第二章
悠呂は、昨夜のあの人影が気になって一睡もできなかった。
確かあそこは、まだ開発途中の土地でしかも立ち入り禁止区域だ。
関係者以外は誰もあそこへは近づかないはず。
それにと悠呂は思う。
あのシルエットはどう見ても、男性では有り得なかった。
何故あんな所に、あんな時間に女性とおぼしき人影が…。
と、寝返りを打った時だった。
また、リビングから家政婦ロボットのミラハが呼んでいる。
睡眠を取っていない体は重かった。
ゆっくりベッドから起き上がると、重い足取りでリビングに向かった。
「ミラハ、何?どうかしたの?」
「お休みのところ起こしてすみません。はじめさんがおいでです。」
「えっ」
と言うとリビングの時計に目をやった。時計は午前6時を少し過ぎたところだった。
「…分かった。着替えるから中に入ってもらって。」
と言い残すとノロノロと部屋に戻って行った。
部屋で着替えて再びリビングに戻ると、あの見慣れたツンツン青頭が不慣れにソファーに腰掛けていた。
「お早う、はじめくん。どうかしたの?こんな朝早く…。」
と声を掛けると弾かれたように顔を上げ、軽く手を上げて挨拶した。
「よっ…。」
その表情は固い。
悠呂は首を傾げながら真正面のソファーに腰を掛けると、ミラハがスっとお茶を出してくれた。
それに口をつけると突然、切り出してきた。
「悠呂!もう一回あの場所に行ってみねぇか?」
「えっ?」
「俺、あれが気になって寝れなくてよぉ。なんか、変だったじゃん…。」
口に含んだお茶をコクンと飲み込んで悠呂は、カップを置いた。
「そうだね…僕も…気になってたんだ。」
まだまだいきますよぉ♪