Dream:人&泥棒猫2
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
目が覚めると、修一は自分の部屋で寝ていた。
「……あれ?御船さんのところに泊まってなかったっけ?」
起き上がると、猫用品はやはりなくなっていたが、唯一クロが気に入っている座布団だけは残っていた。
その上に、黒装束姿の少女が座っていた。
「よう。」
「クロ!?」
修一は慌ててベッドから飛び降り、クロの前で正座した。
「何で正座?」
「いや、何となく……」
とりあえず、無駄なやり取りをしてしまった。
修一は仕切り直すと、クロに向かって頭を下げた。
「えっと、とりあえずごめん。急に引っ越すことになっちゃって……」
クロは溜息をついて頬杖をついた。
「あたしはリーンとここにいたかったけど、仕方ねぇ。」
あれだけ抵抗した割には、殊勝な答えが返ってきた。
「その、リーンって何?俺のこと?」
修一が尋ねると、クロは天井を見上げて何やら考え出した。
「まぁ……知らないなら、言わないほうがいいのかなぁ……じゃあ、綽名だと思ってくれ。」
「綽名……」
何かあるらしいが、聞かないほうがいいようだ。
「まぁ、いいや。それじゃあ御船さんにも、もう少し懐いてくれないかな?」
「それは話が別。」
クロはピシャリと言った。
「えー……何で御船さんのこと、そんなに嫌うの?」
修一が困惑しながら尋ねると、クロは修一のほうを横目で見てきた。
「別にビアのことは嫌いじゃねぇよ。」
「ビア?」
「あー、御船結花の綽名。」
「はぁ。」
いちいち、綽名があるらしい。
「ビアのことは嫌いじゃねぇし、リーンと一緒にいられるのもビアのおかげだから、あたしも感謝はしてるよ。でも、愛想よくするのはムリ。」
「どうして?」
「明らかにおまえのことを狙ってんじゃん。リーンはあたしのもんだ。」
クロははっきり言い切った。
「え……」
修一は思わず口が開いたまま、硬直してしまった。
「でもまぁ、もう脱走したりしねぇよ。リーンに迷惑かけちまうし、別にビアを泣かしたいわけじゃねぇしな。」
硬直した修一に構わず、クロは話し続ける。
「ちょ、ちょっと……」
「それはそれとして、生活に行き詰ったら、あたしも困るから、手は貸してやるよ。」
クロはそう言って、ニヤっと笑った。
「いや、それよりだな、御船さんは、別に俺のことはそういうふうには……」




