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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Episode:泥棒猫

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87/141

Episode:泥棒猫38

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 リアは剣を構えると、再び斬りかかってきた。

「聞く気はねぇってことかよ!」

 クロは短刀を抜くと、リアの斬撃を受けたが、そのまま短刀を吹っ飛ばされてしまった。

 下手な兵士より、余程剣筋がしっかりしている。

「この前も言ったけど、有事に備えて、一応剣技は習ってるの。真っ向勝負なら負けないわ!」

 リアは一声叫んで、斬りかかってきた。

「くっ!」

 クロはリアの斬撃を身のこなしで何とか避けるが、脇腹の傷が痛んで、思うように動けない。

 致命傷を避けたとはいえ、深手には違いない。

「くそっ!どけ!どけ!」

 クロは斬撃を避けながら、何とかリーンに近寄ろうとするが、リアの剣術がそれを巧みに阻む。

「お願いだ!どいてくれ!リーンが!リーンが死んじゃう!」

 クロの悲痛な叫びが木霊したと同時だった。

 その右足をリアの剣が貫いた。

「ぐっ!!」

 そのままクロは地面に転がり、動けなくなった。

 剣は右の太ももを貫通していて、もう走ったり跳んだりはできそうにない。

「ここまでよ。」

 リアが冷たく言い放ち、クロに剣を向けた。

「ごめんね。この世では結ばれる運命ではなかったのよ。せめてあの世で仲良してね。」

「くっそぉ……」

 悔しさに歯を食い縛るクロへ向けて、リアは剣を振り翳した。

 次の瞬間。


 リアの首筋から夥しい血が噴き出した。


「なっ……」

 リア自身も何が起きたかわからなかったのだろう。

 驚愕のあまり呆然とした表情で、そのまま崩れ落ちた。

 その後ろに立っていたのは、ビア・ヴェサルだった。

「ビア……どうして……?」

 クロが呆然としながら尋ねた。

「軟禁されていた部屋を抜け出してきたのです。状況からして、私が軟禁されたままなのはまずいと思ったので。でも、まさかこんなことになるなんて……」

 ビアの手には、血に塗れたナイフが握られていた。

「リアさん、ごめんなさい。でも、リーン様を手にかけたあなたを、このままにしておくわけにはいきませんでした。」

 ビアは、既に動かなくなったリアにそう言った。

 その言葉で、クロはリーンのことを思い出した。

「そうだ、リーン!」

 クロは痛む脇腹と右足を引きずりながら、何とかリーンの元へ向かった。

 リーンはガゼボのすぐ脇で倒れており、その腹から夥しい血が流れている。

「ク、クロ……」

 リーンが弱弱しい声で、クロを呼んだ。

「リーン、大丈夫か!今、手当てするから……」

 クロはそう言ったが、それが致命傷なのは、火を見るより明らかだった。

 リーンはクロの顔を見ると、少しだけ安心したように微笑んだ。

「クロ、ごめん……結局俺は何もできなかった……」

「うるせぇ!黙ってろ!」

 クロは上着を脱ぐと、リーンの傷口に押し当てた。リバーシブルの綺麗な生地が、血に染まっていく。

 だが、血が止まる気配はない。

「クロ……最後に、顔を見せて……」

「やだ!最後とか言うな!!」

 クロは必死に頭を振り、傷口を押さえる。

「クロ、お願い……」

 リーンの声が、更に弱弱しくなる。

「……」

 クロは涙でぐしゃぐしゃになった顔を、リーンに向けた。

 その顔を見て、リーンは微笑んだ。

「ありがとう……」

 そして、その言葉が最後だった。

「リーン……やだよぉ……」

 クロはそのまま泣き崩れた。

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