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Akeenohi -アケノヒ-  作者: 大化
第一部 『陽の欠片』
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34/47

第二十五話 そして、朝日は登る

これにて、アケノヒ完結です。

ありがとうございました。


第二部でお会いしましょう。

長き戦が終わり、陽の欠片が解き放たれたことで、空はようやくその青を取り戻した。


だが、戦の爪痕は深く、各国では復興の槌音が絶え間なく響いていた。


焼け落ちた街を建て直す者、田畑を耕し直す者、失った家族の墓を立てる者。


そんな中、どこにでもいるかのように自然に奇妙な集団もまた、各地の復興作業に混ざっていた。


「はぁ〜!? これを五往復!? 聞いてないんだけど〜!」


土嚢を抱えたデビが声を張り上げる。


「文句言ってる暇があるなら、手を動かしてください」


ミネは淡々と指示を飛ばし、芳ニは苦笑しながら材木を担ぎ直す。


「アイタタ…おじさんの腰、もう限界かも……」


50銭は汗だくになりながらも、どこか満足そうに空を見上げた。


夜刀――かつて刃として生きた者たちは、今、同じ手で街を支えていた。


***


甲斐。


武田の館では、若き領主が山積みの報告書を捌いていた。


シンゲンは静かに目を閉じる。その瞼の裏には、共に戦った者たちの姿が浮かんでいた。


**


フォーチューン・ヒル。


神殿の高台で、風に髪を揺らしながら巫女装束の少女が遠くを見つめる。


シズメは「祈らない」。だが、「願い」続ける。その地に生きるすべての命の平穏を。


**


音を鳴らして歩く4つの影があった。


「いいか?ラップってのは魂だ、この旅はいわば、魂の巡礼よォ〜! オイ風魔ァ! 婆威譜素ばいぶす足りてるかァ?」


「ええっ………!? い、いや……その、たぶん足りてないかも…?…っス」


「んだよ、しゃーねぇな…ラクタ! カグラ! 今日も一曲、響かせてやんぞォ!」


「ったく、騒がしいヤツだよ……でも、まぁ嫌いじゃないけどね、こういうの」


「姉さんがやるなら、俺はいつでも…ちょうど試したいフロウがあったし」


「よっしゃ来た! フロア爆上げ、イックぜぇぇぇえええ!!」


音は、まだまだ止まらない。


***


朝の住宅街。


「それじゃあ、行ってくるね」


ブレザーの制服に身を包み、スクールバッグを肩に掛けた少女が玄関で振り返る。


「……気をつけてな」


見送るのは、本多忠勝。


家を出ていく娘――楓の背を、彼はいつまでも見つめていた。


扉が閉まり、静かになったリビング。

忠勝は写真立てに目を向ける。


そこには、孫一と忠勝、そして幼い頃の楓が笑っている写真。


その一瞬、写真の外側に――

確かに“もう一人”いたはずの誰かに思いを馳せる。


「……」


だが、名を呼ぶことはせず、忠勝は静かに踵を返し、自室へと戻っていった。


***


荒れ果てた大地。


風にマントをはためかせ、一人の少女が歩いている。


眼帯、そして額を走る大きなひび割れ。

それは、彼女が人ではないことの証だった。


その背後から、軽い足音が駆け寄る。


「…ちょっと。置いてく気?」


黄金色の髪を揺らしながら、背の小さな少女――テルトラが並ぶ。


「来てくれると思ってた」


「…当たり前でしょ」


二人は言葉少なに、しかし確かに並んで歩き出す。


行き先は決まっていない。

けれど、歩みを止める理由もない。


まだまだ、二人の旅は始まったばかりだ。




アケノヒ――第一部・完。

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