表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Side:人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/141

Side:人11

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 ジメジメとした梅雨が終わり、季節は灼熱の真夏へと移り変わった。

 修一が御船書房で勤め始めてから二か月余りが過ぎ、ようやく一通り仕事ができるようになってきた。


「そろそろ、お仕事にも慣れてきたと思いますし、ネット通販の準備を始めましょうか。」

 結花がそう提案してきたのは、七月終わりのことだった。

「そういえば、そういう名目で雇われたのを忘れていました。日々の業務に、ひたすら集中してましたね。」

「本当に真面目にしっかり働いてくれてますものね。おかげで助かっています。」

 結花はにっこりと笑った。

「その通販について、働き始める前に少しだけ調べたんですけど、どういう形式でやるんですか?大手の通販サイトに参加するのか、自前でやるのか……」

 修一が尋ねると、結花は少々困った表情になった。

「大手のサイトは、経費の面からいって難しいですね。他のサイトとの差別化も難しいですし、ウチがやったからといって、わざわざお客様に選んでもらえるようなアドバンテージはありません。」

「となると、自前でサイトを立ち上げて、注文がきたら、俺達で梱包して発送する感じですか。支払いとかはどうするんですか?」

「ショッピファイやベースみたいに、あまり経費をかけずに、支払い機能付きのサイトを作れるプラットフォームがありますので、その辺りを利用しようかと思っています。」

「なるほど。」

 近年は本に限らず、個人や小さな企業が気軽に通販を行えるようにサポートしてくれるプラットフォームが複数出てきているのだ。

「問題は、通販に乗せるラインナップをどうするかなんですよねぇ……」

 結花は額にシワを寄せて、つぶやいた。その表情は、結花を見た時のクロに少しだけ似ていた。

「当然、世にある全ての本はムリなので、店内にある本からチョイスすることになるのですが、どういうラインナップにすれば、話題になるかが、わからないんですよねぇ……個人書店でやってるところは、どこも個性的なラインナップにしてるのですが、本自体は他の通販やリアル店舗で手に入るので、そのサイトで買いたいと思わせなければならないんです。そこが超難しいですね。」

 本は性質上、手作りアクセサリーや民芸品、料理とは違い、オリジナルの一点物を用意することができない。日本全国どこでも買える本を、御船書房のサイトでこそ買いたいと思わせるにはどうするか……それが最大の課題だ。

「俺達のオススメとか、話題の本とかを並べても、わざわざここで買わないですよね。」

「私達が芸能人とか、強力なインフルエンサーとかじゃなければ、ムリですね。もしそうなら、本を売るより、もっと効率よくお金を稼ぐ方法はあるでしょうし。」

「そうですよねぇ……」

 難しいとは思っていたが、やはり売上につなげるのは、ハードルが高そうだ。

 その上、かかる経費のことを考えると、通販部門で黒字を出すのは、なかなか至難の業だ。


 その後しばらく、二人で話し合ったのだが、結局、サイトの方向性や作成方法は決まったものの、肝心要の本のラインナップは、まったく決まらなかった。

 そして、そんな時に限って、厄介な問題が起こるものなのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ