第十六章
………ホタルのように、ぼぅと光る物の中を悲しそうな表情でじっと見つめる少女がいた。
周りは静かで薄暗い、彼女の見ているものはなんなのかはよくは見えなかった。
「……ら。……いら。」
と声がして彼女は、はっと我に返った。
「せいら…星羅…どこだい?」
老人と思しき声が奥から聞こえてくる。彼女は、静かにその場を後にした。
鉄の扉をそっと開けると車椅子のまま机に向かう老人の背中があった。
「お呼びでしょうか?お父様。」
と彼女はその背中に話しかけると、老人はこちらに顔を向けた。
「おぉ…来てくれたか。行き詰まってしまった…少し外の空気を吸いたいんだが…。」
と話す老人は、真っ白い髭をたくわえ微笑ましく目を細めている。
彼女がそこに居てくれる事が心底嬉しいようだ。
一方、『星羅』と呼ばれた彼女は、こちらに顔を向ける老人の机の上に飾られている写真立てを見て少し顔を曇らせ、老人から目を反らした。
「ん?どうした?星羅。」
と心配そうに聞く老人に
「いえっ…。」
と答えると静かに、彼に近づいて車椅子を引いた。
薄暗く長い廊下を星羅は、黙って出口に向け車椅子を押していると、老人が話し掛けてきた。
「…星羅…最近、子供達はどんな様子だね?」
「…みんな、元気ですわ。」
「そうか……。」
と言うと老人は、右手をすっと挙げたので星羅は車椅子を止めた。
「お父様?」
「いやっ…いい。進んでくれ。」
と言われたので星羅は再び、車椅子を押した。
出口が見えてきた辺りで老人は彼女を振り返り
「星羅…なにかあったのか?」
と聞いてきたので星羅は、驚きを見せると顔を少し曇らせ俯いた。
すると外側から警備兵が鉄の大きな扉を開けたのでまばゆい光が襲ってきた。それに目を細め、車椅子を外へ押した。
外は晴天だが、心地よい風が吹いていた。星羅は車椅子を押して、敷地を歩いた。
「なにか…あったのだな…誰かに何か言われたのか?」
と聞かれ、星羅は精一杯明るい声で
「いいえ、お父様。」
と答える。
「じゃあ…なぜ、お前はそんな悲しそうな顔をする?」
と言われ、星羅は足を止めた。心地よい風が、彼女の白銀の長い髪をなびかせる。
彼女は俯き、机の上にあった写真立てを思い出していた。
「いえ…っ別に、なんでもないですわ…お父様。」
「………。」
そういうと、再び車椅子を押し老人のお気に入りの場所へと歩いた。
(`・ω・´)読者のアドバイスを受け、少し違う角度から書きました!これで、少しは面白く深みのある作品に仕上がるかなっと……(~д~:)しかし、ど素人丸出し…お恥ずかしい…頑張りますのてこれからも宜しくです♪