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蛇我羅視点。
歩んできた道のりを振り返った時
自分は今までの自分に
何て言われるだろうか
頑張ったね?
何やってるの?
そんな言葉たちをかけられるのかな
きっと、一番最初に言われる言葉は
お疲れ様
だろうけど
‐アヤトリ‐
白梅と俺は別に仲が悪い訳じゃない。
ただ、蛇の中でも異常な俺と鬼族の頂点に立つほど力がある白梅が一緒にいるのを大人たちが嫌がるから
互いが嫌悪しているように演じていくうちに、憎まれ口を叩くのが普通になっていっただけだ。
ある時、聞いた事がある。
「もしもの話だけど、好きになった奴が自分の目の前で違う奴に何かされたらどうする?」
それはただの興味からの言葉だった。
嫉妬深く飽きやすい蛇にとっては一生、愛そうと思える奴に出会えるまで
何度も違う奴等と契りを交わしていく。
だけど、いまだに伴侶を見つけられなかった俺にとっては
目の前でそんな光景を見せられても何も思わなかったわけで、愛って何かわからなかった。
だから聞いたのだ。
いつも一緒にいる白梅と琥珀に。
返ってきた答えは予想通りと予想外の二つ。
白梅は
「そんなの男を原型もわからなくぐちゃぐちゃにしてから好きな人の目を抉って、耳をそぎ落として、手足を引きちぎって、腹の中の臓器を引きずり出して心臓を握りつぶしますね」
と、笑いながら答えた。
「殺すんだ?」
「当たり前じゃないですか。浮気をしたんでしょ?殺して喰らいます」
「……喰うの?気持ち悪いな、それ」
馬鹿にしたようにそう、返した記憶がある。
もともと、白梅の愛情は歪すぎて俺にはわからなかったのもあったが
あまり参考にした覚えはない。
琥珀は少し考えてから、こう答えた。
「悲しいことだけど、別にきにはしないよ。だって、少しくらいのきの迷いは許してあげないと息苦しくなっちゃうからね。別れてその男の子と夫婦になるって言うんだったら話は別だけど」
琥珀は何たいしても自分のものであろうが、なかろうが興味を持たなかったからその言葉は少し以外だった。
「そういう蛇我羅はどうするの?」
ぎくっと聞き返された質問に体を強ばらせた気がする。
その時は、何て答えたか忘れた。
あれ?何で今、こんなことを思い返しているんだろうと考えてみる。
大蛇がゆうこの手を握っていて、頭にきて変なこと口走って、それからどうしたっけ。
ああ、そうだ。
白梅に「落ち着きなさい」って頭を殴られたんだっけ。
あの馬鹿力のせいで気絶でもしたのかな。
そうなんだったら早く起きないとな。
夢から現にかえらないと、心配してる奴がいるかもしれないしね。
まぶたをこじ開けるようにして目を開けると始めに見えたのは泣きそうになっているゆうこだった。
過去の自分にも教えてやりたい。
こんなにも自分は愛せる人を見つけたぞって。
くすっと小さく笑ってしまったのは嬉しさからだった。