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悪役令嬢は今日もお淑やかに微笑む  作者: 土鍋敷布団
第Ⅰ章 気づいたら乙女ゲームの悪役令嬢になってた
3/8

Ⅲ 王宮の陰謀

中庭の小さな嵐から数日──

王宮は一見、静けさに包まれていた。


花壇の花々は柔らかな日差しを浴び、そよ風に揺れる。

小鳥のさえずりも穏やかに響く。

 だが、平穏の裏側では、確実に小さな波が立っていた。


エリスは今日も中庭を歩きながら、目を巡らせる。


 (平和……長くは続かない。誰かが小さな嵐を仕掛けているに違いないわ。)


 視界の端、廊下を歩く一人の姿が目に入る。

宮中で最も優雅とされる女性。

 だが、その微笑みの裏には、王太子への接近を狙った策略が潜んでいると噂されていた。


表向きは穏やかに微笑み、周囲を和ませる。

だが、空気や所作のわずかな違和感は、エリスの鋭い観察力を逃さない。


 (……彼女、何かを企んでいる。確実に動きがある。)


廊下を進む后の後ろ姿に合わせ、エリスは自然に距離を保ちながら歩く。

目立たず、しかし全てを観察する。

これが、彼女の小さな戦術だった。


 心の中で、微かに笑う。

 (静かに見守るだけでも、十分情報は集まる……)


耳に入るのは、侍女たちの囁き。

 「后様が王太子に、特別なお茶を出したとか」

 「手紙を密かに渡していたとか」


誰もが噂話を面白おかしく語る。

だが、エリスは冷静だった。


 (表面には何も出さない……けれど、確実に計画は進行しているはずだわ。)


午後、再び中庭でリリアと顔を合わせる。


 「エリス様、今日も花壇のお手入れですの?」


「ええ、リリアさん。花々が静かに揺れるこの時間は、心を落ち着けることができますから」


リリアは少し不安げに目を伏せる。

 「でも……后様が、なんだか……」


エリスは軽く微笑み、リリアの手を優しく握る。

 「心配はいりませんわ。観察すれば、全てが見えてきます」


その声には揺るがない自信が宿っていた。


◇◇◇


夕刻、王太子が中庭に現れる。

 「君は……よく気づくな」


エリスは軽やかに微笑む。

 「宮殿には、見えない動きがたくさんありますの。

少し目を凝らせば、誰もが小さな影を落としていることに気づきますわ」


王太子の視線は鋭くなるが、微かに好奇心を含む笑みを浮かべる。


 「……面白い。君の観察眼は見事だ」


その言葉に、エリスは心の中で微笑む。


 (観察するだけで、相手の意図が少しずつ見えてくる。これも私なりの策略の一部……)


◇◇◇


夜の回廊、静かな空気の中、エリスは思案する。


 (后の小さな計画が、どの段階で動き出すのか……

私が先に気づけば、波に飲まれずに済む)


廊下の奥から、密かに差し出された手紙の影を見つける。

王太子に渡すものらしい──だが、誰にも知られず、正確な内容は不明。


エリスは息を潜め、観察を続ける。


 (手紙の内容も、タイミングも、すべて計算されている。だが、私なら…出し抜ける!)


中庭の花は夜風に揺れ、小鳥たちは巣へ戻る。

外界が静かに眠るその裏で、王宮の陰では確実に小さな嵐が育っていた。


エリスはその気配を胸に刻み、柔らかく微笑む。

 (誰も気づかない。でも、私は知っている……)


王宮の陰謀の渦中で、悪役令嬢は今日も静かに、しかし確実に動いていた。

──そして明日、再び小さな嵐が吹き始めるのだ。

1日1本を目標に頑張ります。

次回の刊行は明日です。

時間はまだ特には決定していないので不定期更新です。


さてさて、后の目論みとは一体何か?!

乞うご期待。

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