Side:人44
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
クロは亡くなった翌日の夜、荼毘に伏されることになった。
小西が知り合いのペット火葬業者を紹介してくれて、移動式の火葬車に来てもらい、御船書房の前で火葬することとなった。
御船書房はそこから二日間休業となり、弔問客の受け入れに専念することとなった。
クロの訃報は、ホームページやSNSと莉愛を通じて瞬く間に知れ渡り、一週間前の結婚式に来たメンツはほぼ全てが、弔問に訪れてくれた。
それだけでなく、商店街やそれ以外の周辺の住民も次々訪れ、下手な人間の葬儀より、多くの人が訪れているような有様だった。
「準備、できたって。」
火葬の業者と手続きをしていた莉愛が、リビングへ声かけに来た。
リビングには、修一と結花、そしてクロが水入らずで一緒にいる。
「じゃあ、そろそろだね。」
「うん……」
寝かされていたクロを修一が抱きかかえ、結花と莉愛がその後へ続いて、一緒に一階へと連れていく。
一階では、時間の都合がついた縁の人々が見守っており、その中を修一と結花が進んでいく。
火葬車は御船書房の正面入口のすぐ前に停まっており、既に準備は万端となっていた。
結花がお気に入りだった座布団をまず火葬車の中に置き、修一がその上にクロを寝かせる。
そこに、副葬品でお気に入りだった餌やおもちゃを置いてあげた。
結花はその後に、菊の花を供えた。
その後、参列していた人々が順番に花を供えながら、クロにお別れの言葉を告げていく。
最後まで診てくれた小西や木下さん。
丸山とフェアの手伝いに来ていた取次の後輩達。
商店街や周辺の人々や、常連のお客。
イベントを行ってくれた作家や莉愛のインフルエンサー仲間達。
そしてその中には、秋月の姿もあった。
「クロ公、ちょっと逝くのが早過ぎるでしょーが。もうちょい、ゆっくりしていってもよかったのに……まぁでも、あんたのおかげで、色々助かったし、楽しかったよ。ありがとう。」
参列者の最後に、莉愛がそう言って花を供えた。
その目には、涙がいっぱいにためられていた。
そして、最後にもう一度、修一と結花がクロの元へやってきた。
「クロちゃん、本当にありがとう。クロちゃんのおかげで、私達は幸せになれたよ。こんなに早く逝ってしまうのは寂しいけど、絶対にクロちゃんのことは、忘れないから……」
結花はそこまで言って、言葉に詰まってしまった。
修一がその肩を優しく抱いた。
「クロ、今までありがとう。また会おうな。」
修一はそれだけ言って、花を供えた。
そして、二人はゆっくりと後ろへ下がる。
「それでは、よろしいでしょうか。」
業者の人がそう言って、火葬車の扉を閉めた。
そして、ゴウンという音と共に窯が動き出し、しばらくして煙突から煙が出始めた。
「クロ、さよなら。」
修一はそうつぶやいた。
皆、そのまましばらく、立ち上る煙を見つめ続けていた。




