第十一章
悠呂を見つけた警備兵は
「なんだ?お前は?ここで何をしている?」
と厳しい口調で問うてきた。
自分に気を取られている警備兵から、隠すように悠呂ははじめを背に隠した。
「えっ…えっと、この辺で落とし物しちゃって…。」
「なに?落とし物だと?」
「はいっ…その。」
と会話の隙に悠呂は、後ろ手にはじめに
「ここから離れろ」
と合図した。
はじめはそれを見て、こっそり警備兵の死角へ回りその場を離れた。
はじめがその場を離れた事を確認した悠呂は、軽い溜め息をつくと警備兵は不審そうに悠呂の後ろに目をやった。
「なんだ?後ろに何かあるのか?」
「あっ…そのっ別に何もありません。」
「怪しいな。そこをどいてみろ!」
「やっやだなぁ〜何もありませんよ。ほらっ。」
と警備兵に後ろを見せた。
それを確認する為にこちらに来た警備兵は、辺りを検分すると、ピタリと動きを止めた。
それに冷や汗をかきながら様子を窺う悠呂に警備兵は冷たい眼光で、こちらに向くと、
「あそこにいるのは友達か?」
と指を差したので、そちらに視線を移すとはじめがコラルロッドの座席に座りながらこちらを見ている姿を見つけた。
「そっそうです。一緒についてきてもらったんです。」
と答えるとまたも不審そうにこちらをじっと見ている。
「あっ…あのっ。」
と悠呂が言いかけたのを遮って警備兵は、またも厳しい口調で問うてきた。
「で?何を落としたんだ?」
「えっ?」
「え?じゃないだろ!探しておいてやる!明日にでも取りに来い。」
「あのっ…えっと鍵です。」
「ん、鍵だな?わかった。今日のところは帰りなさい。」
と警備兵は無理やり、悠呂を後ろに向かせ背を押した。
「あっあのっ!」
と抵抗しながら悠呂は、警備兵に振り向いた。
「質問なんですけど、ここは立ち入り禁止区域ですよね?」
警備兵は、悠呂を後ろに再び向かせながら
「ああ。そうだ!早く帰りたまえ!」
と押し戻してくる。それに踏ん張りながら悠呂は更に質問をした。
「どうして、おじさん達がいるんです?」
「わからん奴だなぁ〜、禁止区域だからだ!さっ早く行け!」
「ちょっと待って!だっておじさん達、ここ2.3日ぐらいからでしょ?警備してるの。」
と聞くと明らかに表情が変わり、押し戻す力も強くなった。
「さっ!早く帰りなさい!」
と突き飛ばされた。
悠呂は今度は、大人しくそれに従い立ち上がるとはじめの方に歩きだした。
(ここには、何かある。)
悠呂はそう確信した。
なんだか来ない間に、『小説評価』なる機能がついててびっくりしたのと、かなりのプレッシャーでガクガクの愁真です。評価の程、よろしくお願い致します。m(_ _)m