第24話「襲撃?」
──ここが村の入り口かよ!!
藤堂がそう思ったのも束の間、
マズイと言う間もなく脇の茂みが大きく動く。
そして、そこから武装した集団が一斉に飛び出した!!
ズバァァ!!
「「「──動くなぁっぁああ!」」」
「ひ、ひぇぇえ!」
ビックリ仰天!!
超ビックリ──!!
まさに、至近距離──!
というか、目と鼻の先に、弓矢と短剣で武装した長身の男たちが、藤堂と戦車を取り囲んでいたのだ!
──ま、待ち伏せッ?!
慌ててシャーマンに駆け戻ろうとしたが、一歩遅かったらしい。
すっかり取り囲まれた藤堂は、武器を出す暇もなく両手を上げて降参するしかなかった。
(……つーか、毎度のことだけど、少年少女たちぃぃ──!)
言うの遅いから!
一歩遅いからぁぁああ!
「動くなと言っているぞ、人間んんん!!」
ひぇ?!
「ちょ、ちょちょちょ──ま、待って……!」
誤解!
なんか知らんけど誤解──!
(──藤堂さん悪い人じゃありませ~ん!)
すっかり腰を抜かした藤堂であったが、武装集団はお構いなしに武器を向けると、今にも弓矢を撃ち込まんばかりに殺気を放つ。
連中はおそらくエルフだろう。状況からして間違いない。
顔を覆う泥のペイントと、全身につけた草木の偽装でまったく人相が分からないけど、輪郭から飛び出た笹耳は見逃さなかった。
「い、いや、ホントに待って!!」
降参!
降参してるから、待ってー!
「黙れ!! 性懲りもなく、子供を奪いに来た愚か者どもが!」
「は、はいぃぃー!!」
いや、はいじゃないけど──はいぃぃ!!
「ふんっ! やっぱりか。ひっとらえて生皮剥いでくれるわ!」
いやいやいや。違う違う!
その、はいじゃないよー! 黙れっていったほうの「はいぃぃ」ですぅ!
「あぁ! そして、指を一本一本ちょん切って──」
「──傷口に辛子を塗り込んでくれるわ!!」
ひ、ひぇぇええ!
怖い怖い怖い!!
具体的過ぎて怖い────!!
「ま、待て待て、待って!」
俺、何もしてない!
悪いことしてない!!
むしろ、助けた側────説明聞いてー!!
「待つも何もない! さぁ、立て──申し開きは、火あぶり中に聞いてやる!」
「いや、おかしい! さっきの拷問パートなくなってるやん?! もう即刻処刑コースやん!! あと、火あぶりしたら話聞けないからぁぁぁ!」
まずは話を聞いてぇぇぇええええ!
「はっ! 話すことなど何も──……む?! そ、そこにいるのはまさか!」
「なんと、攫われた子供たちか?!」
「お、おぉ! これは奇跡か──」
奇跡ちゃうわ。
連れてきたの、俺やっちゅうに!!
どうやら、戦車の上から顔を出す子供たちにようやく気付いてくれたらしい。
「はー……。これでわかった? 俺、いいひと、わるいことしてないよー」
だから、手ぇおろしていい?
万歳してるのも疲れ──……。
「誰が手を下せと言った!」
「はい、さーせん!!」
再び、こうさ~ん。
「ふん! 油断も隙も無い。なにか武器を隠し持っているかもしれん──全員、油断するなよ」
「わかってる! おい、一歩たりとも動くなよ」
はいはい!
動きませんとも!
あと、俺マジでなんもしてないからね! それに丸腰!!
(……まー。戦車はあるけどね)
それは言ってもわからんし、言う必要もないけどね!
「ふむ……。たしかに、剣の一本もっておらんな」
「むぅ。ならば、ただの旅人か? 道中で子供を見つけて、つれてきてくれたと?」
そーそー!
それそれ、そーいうの!
「……ありえるな。それに実に間抜け面だ。とても、人さらいには見えんな」
うんうん……って、おい!
誰が間抜け面だ、こら!!
「ま、まー、わかってくれたならよかったよ。と、とりあえず武器を下してクレメンス? あと、俺は手ぇおろしていい? プリーズ……」
一瞬顔を見合わせた武装集団であったが、次の瞬間──静かな音を立てて弓矢の照準が外される。
そして、わずかに緩む緊張感に、胸をなでおろす藤堂。
はー……やれやれ。
殺されるかと思ったぜ。
これで子供たちも返せて──俺も感謝される。
これにて一件落着……。
めでたしめでたし。
……ん??
(……あれ? 俺なんか忘れてるような──…)
なんだっけ。
え~っと、たしか……。
ジジジジジジジ……ジっっ!
「……あ」
全員が静まり返った瞬間、ふいに途切れる導火線の音。
そして、次の瞬間──。
「じーざす」
チュバァァーーーーーーーーーーーーーーーン!!
猛烈な爆発音がエルフの森に響き渡ったのであった。




