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繋いで絡み合った糸は
どんなに離れていても
いつかはもう一つの結び目にたどり着く
その結び目の先が男だろうが、女だろうが
老人だろうが、子供だろうが関係ない
きっとどんな君でも好きになって愛して
ずっとそばにいて欲しいと願うんだ
‐アヤトリ‐
倒れた蛇我羅。どこかを眺め続けている大蛇。理不尽に怒っている白梅さん。青ざめながらおろおろするさち。疲れたのか眠そうな小鬼達。
一言、声を大きくして言いたい。
何だ、このカオス。
誰か助けてくれないかなーっと思うのも無理はない。
そんな風に現実逃避を続けていると
理不尽に怒っていた白梅さんが蛇我羅を俵を担ぐように持ち上げた。
その後、にこりと笑い
「さち、赤、青。帰りましょう」
と、私のことを無視したように言った。
それはもう、清々しいほどに。きっぱりと。
赤、青とは小鬼達のことなんだろうけど
見たまんまの名前に少しネーミングセンスを疑う。
と、いうか
「私を無視しないでよ」
つい本音が口からでる。
いや、そう言ってしまうのも無理はないと言い訳をしておく。
蛇我羅を連れて行かれてしまえば私はどうすればいいという話だ。
ここまで来るのは全部、蛇我羅に手を引かれてきたから帰り道はわからない。
むしろ、この森の中で迷ってしまうだろう。
イコール迎えるのは自分の死だ。
白梅さんにとって邪魔な存在である私は突き放されるだろうと考えていた。
だけど、
「あなたはお帰りなさい」
白梅さんは私を見ずにそう言ったのだ。
意外だった。白梅さんはやっぱり何も言わずに去るのだと思っていたからだ。
けど、帰れと言われても道がわからないんだって。
そう言う前にわかっていたのか白梅さんは
「帰り道はゼンに案内させます」
と、付け足した。
どうやら本当に白梅さんは私を帰らしたいんだと実感してしまう。
こんなにもきっぱり言われると諦めもでてきそうになる。
このまま、おとなしく帰ろうかな。
……なんて、冗談じゃない。
ここまできて、蚊帳の外なんて許さないし、納得しない。
白梅さんは私が黙っているうちにさちと赤、青、蛇我羅をつれて去っていってしまった。
まるで、私が本当に帰ると疑いもせずに。
残念だけど私は拒絶されるのには慣れっこなんだから。
そんな風に拒絶されても痛くも痒くもないんだからね。
ごめんなさい。調子のりました。
拒絶は痛いです。すっごく。
だけど、こんな所で理由もなく蛇我羅に会えなくなるのは嫌だから
「首を洗って待ってなさい」
白梅さんが立ち去った場所を睨みながら言ってみた。
まるで、負け犬の遠吠えのようだなっと思った。
いや、実際そうなんだけど。
あと、悪態だけは素直にでるこの口が恨めしく思えた。