第10章
夕方までそこで粘った悠呂とはじめは、警備兵の様子を窺っていた。
「はぁ〜まだ、ここにいんのかよぉ〜俺腹へっちまったよぉ。」
と木にもたれてボヤく、はじめをよそに悠呂は警備兵の動きに注目していた。
あれから、人らしい人の出入りは何か運んできたらしい配達員と、あの少女と車椅子の老人だけだった。
故に、さっきから立ちっぱなしの警備兵は暇そうにあくびをしている。
「ねぇ。はじめくん、どうして今更警備兵なんて置いたと思う?」
と木にだるそうにもたれるはじめに問うた。
聞かれた本人は
「ほぇ?」
と間抜けな声を出し、悠呂と違う方から顔を出し警備兵を見て話し出した。
「そりゃ…俺たちが覗いてたからじゃねぇのか?」
「それだけで?」
「あのなぁ〜俺に聞かれてもよくわかんねぇよ!」
「しっ!誰かこっちにくる!」
どうやら、警備兵の交代かなんかで休憩を取るらしいあの門番が人と話を交わしながら、こちらに向かってくる。
「おいっ!どうすんだよっ!」
と小声でまくし立てるはじめを押さえて、
「しっ!隠れて!」
とその木に二人、身を隠した。
その背の反対側に警備兵はやってきて腰を降ろした。
「ふぅ〜疲れた。よっこら」
悠呂たちはお互い同士に口を押さえて、身を縮めて音をたてないように細心の注意をした。
すると、その警備兵は皮袋の中から何か取り出し、草の上に広げて食事を始めた。
二人はその匂いで、すぐに弁当だとわかると、目が血走り始めた。
二人は朝から何も食べていないのだ。
すると、はじめの腹から空腹を告げる音が不意になった。
「ん?」
と兵士はその音に気づき、辺りをキョロキョロし始めた。
慌てた二人は、片手で相手の口、もう片手で相手の腹を互いに押さえた。
「誰だ!誰かそこにいるのか!」
と声が掛かった。
かなり間があいてしまいました笑読まれた方はよろしければでいいんで、感想をメッセージの方へ寄せていたたければ幸いです♪