第二十八章
「なんでそんな事になんだよっ!!」
と悠呂の部屋にはじめの怒声が響く。はじめの目の前のベッドには俯く、悠呂と星羅。
「お前っ!その子連れ帰ってきちゃマズいだろがっ!!」
「ごっ…ごめん…。」
「俺に謝られても困るっ!!」
と怒鳴ると星羅はびくりとして悠呂の腕にしがみついた。
「つうか…あんたっ…あんたもなんでノコノコついて来ちゃったんだよ…。」
「ごっ…ごめんなさい…。」
と彼女は、自分が仕出かした事の重大さに気づいて更に震えた。
そのやり取りを、悠呂の父親はドア口で腕組しながらじっと聞いている。
「俺をほっぽって、勝手な事しやがって!」
と青筋を立てて怒るはじめの肩越しから悠呂は黙ってこちらを見ている父親に目を滑らせた。
「おまえっ聞いてんのかっ!」
と言われて悠呂は視線をはじめに戻し頷いた。
「おまえっ…」
とはじめが喋ろうとしたのを遮って悠呂の父親は静かに、そして凄みのある声で聞いてきた。
「彼女は、あのアスラビ・尾崎 修造の娘ではないのか?」
と聞かれて、三人は一気に固まってしまった。
「…そうなんだな?」
と聞かれて答えたのは当の本人だった。
「はいっ…私は、アスラビ・尾崎 修造の娘です……。」
と少し声が震えていた。しーんと静まる部屋に父親の低い声が聞く。
「悠呂、これはどういう事だ?」
悠呂はそう尋ねる父親を振り仰いだが彼の強い眼差しが痛くてすぐに視線を逸らしてしまった。
黙っていると、どうなんだと父親はまた低くそして威圧感のある声で聞いてきたので顔を上げると、彼の強い眼差しに根負けしてポツリポツリと話始めた。
「じっ…実は、卒業式の日の帰り……。」
と全ての事情を、静かに語る。父親はそれをじっと聞いている。
はじめは、先程までのアホ丸出しの彼とのあまりのギャップの違いに唖然とした。
全ての話をじっと聞き終えた父親は、腕組を外すとツカツカと悠呂の前に行き有無も言わさず襟首を掴んで持ち上げた。それに悠呂は驚き目を見開くといきなり襟首がくっと締まった。苦しさに目を閉じていたらいきなり背中に痛みが走った。一瞬、何かわからず目を開けてみると父親達のいる部屋が遠のいていて初めて自分が投げ飛ばされたのだとわかった。
父親は物凄い剣幕で、こちらに向かって歩いてくると再び襟首を掴んた。
「お前はなんて危険な事をすんだっ!!人様に迷惑までかけて!!こんなに心配までかけてっ!!」
と怒鳴られた。何故だかわからなかったが、目頭に熱いものを感じてとっさに顔を背けた。
「ごめんなさい…。」
と震える声でそれだけを言った。
父親は乱暴に襟首を離すと、腕のボタンを何やらいじりながら玄関に向かい、そのまま外へ出て行ってしまった。
その場でうなだれていると、はじめと星羅が駆け寄ってきた。
「おいっ悠呂!大丈夫か?」
「………うん。」
( ̄∀ ̄)今は少ない、父親の愛情表現を表してみた文章です♪果たして最近ではこんなに真剣に怒ってくれる父親は今の世の中に何人いらっしゃるんでしょうか?




