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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Side:猫

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97/141

Side:猫7

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 それからというもの、ビアが料理を作りに来るのが常態化した。

 どうにも気に入らなかったが、リーンは少しずつ元気になっていた。

 くっそぉ。

 一方、あたしのほうは、段々体が大きくなってきて、自分でもわかるくらい、色々と動けるようになってきた。

 昔、シービングキャットだった頃を、思い出すぜ。


「なに、これ?」

 帰ってくるなり、ビアに取っ捕まり、檻に入れられた。

 シービングキャットだった頃は、こんなことはなかったのに。

「では、行きましょうか。」

「はい。」

「えっ、どこに行くの!?」

 そのまま、リーンに持たれる形で、檻ごと外へ連れていかれた。


 あたしが連れて来られたのは、白くて四角い建物だった。

 近くに寄っただけで、薬の匂いが漂ってきたが、もしかして、医者か?

「ここです。」

 ビアは慣れた様子で中に入っていく。その後ろに続き、リーンに持たれたまま、あたしも連れていかれる。

「こんにちはー」

「あれ?木下さん?」

 リーンが目を瞬いている。

 だが、あたしはもっと驚いていた。

 キノばあさんだ。

 随分と身形はよくなっているが……

 あの顔、この声、間違いない。

 そうか、キノばあさんもこっちで生きてたのか。

 そっか……

「あっ、そういえば言ってませんでしたね。木下さんはここにお勤めなんですよ。」

 ビアが慣れた調子で、キノばあさんとやり取りをしている。

 どうやら、こっちでは知り合いらしい。

「河瀬さん、どうぞ。」

 キノばあさんに呼ばれ、中の部屋に入っていく。

 中には誰かいるらしいが、檻の角度が悪くて見えない。

「初めまして、河瀬さん。院長の小西といいます。御船さんはお久しぶりだね。」

「お久しぶりです。」

 男の声だ。

 と思ったら、檻がくるりと回され、男の姿が見えた。

「ああああああああああああああああああああああ、ウェスターム!!」

 こいつもこっちにいるのかよ!

 こいつの治療は痛いから、嫌だ!

 あたしはどこも悪くないんだから!!

「元気のいい猫だねぇ。じゃあ、ケースから出して。」

 檻が開いたが、あたしは絶対に出ないぞ!

「どうした、クロ?出てこいよー」

 リーンが呼んでいるが、今回ばかりはきくわけにはいかない。

「どれどれ、ちょっと貸して。」

 それが聞こえたかと思うと、いとも簡単にウェスタームに引っ張り出され、背中に針を刺された。

 やっぱり痛ぇ!

「はい、終わったよ。」

 そのまま、刺された場所を処置されて、檻に戻されリーンに返された。

「たまに副反応が出ることがあるので、その時はすぐに連れてきて下さい。」

 最後にウェスタームの淡々とした声が聞こえてきた。

 こっちでもこいつには世話にならなきゃならないのかよ……

 相変わらず、痛いし。

 キノばあさんに会えたのは、嬉しかったけど。

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