Side:人43
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
「結花さん、交代するから、少し休みなよ。」
明け方、修一が起き出してきて、クロの様子を見ていた結花に声をかけた。
「うん、ありがとう。」
結花はクロの頭を撫でると、寝室のほうへ向かっていった。
その姿には、明確に疲労が見て取れた。
「クロ、大丈夫か?」
修一が声をかけると、クロはスッと目を開けた。
それを確認して、頭を撫でてやる。
「ここ数日、いろんな人が来てくれたな。多分おまえ、俺より愛されてるぞ。」
修一は自虐的なことを言って、頭から体にかけて撫でてあげた。
「ごめんな、不甲斐ない飼い主で。でも、俺はダメな奴だったけど、結花さんや莉愛や、たくさんの人がおまえのことを想って、協力してくれたよな。多分これって、幸せなことだったんだと思うよ。」
小さくつぶやく修一を、クロはじっと見ている。
「なぁ、クロ。」
修一は優しく微笑んだ。
「俺はおまえを幸せにすることができてたか?」
「みゃー」
不意にクロが鳴いた。
ここまでしっかりした鳴き声は、久々だった。
「……そうか。」
修一は頷いた。
その瞬間だった。
クロがケホッと小さく咳をした。
そして、それを最後にお腹の動きが止まった。
「クロ……」
修一は一度だけ名前を呼んで、それきり何も言わなかった。
そして、体にあてていた手をそっと離し、再び頭を撫でてやった。




