローンかもしれないっ!!!」
「えっ………?」
彼は驚きの声を上げたがそれ以上は何も言わなかった。
『自分はクローンかもしれない。』
誰にも言えなかった事を言えて安心してしまったのか、怖かったのかたちまち震えが立ち上ってきて目頭が熱くなってくる。見られたくなくて俯いた。
そんな私を彼は黙って見てる。恐らく驚きと、そんな事を告白されて困惑しているのかも……。でも、彼は違った。
「……大丈夫?」
その優しい声が信じられなくて、顔を上げたら目に溜めて隠してたものが溢れた。そんな私の顔に彼は心底びっくりした顔をしていたと思う。何故なら私は彼の胸に縋って泣いていたから。
Σ( ̄□ ̄;)新事実発覚!!なっなんとっ!悠呂くんの髪の色はバリバリアジア系の黒髪なんですねぇ〜彼はノーマルジャパニーズ種なんですねぇ〜えぇ〜本編で解説できないつけをここで払っております…えぇ〜はじめくんはですねぇ〜この物語では一般種の三種混合種となってます。日本人+アメリカ人(外国人全般)+火星人なんですねぇ〜。星羅ちゃんの白銀は珍しいのです。まっ副作用だしね。以上あさぎでした。