Side:猫7
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
それからというもの、ビアが料理を作りに来るのが常態化した。
どうにも気に入らなかったが、リーンは少しずつ元気になっていた。
くっそぉ。
一方、あたしのほうは、段々体が大きくなってきて、自分でもわかるくらい、色々と動けるようになってきた。
昔、シービングキャットだった頃を、思い出すぜ。
「なに、これ?」
帰ってくるなり、ビアに取っ捕まり、檻に入れられた。
シービングキャットだった頃は、こんなことはなかったのに。
「では、行きましょうか。」
「はい。」
「えっ、どこに行くの!?」
そのまま、リーンに持たれる形で、檻ごと外へ連れていかれた。
あたしが連れて来られたのは、白くて四角い建物だった。
近くに寄っただけで、薬の匂いが漂ってきたが、もしかして、医者か?
「ここです。」
ビアは慣れた様子で中に入っていく。その後ろに続き、リーンに持たれたまま、あたしも連れていかれる。
「こんにちはー」
「あれ?木下さん?」
リーンが目を瞬いている。
だが、あたしはもっと驚いていた。
キノばあさんだ。
随分と身形はよくなっているが……
あの顔、この声、間違いない。
そうか、キノばあさんもこっちで生きてたのか。
そっか……
「あっ、そういえば言ってませんでしたね。木下さんはここにお勤めなんですよ。」
ビアが慣れた調子で、キノばあさんとやり取りをしている。
どうやら、こっちでは知り合いらしい。
「河瀬さん、どうぞ。」
キノばあさんに呼ばれ、中の部屋に入っていく。
中には誰かいるらしいが、檻の角度が悪くて見えない。
「初めまして、河瀬さん。院長の小西といいます。御船さんはお久しぶりだね。」
「お久しぶりです。」
男の声だ。
と思ったら、檻がくるりと回され、男の姿が見えた。
「ああああああああああああああああああああああ、ウェスターム!!」
こいつもこっちにいるのかよ!
こいつの治療は痛いから、嫌だ!
あたしはどこも悪くないんだから!!
「元気のいい猫だねぇ。じゃあ、ケースから出して。」
檻が開いたが、あたしは絶対に出ないぞ!
「どうした、クロ?出てこいよー」
リーンが呼んでいるが、今回ばかりはきくわけにはいかない。
「どれどれ、ちょっと貸して。」
それが聞こえたかと思うと、いとも簡単にウェスタームに引っ張り出され、背中に針を刺された。
やっぱり痛ぇ!
「はい、終わったよ。」
そのまま、刺された場所を処置されて、檻に戻されリーンに返された。
「たまに副反応が出ることがあるので、その時はすぐに連れてきて下さい。」
最後にウェスタームの淡々とした声が聞こえてきた。
こっちでもこいつには世話にならなきゃならないのかよ……
相変わらず、痛いし。
キノばあさんに会えたのは、嬉しかったけど。




