第二十七章
「おいっ!見つかったか?」
「いえっ…まだ…。」
「くそっ!ここの地図はダウンロードしたんだろっ!」
「はいっしました…だけどこう横道が多いと…。」
「つべこべ言わず探せ!」
そんな会話を壁越しに聞きながら、悠呂達は息をひそめ様子見をする。
「おいっ!そっちを探せ!」
と怒声と共に機械音が離れていく。
二人は安堵の息を洩すとズルズルとその場に腰を下ろした。
「はぁ〜…君、大丈夫?」
と声を掛けてみたものの、コラルロッドの明かりをすべて切ってしまっているので彼女が見えない。
しかし肩の辺りにフワフワと何か、かかるものがあってそれで彼女が頷いているのだと確信した。
「これからどうしょう…。」
と呟きながら悠呂は辺りを窺ったが、真っ暗で何も見えず平衡感覚も失う感じだ。
一つ息を吐くと、壁から少し顔を出し先程まで追尾班がいただろう辺りを見てみる。
この横穴よりはうっすら明かるいそこには誰も見えず、耳もそばだててみたが何かいる気配や音はしなかった。
「……………。」
悠呂は手探りでコラルロッドを探した。
「なっ…何をするの?」
と彼女の震える声を聞いて悠呂はとっさに手を引いた。
「あっ…ごめんっ!どっか触っちゃった?」
「ううんっ違うのっ…あなたはどこも触ってないわっ。紛らわしい言い方してごめんなさいっ。今から何をしようとしているの?」
「はぁ〜良かった…ドキリとしたよ〜ここ真っ暗でわかんないから明かりを点けてみようかと思って…。」
「……大丈夫なの?」
「うん…多分。一応外の様子を見てみたけど誰もいないみたいだし…。」
と説明しながらも悠呂はコラルロッドを探し固いものに触れてそれだと確信すると、手慣れたようにライトを点灯させた。
あらかじめ、中に突っ込む形で入れたコラルロッドだから明かりは横穴の奥を照らし出した。
しかし、奥が深いのだろうか明かりがあてられているのに先が見えない。
「…先が…見えない…。」
と悠呂が呟くと、隣にいた彼女が
「…という事は…まだこの先があるという事?」
「…そう…かもね。」
「どうするの?」
と彼女が見上げきた。悠呂は奥を見たまま、彼女の問いに答えなかった。
(もしこの先に行っても…出口は見つからないかもしれない…最悪、追尾班と出くわすかもしれない…でも、このまま逃げまわっても…一か八かやってみるか…。)
とそんな思考に悠呂は、はっとした。
先程から自分でも驚く様なこの思考と行動はなんだ?今までの自分なら信じられないことだ…そう思う何だか知らない高揚感が湧いてくる。
「行こう…。」
そう言うと悠呂はコラルロッドに跨った。
「えっ…でも…。」
「一か八かさ…そうなったらなったらでその時考えようよ…さっ乗って。」
と言うと彼女は一瞬躊躇う素振りを見せたが、何か決心したかのように大人しく後ろに乗った。
「じゃっ行くよ?」
「えぇ。」
と言葉を交わすと、悠呂はアクセスを回した。
走らせてみたものの、そこはただひたすら真っ直ぐ進むだけで横道が一つもないのに、少し焦っていた。それは後ろに乗る彼女もそうらしく、腰の辺りを掴む彼女の手は少し震えていた。
しばらく走らせていると、何やらうっすら明かるい場所に出た。
その明かりで辺りの様子がくっきりわかり、そこの広さも窺えた。
「なんだろ?この場所…。」
と首を巡らせていると後ろの彼女が何かに気づいたらしく声を掛けてきた。
「ねぇ?うえっ…ほらっ…上を見て。」
コラルロッドをそこで停止し乗ったまま言われるままに見上げてみた。
「…出口?」
「わからないけど…なんか…木蓋みたいなのから光が漏れてるみたい…。」
「………………。」
「出られるかしら…。」
そう呟く彼女の声を聞きながら、悠呂はゆっくり視線をおろし残りの燃料を確認した。 そして、再び上を見上げ決心した。
前進から浮上に切り替え、ハンドルグリップから足下のペダル操作に切り替えた。それに気づいた彼女は、
「ちょっ…ちょっと何をする気なのっ?」
と問うてきたが悠呂は上を睨みながら
「しっかり捕まってて!」
と言うと足元のペダルを思いっきり踏み込んだ。
コラルロッドは、勢い良く浮上を始める。
「きゃあっ!」
悠呂はその勢いに構わず、その木蓋らしきものに頭から突っ込みその蓋を突き破った。
少しクラクラしたが思いっきり外に飛び出した。
(*^-^)b 今回はパッと思いついたので忘れぬ内にチャチャッと書いちゃいました。
ヽ(゜▽、゜)ノこの次はまたぱったりと書かなくなるかも〜うへへぇ〜