第二十二章
悠呂は、勢い良くマンホールらしき穴にコラルロッドを中に走らせたが車体は下に急降下していく。
「うっ…うわああああぁっ!!!!」
「キャアアアアアァっ!!!」
車体は暗闇に飲み込まれていく。
混雑していた追尾班は体制を整え直し、悠呂達の追尾を再開しだした。
「あの、ガキはどこだ?」
とその中の隊長らしきフルフェイスの様な仮面をした男が、後ろに控える同じ様な格好の2人に問いただした。
「はっ!……只今、付近を捜索中です。」
とその中の独りが敬礼をして答えた。
「早くしろっ!」
とその隊長らしき仮面の男は苛立った様子で指示を出した。
「はっ!」
と後ろに控えた2人は敬礼をするとその場をすぐさま離れ、自分達のバイクに跨ると他の隊員に混ざり捜索を開始した。
下に落ちていく感覚に意識朦朧としかけた悠呂だったが、気を取り直しハンドルグリップを握る手を強め、足元の非常用浮上ペダルを出すと思いっ切り踏み込んだ。
車体は、下に落ちる力と反発しながら下降速度を徐々に弱め、大きな水しぶきを上げて止まった。
「ふぅ……。」
と安堵の溜息を零し、後ろを振り返った。
「……大丈夫?」
と声を掛けると彼女は、悠呂の背中に額を埋めて踏ん張っていた力を解きゆっくりと顔を上げた。
「…えっ…えぇ。なんとか…。」
と力なく彼女も溜息をついた。
そんな彼女をみやって、悠呂はゆっくり自分達が落ちてきた穴を見上げた。
「うわっ…穴があんなにちっちゃい…そんなに深いとこだったんだ…。」
と声を上げると、後ろの彼女も同じように上を見上げた。
「…そうね。」
2人は暫く黙ったまま上を見上げていた。
「…追っ手…ここまで来るかしら…。」
「う…うん。わからないけど…とりあえず、ここを動こう。」
そういうと、悠呂はコラルロッドのグリップを回しゆっくり車体を走らせた。
中は真っ暗で、コラルロッドのライトが当たらぬ所は本当の闇だった。
どうやら、コラルロッドが走る下は水のようだとしか判らない。
徐々に先を進めていくといくつかの分かれ道があるのがわかる。
辺りを見回しながら悠呂は、呟いた。
「ここは……下水道?」
同じように星羅も辺りを窺っている。
「しかも、なんだか…古いような…今は使われてないのかなぁ…夜道で良く判らなかったけど…住宅ってあったかな?」
「私も、追っ手に気を取られてて周りを見てなかったから…判らないわ。」
「逃げるので、必死で勢い良く飛び込んじゃったけど…。」
と言うと星羅は不安そうに悠呂を見上げてきた。
「これからどうするの?」
そんな彼女の、不安そうな顔を見つめて悠呂は、
「……なんとか、僕の家の方向に走ってみるよ。」と笑顔を向けた。
(~д~:) 携帯での編集には限界を感じます…文字数が入らず最後の方はカッツし、次回にまわす所存です…はぁ〜…