ここから始まった
美緒「全く…兄貴も兄貴だよ。今まであんなにボコボコにやられてたのに、何気軽に挨拶してんのよ」
匠「ボコボコ?いやだって芳樹は友達だし」
美緒「はぁ?何言ってんの!?つか本当にどうしちゃったわけ?今日あからさまにへんじゃん」
匠(…やっぱりここは並立世界なのか…俺は異世界に来ちまったのかよ)
焼き殺されかけてようやく匠は現実を理解した。
まさか、と思いたかったが家の門にははっきりと焦げた跡が残っていた。
匠(仕方がない…)
意を決し、匠は重い口を開いた。
匠「美緒…頭が変になったと思っても構わない、ちょっと話を聞いてくれないか」
美緒「な、何よ改まって」
匠は全ての経緯を話した。自分は別世界から来たらしいこと、夢に謎の少女が出て来たこと、枕元に置いてあった手紙のことなど…。
意外にも美緒は匠の奇想天外な話に大人しく耳を傾けていた。
匠「…という訳なんだが」
美緒「ふ~ん…まぁ無い話しじゃないわね。過去にもそういうことがあったって記録もあるし」
匠「そうなのか?」
美緒「まぁもっとも、原因も何も全部謎だけどね」
匠「…俺はこれからどうしたらいいんだ」
美緒「ま、来ちゃったもんは仕方ないでしょ。柊に殺されないようにその魔法剣の練習でもすれば」
匠があっけに取られるほどドライに言い放つと、美緒は歩き出した。
匠「お、おい待てよ」
匠は慌ててその後をついて行った。背負った魔法剣がやけに重たく感じた。