Side:人16
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
目が覚めると、今度は御船家のリビングで寝ていた。
起き上がると、今日は足元でクロが丸まっていた。
「クロ、おはよう。」
修一が話しかけると、クロはパチリと目を開けた。
「みゃー」
いつものおはようの挨拶。
「クロ、おまえも今の夢、見てたか?」
修一が尋ねると、クロは首を傾げた。
「みい?」
「見てたかわからないけど、御船さんは俺のことをそういう風に見てるわけじゃないと思うぞ。」
「みぃ」
「御船さんは、どちらかと言えば、クロのことが可愛いから、ここまでしてくれてるんだ。俺はおまけだよ、おまけ。」
猫相手に、途轍もなく熱心に演説していた、その時だった。
「私がどうかしましたか?」
突然、結花の声が、どこからともなく飛んできて、修一は飛び上がらんばかりに驚いた。
見れば、廊下への扉がわずかに開いており、隙間から結花が覗き込んでいた。
「いや、別に何でもありません!」
修一は大袈裟に首を横に振った。
その様が面白かったのか、結花は少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「……クロちゃんと、私の悪口でも言ってたんですか?」
「そんな!滅相もありません!なぁ、クロ!」
修一がそう言うと、クロはスッと目を逸らした。
「あー、やっぱりよくないこと言ってましたね?」
「いやいやいや!クロ、そんな反応するなよ!それっぽくなるじゃないか!」
「クロちゃんは正直ですね~」
「いや、本当に悪口とか言ってませんからね!?」
修一の謎の弁明は、それから三分ほど続いたのだった。
その後、結花が朝食を用意してくれて、クロ共々ゆったりとした朝時間を迎えた。
今まで通勤をしていた修一にとって、通勤時間ゼロは物凄く楽だったし、何より朝食を作ってもらえるのが、この上なくありがたかった。
「絶対に、御船さんの悪口とか言えないぞ……」
朝食後、開店準備をしながら、修一はつぶやいた。




