第52話「商人ギルド」
カランカラ~ン♪
冒険者ギルドと同じような構造の商人ギルド。
違うのは併設の酒場が小さく、代わりに貸店舗が軒を連ねていることだろうか。
「トウドウ殿、こっちです」
カウンターを通り抜け、奥へ──。
お、受付嬢も冒険者ギルドより美人が多いな、へへ。
「それではこちらでお待ちください、私は職員を読んでまいります」
「はーい」
勝手知ったると言わんばかりに、ギルド内をズカズカ歩いているゴーズさん。
道々聞いた感じだと、なんでも、銀等級なんだとか。冒険者でいうところのBランクなんだそうだ。
ちなみに、5段階評価。
木、銅、銀、金、白金。でそれぞれ冒険者ギルドでいうD、C、B、A、Sに相当するんだとか。
一応、仮登録を含めればE級相当も含めて、ほぼ冒険者ギルドと同じようなシステムなんだそうだ。
唯一違うのは、評価システム。
依頼をこなして上がるのは冒険者と同じだが、それ以上に商人としての貢献度が高く評価されるらしい。
すなわち、
新しい商路の開拓、特許の取得、寄付金額、そして新商品などなどだ。
「──それだけ聞くと、確かに俺向きだなー」
冒険者ギルドでものし上がれそうな気はするが、依頼を一々こなすのは面倒だし、
なにより、魔物と戦うのはやはりリスクが高い……。
シャーマンだと、魔物のほうから逃げていくから、基本歩兵戦でしか退治できないんだよなー。
コンコンッ
「失礼します」
応接間のようなところに通されて、待っていた藤堂の前に、立派な髭の紳士が現れる。
どうやら偉いさんらしいが──。
「オホンッ。わたくし、当ギルドを預かるメルエムと申します」
「あ、あー。こりゃどうも」
座ったままは無作法と思い、立って一礼。
作法があってるかは知らん。
「ほほっ。そう堅くならずに──ゴーズ氏から伺いましたが、ギルド加入をご希望で?」
「え? あ、はい!」
そうだったそういう話だったな。
「詳細はゴーズ氏からある程度説明されたと聞いています」
「はい、冒険者ギルドに似たようなシステムだと伺っています」
依頼をこなす要領。
そして、加入したならば、ギルドに許可を取りさえすれば全世界津々浦々で商売ができて、その一部を上納すればドンドン評価されるとかなんとか──。
「はい。ざっくりとはそうですね──しかし、全世界で信用商売しているだけあって、ここに所属するのは並大抵の努力では無理ですよ?」
暗に、冒険者モドキのアホには無理だと目で語る。
なるほど……。こうやってアホを弾いているわけか。味噌もくそも一緒くたにする冒険者ギルドよりは信用できそうだ。
「えぇ、試験があると伺っております──自分はいつでもできますよ」
落ちてもまたの機会に回すだけだしな。
「ほほ、かなりの自信がお有りのようだ──結構」
パチンっ。
メルエムさんは指を弾くと、数名の職員が盆にのせられた試験用紙と筆記具を手にしてやってきた。
「では、早速始めましょう──時刻は今から、昼の鐘がなるまで、いいですね」
「……3時間くらいっすね。わかりました」
「結構──それでは、はじ──……それは?」
へ?
「あぁ、鉛筆と消しゴムですけど?……筆記具は自前だとだめです?」
PXで購入したお安い筆記具セット。
得体のしれない羽ペンにインクはちょっと……。
「む……。いえ、持ち込むのは問題ありませんが、一応、不正防止のためにチェックを────む、むむ」
……いや、試験させてよ。
鉛筆を取るなりしげしげと眺めているメルエムさん。
そこに、いつの間に現れたのか扉の向こうでゴーズさんがニヨニヨしている。
「黒鉛を木材で挟んで……むむむ、どうやってこのサイズに成形しているのか。む?! これはナイフで削るだけで使えるのか──むむむ」
いや、だから──。
「お、おっと失礼。少々変わった道具に目を奪われましてな──はい、問題ございません。……あ、試験はこちらです」
はいはい。
見てるよ。
「計算と語学力の試験です──あとは、商人としての心得を論文形式で、よいですかな?」
「はぁ、まぁ」
……論文あんのかよ。
「では、はじめ!──職員が一名待機しておりますので、試験内容以外の質問はその者に。では、また昼時に……」
そう言って一礼して去っていくメルエムさんと他の職員。
そして、室内には無口は職員さんと藤堂だけが取り残されたのだった。




