第38話「変身中に攻撃はよくないと思います」
「ここは地図にないからな──気を付けていこう」
「はーい」
相変わらず緊張感のないミール。
だけど、正直藤堂さんは心臓バクバクです。
だって、ここ暗いもん!!
「どーりで地図がないわけだ」
え~っと補給補給……あった、軍用ライト。
「あと迷うとまずいから、左手の法則で壁に手を付けながら……ん?」
なんか壁の感触が変……。
カチッ。
そして、ライトをつけて藤堂さんは言葉を失う。
「ひっ!」
暗闇に浮かび上がったのは、骨。
大量の、
骨骨骨!!
骨えぇぇぇえええええ!
う、うう、
「──うっぎゃぁぁぁあああ!!」
さ、触っちゃったよ!
知らん人の骨をぉぉおお!
きもーい!!
「つーかグロっ! か、壁一面に骨かよ」
どーりで暗いわけだ。
ここは地下墓所ってやつだな。
「……ったく、ここをいくのか?」
不気味どころの話じゃない。
目玉のない無数の眼窩が藤堂を見ているようだった。
「だいじょーぶ?」
「だいじょばない」
怖いわ!
そして、君はぜんぜん平気だねぇ?
「ん。へーきだよ」
「はいはい。すごいすごい。……じゃ、悪いけど先頭たのむね」
いつも通り戦闘も──。
「はーい!」
相変わらず頼もしいわー。
完全にミールに頼りきりとなり、
懐中電灯を胸に差して、歩く松明くらいの役に立たないと開き直って進む藤堂。
さらには、怖いのでミールの肩に手を置いて、常に離れないように、おっかなびっくり進んで────コカカカカカカ!!
「んぎゃぁぁぁああああ! またぁぁぁああ!」
そして、今度は赤いぃぃいい!!
通路の先からぬぅっと姿を現したのは、鮮血を浴びたような真っ赤なスケルトンであった。
しかも、生々しくヌラリと光って見えるかも、もう怖い!
「バールぅ!」
ドッカーン!
……うーわ、それでも一発かよ。
「でもって、君は平気だねー!」
変な血ぃ、かぶってるよ?
大丈夫?
「へーきー」
「いや、ほんと強いね、君」
フィジカルもメンタルも。
普通、こんな骸骨は強いと思うんだよなー。
なんか生っぽい骸骨だしー。
「よわいー」
はいはい。
君が強いんだけどね!!
そうして、こうして、赤いスケルトン──……通称、ブラッドスケルトンを撃破しながら奥へ奥へ。
幸いにも分岐はなく、うねうねと道が曲がりくねっているだけど、迷うことはなさそうだった。
そうして、小一時間戦闘し続けた結果。
大量の魔石と、討伐証明の下あごが溜まっていた。
「ぐっろ……」
袋の中はスケルトンの下あごだらけ。白、黒、赤とより取り見取りだ。
ちなみに、グールも同じ部位だったけど、最初の数個以降は放置した。
だって、くさいしグロいもん……。
「トードー。なんかある」
「……あー。あるな」
ミールが指さすさきには、
巨大な石棺と、その周囲を守るように設置されてる木棺がずらり……。
……うん。
「どーみても、ボス配置にしかみえん」
「強い?」
知らんし、
君なら勝てるわ。
「とりあえず、わざわざボスが出てくるのを待つ馬鹿はいねーな」
おそらく、あの石棺がボスで、その中か、近くにダンジョンコアとやらがあるのだろう。
それを知らずに、のこのこ近づけば──バッカーーーン! って、感じで棺からモンスターが飛び出してくるっていう寸法だろう。
だけど、そうは問屋が卸さない。
なにせこっちは銃もってるんだよねー!
「んじゃ、ミールちゃん。ぶっぱなしちゃって」
「はーい」
お世話になったバールを背中にうっちゃり、今度は二挺BARスタイル。
そして、藤堂さんも援護できる体勢でショットガンを構えると────。
「うつよー」
あいよー。
ズガガガガガガガガガガガガガガガ!
ズガガガガガガガガガガガガガガガ!
バッカーーーーーン!
「あ、やっぱり開いた」
「でも、たおしたよー」
うん。
ほぼ倒したね。
見れば、大半の木棺がバラバラになって、中身がデロンと倒れ伏す。
そして、生き残り(?)もいるにはいるが、接近……というか銃撃されて初めて気づいたらしく、未だ戦闘距離にいないという体たらくだ。
さらに言えば、こうなったら、こっちは万に一つも負けはしない。
なんせ初っ端から銃器で連射だもん。
そして、まだまだ本気ですらない。藤堂の火器も控えているというありさまだ。
実際、あわてて飛び出してきた数体が、こっちに突っ込んできたが、
藤堂がショットガンにて、ドカンドカーーン! と発射するだけで、あっけなく吹っ飛んでしまった。
「うーわ、ボス戦が一瞬で終わっちまったよ」
「らくしょー」
うん。
やっぱファンタジー世界に銃器はチート兵器だわ。
「……つーか、これじゃね? イビルグールっての」
「あーほんとだー。青いし、黒いー」
うむ。
ミールの言う通り、青いオーラと黒い瘴気を纏ったゾンビだ。
おそらく、ここまで探検してきた冒険者がここで襲われて全滅するか命からがら逃げて情報だけ伝えたのだろう。
つーか、クエストモンスターがボス部屋の従者って……。
初心者にしては難易度たかくね……?
「なんかあるなとは思ったけど、あの試験官とギルドマスターめ……。やってくれたな」
どうやら、よほど嫌われたらしい。
しかも、命を取る勢いだな。……だけど、いくら何でも他種族嫌いってだけでここまでするか?
「まだ裏がありそう────ん?」
「あー。まだいるー」
……あ。
ほんとだ。
どうやら、木棺の中にいたイビルグールは全滅させたが、肝心の中央に安置されている石棺のほうを忘れていた。
そして、そいつがここのボスらしいな。
ゴゴゴゴゴゴ……。
すると、妙な振動とともに、急に周囲の空気が冷えわたり、
代わりに巨大な響きを立てて石棺がうごめき、
そこから骨ばった腕が現れた……。
ま、ここは。
「──ぽーいっとな」
わざわざ演出してくれているのだし、その隙に余った手りゅう弾を投げつける藤堂。
「ミールも投げるー」
いいね。
賛成するミールちゃんが可愛いので、二人で合計4つをポポーィ♪
『我のねむ──
チュドーーーーーーーーーーーーーン!!
パラパラパラ。
「……なんか言ってた?」
「眠いってー」
あ、なるほど。
起こしてごめんなさい。




