第十八章
星羅は父親の寝息を聞き、寝返りを打った。
そして眠る姿を確認すると、静かに体を起こし部屋を出た。
軽く身支度を整えると、一人闇夜に消えて行った。
一方、悠呂ははじめを玄関先で見送り中に戻ると一通りの生活習慣を終え早々に床についた……が、あの場所が気になり、のっそりとベッドから起き上がると身支度を軽く整え、こっそり自分の部屋からキッチンを窺った。
キッチンでは、ミラハが充電をしているらしく、暗闇に赤く目を光らせて動く気配がなかった。
それを確認すると、悠呂はすぐさま地下に降りてコラルロッドに跨ると禁止区域へ走らせた。
一人、警備兵にも見つからぬフェンスの一つに辿り着いた星羅は、じっとその場で思い詰めたように俯いていた。
暫く俯いていたが何か意を決した様に顔を上げ、フェンスに手を掛けた時、後ろから何か機械音らしき物が聞こえたのでとっさに木の陰に隠れて様子を窺った。
立ち入り禁止区域に到着した悠呂は、すぐにエンジンを切り跨ったまま警備兵の目に触れぬ様、暗闇の中へ入った。
そこで暫く辺りを窺い、コラルロッドから降りると目の前のフェンスに静かに近づいた。
(……夜は意外に、暗闇があるせいかバレずに済みそうかな…)
と身を低くして周りの様子を見てみる。そして、フェンスを見上げた。
(……難関は…これかな…テッペンて高圧電線とかなんか仕掛けあんのかなぁ…ちょっと登ってみようか……どうしよう…)
とあちこち見ながら、登って調べるかどうか逡巡していると……。
「あなた…こんな所で何をしているの?」
と声を掛けられ、悠呂は肩を震わせた。
「……答えなさい。」
と女性だろう声に、悠呂は恐る恐る振り返ってみる。
そこには、あの卒業式の帰りに見た白い服に身を纏った女性と思しき人物が、木の陰からこちらに向かって歩いてくる。
少し、恐怖に後退りした悠呂はしかし、暗闇に目を凝らしてみた。……脚はある…幽霊ではない様だ……。
その女性は、悠呂の目の前で立ち止まった。
「……あなた…確か、こないだの…。」
と言われ、悠呂は彼女の脚から視線を上げた。
「あっ……きっ君は…。」
と言うと彼女の顔は瞬時に、あの時の様に険しくなった。
「あなた…何しにきたの?」
その表情に気圧されながらも悠呂は反論した。
「きっ…君こそ、こんな時間に何をしてるのさ?」
「わっ…私は…。」
と口ごもると彼女は、すっと表情を変え視線を反らした。
(*´д`)〜з はぁ〜なんと申しましょうか……物語に展開をもたすことの難しさ、それを文章で表す難しさをつくづく感じました……はぁ〜小説って奥が深い…