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こっちの水は甘い?


それとも苦い?


あっちの水は甘い?


それとも辛い?


いやいや、どっちの水も味はまったくないよ


喉が渇いていないときに水を飲んでも味なんかしないだろ?


ふらふらと、てくてくと、どたどたと、



歩き回って、走り回って、疲れきって、喉が渇ききった時に飲んだ水こそ甘い



‐アヤトリ‐



白梅さんを相手にしているとさちを助けることは無理だと思わずにはいれなかった。


それほどまでに、さちへの愛が強い。


私が今まで抱いてきた恋心なんてお遊びだと言われるほどに白梅さんの愛は


純粋で、きれいで、それゆえに歪んでいた。


完璧なんて言葉はない。

人には欠点が一つや二つあるもの。


白梅さんにとっての欠点はまっすぐな愛情を抱けないことだろう。


なんて、冷静に考えてみる。


現実逃避だなんてわかってるけど、他のことを考えていないと


変なことを口走ってしまいそうだ。


今だって蛇我羅に抱き締められていなかったら


さちを離せっと白梅さんに突っかかっていた。


たぶん、いや、絶対に。


「しら、うめさん……」



そんな事を考えているとさちが小さな声で白梅さんの名前を呼んだ。


その声を聞いた瞬間、白梅さんは女の私より可愛く笑った。


こんな場面なのに見惚れてしまうくらい可愛く。


さちはその笑顔にひきつった笑みを返していたけど。


白梅さんがさちに構っている様子を見ることしかできない私と蛇我羅。


下手に何かを言えばそこで自分の人生は終わりそうだもの。


蛇我羅は知らないけど。


二人して白梅さんとさちの様子を見ていたけど


蛇我羅は痺れを切らしたのか



「ゆうこ、こいつらほっとこうぜ。俺、もう退屈」


本当に退屈そうに呟いた。


蛇我羅、退屈なのはわかったけど、状況を考えてお願いだから。


なんて、口にださないと伝わらないとわかっていたけど


口にだせるわけもなく。



「俺の家、行こうぜ」


空気をあえて読まないのか蛇我羅は平然とそう言った。

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