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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Episode:泥棒猫

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84/141

Episode:泥棒猫35

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 リーンはあえて路地が多い道を通って迂回し、城へ向かっていた。

 その為、着いた頃にはかなりの時間経ってしまった。こればかりは、普段の運動不足と鈍足が恨めしかった。

 幸いにも、ヴェサル・オブスタクル両方の兵に遭遇することなく、リーンは城の裏側の城壁までたどり着いた。

 表側から入ることも考えたが、一般人の恰好をしているリーンが不用意に近付いて、とばっちりを喰らわないとも限らない。考えた結果、元の裏側に回ることにしたのだ。

 表側の城門は厳戒態勢だが、それでも急な兵備の為か、敵が来る心配がない裏側まで手が回っていないらしい。兵士の姿は一人もなかった。

「よし、これなら入れる。」

 リーンは壁の穴から敷地内へ入ると、急いで城内を目指そうとした。

 だが、いつもお茶会をしているガゼボの前を通りかかった時だった。

「リーン。」

 不意に呼び止められた。

 見れば、ガゼボの中にリアが座っていた。

「リア!どうしてここに?」

 外の非常事態が嘘のように、リアは落ち着いて座っている。

 その様はまるで、いつものお茶会のようであった。

「戻ってきたのね。」

 リアは、どこか悲しげな表情で、そう言った。

 そのままスッと立ち上がり、ガゼボから出てくる。

「当たり前だろう。それより、状況はどうなってる?誰がどうして、こんな事態になったんだ?」

 リーンが矢継ぎ早に質問したが、リアはいつものように答えようとはしない。

「リーン……できれば、戻ってきてほしくなかった。このままどこかで、生き続けてほしかった。」

「リア、何を言って……」

 次の瞬間だった。

 リーンの体にナイフが突き立てられた。


 クロが大立ち回りでエクスプロイトを討ったことで、戦況は一変した。

 ヴェサル軍はすぐさま撤退を開始し、オブスタクル軍もそれを追うことはなく、そのまま破壊された門に臨時の防衛線を築き始めた。

 おかげで、城付近の警備はかなり手薄になった。

「今がチャンスだな。」

 クロはいつもの抜け穴から城内へ入ると、手筈通りガゼボへ向かった。

 時間的にリーンはまだ来ていないだろうが、とりあえずガゼボ付近で身を潜ませて、待つつもりだった。

 だが、そこでクロは不思議な光景を見た。

 ガゼボの前に、リーンとリアが立っていたのだ。

「ん?何であの二人が……」

 クロがつぶやいた、その時だった。

 突如、リーンが倒れた。

「リーン!?」

 クロは慌ててリーンに駆け寄ろうとした。

 だが、その瞬間に、リアが近くに置いてあった剣を手に取り、クロに斬りかかってきた。

「なっ!?」

 リアの攻撃など、予想していなかったクロは、その刃を躱すことができなかった。

 リアの刃はクロの右脇腹を捉え、瞬時に鮮血が吹き出す。

「くっ!」

 だが、クロは反射で体を捩り、どうにか致命傷だけは避けた。

 そのまま、後ろに跳び退き、リアと距離をとる。

「リア!どういうことだ!?」

 クロが激昂して叫んだが、対してリアは気味が悪いくらいの無表情だ。

「クロ公。出来ればあんたには、本当にリーンを連れ去ってほしかったわ。そうして、どこか遠くで、ただの人として、幸せになってほしかった。」

「何を言ってるんだ……?」

 クロにはリアの思惑が読めない。

 だが、今はそんなことを言っているわけにはいかない。リーンは倒れ込み、その周りには血だまりができている。

 どう見ても、命が危ない。

「どけ!リーンを助けるのが先だ!」

 クロが必死に叫ぶが、リアはその場を退く気配はなく、剣を構えるだけだった。

「悪いけど、リーンもクロ公もここで死んでもらうわ。」

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