第二十六章
悠呂の父親は、はじめに指を突きつけると
「思い出したぞっ!その青い髪!生意気そうな顔!お前はあのっ泣き虫寝ションベン小僧のいっちゃんだな?」
と言われて、はじめは一気に顔が火照ってくるのがわかった。
「なっ…なんでっ…」
と問い返そうとすると、それを遮るかのように悠呂の父親は話始めた。
「あれは…確か出勤前だ。俺がお前の家の前を通るとだな、なぁ〜んかガキがわぁわぁ泣いてやがったんだ。それで何事かと思って家の中をちらっと覗いてみたら…ぷぷっお前が下半身丸出して泣いてたんだよ…。」
と話しが始まったのではじめは赤面し、俯いた。それでも、彼の話は続く…。
「なんでかと思って辺りを窺ったらさぁ〜お前の母親が布団干してんだよぉ〜なぁ〜んか辺な地図が書いてあったなぁ〜ぎゃははははっ!」
「いっちゃん!オシッコの時はちゃんと言わなきゃダメでしょ!」
と茶化してくるのではじめは
「いっちゃんって呼ぶな!」
と怒鳴った。すると更に更に悠呂の父親は話を続ける。
「お前ぇ〜うちの悠呂を良くいじめたろ?確かあれは…そうそう…。」
とまだまだ続く彼の話をはじめは赤面し俯きながらやり過ごしていると彼の話声が遠く感じ、はっと我に返ると声は止んでいた。
どうしたのかと顔を上げると目の前にいた筈の悠呂の父親の姿が忽然と消えていた。
「あっ…あれ?おじさん?どこいっちまった?」
と首を巡らせていると奥の部屋からミラハを呼びながら、部屋着に着替えた彼が現れた。
「おーい!ミラハちゃん?俺の部屋、誰か入っちゃったの?」
「さぁ〜私は入るなと言われてますので入っておりませんが…。」
と会話を交わす二人に目をやりながら、はじめはドキリとした。
「ふ〜悠呂ちゃんが入っちゃったのかな?」
と言うとはじめの目の前のソファーに腰を下ろした。
話を逸らす目的もかねて、はじめは彼に質問してみた。
「おじさん、なんで帰ってきたの?」
そう聞かれて悠呂の父親は、紅茶を飲む手を止めた。
「なんでって…何年ぶりかに息子に会いにさ…。」
と言うと紅茶をすすった。
「なんで?だってまだ冥王星の新星開拓プロジェクトは終わってないぜ?」
と言うと、目の前彼は紳士に格好をつけて飲んでいた紅茶を噴水の様に吹き出した。
それにはじめは驚いていると、悠呂の父親はミラハを手招きして何やらごにょごにょ話始めた。
「ちょっと〜んミラハちゃ〜ん…俺、今そんな仕事しちゃってる事になっちゃってる訳ぇ?」
「えぇ〜まぁ〜。」
「あんのっタコ親父!今度いっぺんたこ焼きにしてやるっ!」
と謎の言葉で怒鳴ると、きりっとこちらに向いて彼は質問してきた。
「ところで…いっちゃん…悠呂は?というか君はここで何をしているんだね?」
と聞かれてはじめはまた、ドキリとしたが平常心を装い何食わぬ顔で質問に答えた。
「いっちゃんは止めて下さい…俺は、今日悠呂と遊ぶ約束をしていて…それで来てみたらいなかったので帰って来るまで待たしてもらってるんです。」
と言うと先程までのアホ面を一変させ、自室に顔を向け再び正面を向くと、じっとはじめの顔を見て、一つ溜め息をこぼし顎に手を添えた。
はじめは、なんだか内心ドキドキしていたがなんとか顔に出さずその様子を見守った。
すると、彼が何か口を開きかけるとどこからか呼び出しらしい電子音が鳴り出した。
はじめはどこから鳴っているのだろうと探していると、悠呂の父親の右手から小型モニターが出現した。
モニターの中に一人の若い男性が現れると、悠呂の父親は更に渋い顔をして
「ここには掛けてくるなと言ったはずだ!」
と先程の間抜け声が嘘の様な凛々しい声でその若い男性に怒鳴ると、中の青年はすみませんと返した。
そのやりとりを見て、はじめは目の前の彼はただものではないと悟った。
(・_・;)逃避しまくって気がついたら2ヶ月経っちゃってた…あははっ
o(^-^)oまっ♪こんな奴ですがこれからも末永く宜しくお願いします
m(_ _)m