第4話「スキル『召喚』」
「レベルアップ……??」
朦朧とする意識の中でそれは確かに聞こえた。
心の内で、
頭の中で──そして、今確かに目の前に……!
ブゥゥゥゥン!
※ ※ ※
レベル:2(UP!)
名 前:藤堂 東
ジョブ:【シャーマン】Lv1(UP!)
Lv1→召喚(NEW!)
● 藤堂の能力値
体 力: 19(UP!)
筋 力: 16(UP!)
防御力: 20(UP!)
魔 力: 13(UP!)
敏 捷: 30(UP!)
抵抗力: 14(UP!)
残ステータスポイント「+4」(UP!)
固定スキル
【ステータス表示】【言語理解】
スロット1:言語理解
スロット2:な し
スロット3:な し
スロット4:な し
スロット5:な し
● 称号「召喚されし異世界人」
※ ※ ※
「ほ、ほんとにレベルアップしてる」
だけど、このタイミングでなぜ?
(あ、ゴブリンを倒したからか!?)
手元のニューナンブをみてようやく気付いた藤堂。
だが、このタイミングでのレベルアップに何の意味がある?
あとはただ嬲り殺しにされるだけだというのに……!
(イヤ。待てよ……!)
藤堂は朦朧とし始めた意識の中でステータス画面を見た。
そして、その中には………………。
※ ※ ※
レベル:2
名 前:藤堂 東
ジョブ:【シャーマン】Lv1
Lv1→召喚(NEW!)
※ ※ ※
しょ、召喚……?
スキルレベル1、『召喚』
「こ、これは……!」
『えー、古文書によると、
シャーマンなる職業は稀に現れることがあり、
しょうかん、などが使えるようですな。
ほかにも、へんたい等──……』
しょうかん?
……娼館?
「──召……。
──召喚じゃねーか、ドアほう!!
脳内にリフレインした神官長の声におもわず反論する藤堂!
その瞬間、ブワッ! とスキルの使い方が脳内に流れ込んでくる。
どうやら、スキル『召喚」は体内の魔力を消費し、異界から『召喚』を可能とするスキルらしい。その詳細は使ってみないことにはわからないが、それで充分だ。
異界から召喚できるなんて、いかにも異教の神職といった感じだ。
だが、それでいい!
それならきっとモンスターにだって対抗可能なはず!
…………だから、藤堂は発動した。
もはや、一縷の望みを賭け、
ゴブリンに喉を切り裂かれる刹那の瞬間に、それを発動した!!!
『ゲギャァァア!』
プツッ……と、喉にナイフが食い込んだまさにその瞬間に!!
「し、召喚……発動ぉぉっぉおおおおおッ」
刹那ッッ!
─────カっ!
穴の底をまばゆい光が包み込む!
それは、藤堂を中心に発せられ、一帯を激しく照らし出した!
「ぐわっ!」
「ぎゃ!」
「な、なんだぁぁあ?!」
『『『ゲギャァァァアア?!』』』
その、あまりの眩さに誰もが目をくらませた。
そして、ナイフを持ったゴブリンもよろめいていた。
「うぅ……め、目が──」
もちろん藤堂も例外ではない。
目の前が真っ白になり、何もみえない。
だが、
次の瞬間、それは現れた────!
眩い光の中に現れた巨大な召喚魔法陣が。
そして、その中に鎮座する、巨大で強大な緑色の何かが──ついに現れたのであった……!
※ ※ ※
「せ、成功したのか?」
ボロボロの体で半身を起こした藤堂の前には、光り輝く召喚光を纏った巨大な物体が聳え立っていた。
まるで二階建ての家かと思しき巨大な物体だ。
それは──召喚というのは、あまりにも意外過ぎた。
大きく、無骨で、不格好で、分厚く、そして武装していた。
それは、まさに鉄塊であった!!
「い、いや。鉄塊つーか……」
ドルン!!
ドルドルドルドルドル……!
藤堂はそれを知っていた。
その無骨で緑色の鉄の塊を知っていた。
ドッドッドッドッドッドッドッドッド……!
呆気にとられて誰も動けない中、その召喚されたものを藤堂だけが知っていた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!
その、耳朶をつくら妙に聞き覚えのある音を知っていた。
それは元の世界で毎日のように聞いていたあの音。
それは文明の利器のあの音。
それは化石燃料を消費するあの音。
それはガソリンエンジン駆動のあの音──!
それは即ち……!
「……シャ、シャーマンは、シャーマンでも──」
重量30t。
正面装甲89mm。
速度40km/時
コンチネンタルモータース製400馬力9気筒空冷ガソリンエンジンを備え。
武装は、
7.62mm機関銃二丁、
12.7mm重機関一丁を副武装に、
主砲、
37.5口径M3型75mm戦車砲をもつ────。
え、
え、
え、
「M4シャーマン中戦車じゃねーかぁぁああああああああ!!」