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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Side:人

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48/141

Side:人44

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 クロは亡くなった翌日の夜、荼毘に伏されることになった。

 小西が知り合いのペット火葬業者を紹介してくれて、移動式の火葬車に来てもらい、御船書房の前で火葬することとなった。


 御船書房はそこから二日間休業となり、弔問客の受け入れに専念することとなった。

 クロの訃報は、ホームページやSNSと莉愛を通じて瞬く間に知れ渡り、一週間前の結婚式に来たメンツはほぼ全てが、弔問に訪れてくれた。

 それだけでなく、商店街やそれ以外の周辺の住民も次々訪れ、下手な人間の葬儀より、多くの人が訪れているような有様だった。


「準備、できたって。」

 火葬の業者と手続きをしていた莉愛が、リビングへ声かけに来た。

 リビングには、修一と結花、そしてクロが水入らずで一緒にいる。

「じゃあ、そろそろだね。」

「うん……」

 寝かされていたクロを修一が抱きかかえ、結花と莉愛がその後へ続いて、一緒に一階へと連れていく。

 一階では、時間の都合がついた縁の人々が見守っており、その中を修一と結花が進んでいく。

 火葬車は御船書房の正面入口のすぐ前に停まっており、既に準備は万端となっていた。

 結花がお気に入りだった座布団をまず火葬車の中に置き、修一がその上にクロを寝かせる。

 そこに、副葬品でお気に入りだった餌やおもちゃを置いてあげた。

 結花はその後に、菊の花を供えた。

 その後、参列していた人々が順番に花を供えながら、クロにお別れの言葉を告げていく。

 最後まで診てくれた小西や木下さん。

 丸山とフェアの手伝いに来ていた取次の後輩達。

 商店街や周辺の人々や、常連のお客。

 イベントを行ってくれた作家や莉愛のインフルエンサー仲間達。

 そしてその中には、秋月の姿もあった。

「クロ公、ちょっと逝くのが早過ぎるでしょーが。もうちょい、ゆっくりしていってもよかったのに……まぁでも、あんたのおかげで、色々助かったし、楽しかったよ。ありがとう。」

 参列者の最後に、莉愛がそう言って花を供えた。

 その目には、涙がいっぱいにためられていた。

 そして、最後にもう一度、修一と結花がクロの元へやってきた。

「クロちゃん、本当にありがとう。クロちゃんのおかげで、私達は幸せになれたよ。こんなに早く逝ってしまうのは寂しいけど、絶対にクロちゃんのことは、忘れないから……」

 結花はそこまで言って、言葉に詰まってしまった。

 修一がその肩を優しく抱いた。

「クロ、今までありがとう。また会おうな。」

 修一はそれだけ言って、花を供えた。

 そして、二人はゆっくりと後ろへ下がる。

「それでは、よろしいでしょうか。」

 業者の人がそう言って、火葬車の扉を閉めた。

 そして、ゴウンという音と共に窯が動き出し、しばらくして煙突から煙が出始めた。

「クロ、さよなら。」

 修一はそうつぶやいた。

 皆、そのまましばらく、立ち上る煙を見つめ続けていた。

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