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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Side:人
6/124

Dream:人&泥棒猫1

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 気が付くと、修一はいつもの自分の部屋のリビングで座っていた。

 いつもの光景だなと最初は思ったが、すぐに違和感に気付いた。

 最近部屋内の各所に置いたはずの、クロの猫用品がなくなっているのだ。

「……あれ?」

 部屋の中を見回していると、背後から物音が聞こえた。

 いつもクロが丸まっている座布団を置いている位置だ。

「クロ?」

 振り返ると……

「よう。」

 見知らぬ少女が、クロのお気に入りの座布団に座っていた。

「えっ!?誰っ!?」

 修一は魂消て、思わず後ずさった。

 一方、少女のほうは少しだけ意外そうな顔をしている。

「あっ、言葉が通じるんだ。」

 そう言って、少女は自分の体を見回している。

 年は中学生か高校生くらい、細身でどこか猫を髣髴とさせるフォルムの体つきで、特徴的な黒装束を着ている。忍者の装束を洋風にしたような、そんな服だ。

「うわっ、懐かしい。」

「懐かしい……?」

 少女の反応の意味がわからなかったが、修一にもどこか見覚えがある感じはした。

 そうだ、その顔立ちはどこかクロに似ている。

「もしかして、クロ?」

 修一が恐る恐る尋ねると、少女は目を丸くして反応した。

「リーン、覚えてるの?」

 少女は、つぶやくように訊いた。

「りーん?俺のこと?」

 修一がそう答えると、少女はちょっとだけがっかりしたように見えた。

「……そっか。今は河瀬修一って名前だったな。」

「今は?」

 少女の言葉の意図が今一つ理解できないが、とりあえずこの少女は、クロであるのは間違いないらしい。

「ということは、これは夢?」

 修一が尋ねると、クロは頷いた。

「多分な。普段は猫だし、言葉も通じてねぇし。」

 クロは座布団の上で頬杖をつきながら同意した。

「そっか……じゃあ、いい機会だから訊きたいんだけど……」

「なに?」

「クロはどうして、ここに来たの?ある日突然、やってきたよね。」

 修一が尋ねると、クロはフッと笑った。

「どうしてって、おまえに会いたかったからだよ。」

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― 新着の感想 ―
黒猫ちゃんとの心温まる生活。度々来てくれる書店のお姉さんも気になる存在ですね。 そんな黒猫ちゃんの正体は何かな、と気になりました。この先も楽しみです。
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