表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Episode:泥棒猫

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/141

Episode:泥棒猫37

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 空が夕焼けに染まっていた。

 リアはバアジの命で、お茶会をしていたガゼボにやってきた。

 表側は交戦になるので、もしリーンが戻ってくるとすれば、例の抜け穴からここを通ってくるはずだからだ。

「帰ってこないで。帰ってこないで。帰ってこないで……」

 リアはずっとつぶやきながら、ガゼボの中で座り込んでいた。

 リーン帰ってきたら、手にかけるしか道はない。

 そうしなければ、リアの母親はもちろん、オブスタクルの一般市民にも膨大な数の死人が出る。バアジのあの言葉に嘘はないだろう。

 恐らく、クロがいる貧民街の住人あたりを、真っ先に抹殺しにかかるはずだ。

 ここでリアがし損じれば、それだけの命が犠牲になるのだ。

 それはとても、リアには耐えられなかった。

 そうなると、残る望みは、リーンとクロの逃避行しかなかった。

 だから、一心に願った。

 自分はどうなってもいいから、リーンは逃げて。

 そうすれば、少なくとも母親と多くの国民の命は助かる。

 そして、自分もリーンを殺さずに済む。

「お願い……お願い、クロ公。リーンをどこか遠くへ……」

 その時だった。

 ガサガサと、庭の外れの茂みが音を立てた。

 その方向を見て、リアは一縷の望みが絶たれたことを悟った。

「リーン。」

 リアは茂みから出てきたリーンに声をかけた。

「リア!どうしてここに?」

 その声に気付いたリーンがガゼボのほうへ駆け寄ってくる。

「戻ってきたのね。」

 リアはそう言い放つと、そのままスッと立ち上がり、ガゼボから出る。

「当たり前だろう。それより、状況はどうなってる?誰がどうし―」

 リーンの質問は既にリアの耳に届いていなかった。

 リアは懐に忍ばせていたナイフを密かに握り締める。

「リーン……できれば、戻ってきてほしくなかった。このままどこかで、生き続けてほしかった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ