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皆はどうしてすぐに死ねとか殺すとか言うんだろうね


言霊と言うのを知らないんだろうか


言葉には力がある


嘘だろうと本気だろうと口にだした時点で取り消すことはできない


なのに、どうして皆は酷いことばかり言うんだろうね


まあ、人のことは言えないけど自分は不思議で仕方ないよ



‐アヤトリ‐





二人が幼い子供じゃなかったら断ったのに、と思いながら


私は二人に引きずられるように歩いていた。


妖怪の住みかに足を踏み入れるのは緊張するが


いまだに、回りは木だけしかない。


道も獣道のような道のため、いつも平たい道を歩いてばかりいる私には歩きずらい。


現在進行形で私はでこぼこした道に苦戦していた。


大蛇や蛟はそれが普通のことのように歩いているのに私だけが何度も石や木の根っこに躓いてしまい


そのたびに大蛇や蛟に


「大丈夫?」


と、心配されるのは恥ずかしすぎた。


顔から火がでると言う言葉を今この時に体験することになるとは思わなかった。

幼い子供に心配されるなんて本気で恥ずかしい。



「もうすぐ、とりいがみえてくると、おもう」



私は思った以上に必死になって歩き続けていたみたいで、回りの木が少なくなっているのに気づいていなかった。


大蛇が手を引っ張りながら言った言葉でようやく、回りを見ようと思ったくらいだ。


私が回りを見るためにスピードを緩めると律儀に大蛇と蛟は歩みをとめてくれた。


私も立ち止まり、ぐるっと回りを見渡して見た。

結果、私は


「鳥居?」



と、小さな声で呟いてしまった。


それは、回りの木は少なくなっているが無くなっているわけではない事と


前を見ていても鳥居のようなものは見えないからだ。




どういうことだろう、と首を傾げていると


蛟がくすりと笑みをもらした後、答えを教えてくれた。


あの笑みは絶対、私のことを馬鹿にた笑みだと思う。



「ここは妖怪がすんでる場所だよ。その中でも狐は化かすのが得意なのは知ってるよね?


そんな力を持ってるのに住みかを守るために何もしないわけないでしょ?


だから、狐は住みかを守るためにその力を使って隠してるの。


つまり、これは幻覚」



蛟は言い終わると、幻覚だと証明するためなのか近くの木に地面に落ちていた石を投げた。


普通は木にあたって地面に落ちるだけなのに、石は木を通り抜けていった。



「ほらね?」



笑いながら私を見る蛟に何も言えなくなる。


いや、だって、ほらね?と言われても反応に困るからね。



「けしきも、ほんとうはちがう」



大蛇は私が答えないことなんか気にせずに右足だけを小さく一歩、踏み出しながらそう言った。



景色も?

それはいったいどう言うことなのかわからず、また首を傾げてしまう。


大蛇はそんな私に優しく微笑み、答えを教えるために口を開こうとしたみたいだが


その前に



「今、歩いている場所はもう石畳なんだよ。ほら人間とかがお参りに行ったりする神社とかにそんな道あるでしょ?」



と、蛟が答えてしまった。


……自分が言いたかったのか大蛇が横で拗ねてるんですけど。


黙ったまま何も言わないんだけど、どうすればいいの?


どうすればいいのか、ぐるぐると考えていると


そんな考えを忘れさすような敵意を圧し殺したような声が聞こえてきた。



「ここから先に立ち入ることを許さん。おとなしく帰れ」



その声に身の危険を感じるな、と言う方がおかしいよね?

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