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変貌した世界
匠「ん…朝か」
窓から差し込む光を感じて目が覚める。しかし、朝日に照らされた部屋には違和感があった。
匠「…どこだ、ここは」
部屋中が昨日までの自分の部屋とは異なっていた。机や寝具などの配置は同じだが、本棚には漫画がビッシリと詰められ、机の上には筆記用具はおろかボールペンの一本もなかった。
匠「どうなってんだこれは」
ただただ困惑する匠のもとへ、さらにその困惑を大きくさせる来訪者が現れる。
美緒「(ガチャッ)コルァ、馬鹿兄貴!いつまで寝てんだぁ!」
匠「み…美緒!?」
美緒「なんだ起きてたのか。ったく、なんで私があんたを起こさなきゃなんねーんだっつの」
匠「お前なんだそのしゃべり方…つか体の方は大丈夫なのか?」
美緒「はぁ?何寝ぼけてんの?早くしないと遅れるよ」
馬鹿を見るような目で匠を一瞥すると、美緒は部屋を出て行った。
匠「…いったいどうなってんだ」
あまりの環境の変化に、匠はただぼう然と美緒の出て行ったドアを見つめていた。