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最優の落第騎士学園生〜卒業試験を棄権して何度も何年も学生のままである落第騎士候補生は、何故か優秀〜  作者: 第八天龍王 七百印麗院


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第19話:『龍血魔法文字命令』

「教授、今日は何を作っていらっしゃるのですか?」


「うん、今の段階では、ただの計算機」


 誤魔化したが、グラハムはコンピューターを作ろうとしていた。

 ただ。ただ、だ。


「最終目標としているところまでは、俺の寿命でも仕上げられないし、その過程の十分なレベルの計算処理は、この世界では『龍血魔法文字命令』で魔法としてもっと便利に出来てしまうんだよねぇ……。

 でも、完全上位互換とするには、俺みたいな長命の者が基礎を築かないと、完成まで持って行くのは無理なんだよねぇ……」


「『龍血魔法文字命令』?!

 アレは、難解でまともに行使出来る者は殆ど居ないと云う話を訊いた覚えがありますが……」


「うん、ソレをもっと高度に理解したら、もっと途轍(とてつ)もなく便利な代物になる筈なんだよねぇ……」


 グラハムの目標としているところは、『シンギュラリティ』、即ち、『AI(人工知能)』と人間の智力の逆転現象。グラハム単独では、絶対に為し得ない。何故ならば、『基本情報』の資格を取るレベルの前世の記憶は持ち越しているが、『応用情報』の資格を取るレベルの前世の記憶なぞ、そもそも転生した時点で持ち合わせて居なかったからだ。


 ただ、『便利』と云う一点に於いては、前世の記憶の比ではないであろう。

 何しろ、『HTML文』を主とする命令文を龍の血液で描けば、命令通りの結果を齎してしまうのが、この世界の『魔法の一部』なのだから。


 だから、グラハムは元々発明されていた『大容量収納袋』を、『無限収納袋』へとバージョンアップさせたのだ。

 ソレを海に落とすだけで、その惑星『テラセブン』のほぼ全ての生命体が亡くなってしまうと云う問題の品でもあるから、グラハムも自分の分一個しか作ることはせず、他は容量に制限を設けたのだから。

 特に気を付けているのが、『無限収納袋』にせよ『大容量収納袋』にせよ、気体を単独で収納する事が出来ないような設定にする事である。

 その際、どちらの袋も、中身を真空にするのではなく、通常の空気が詰まっているようにしている。

 十分な余裕を設けているから、気圧の問題が発生するには、それ相応の容量の物を詰めなければ、その問題も発生しない。


 但し、ソレ以外の機能については、自重無く作りまくっている。


 例えば、冷却や加熱。密封時の時間の経過の停止。その他様々な機能の『大容量収納袋』を、幾つか持ち、そして大量に売却している。

 エジソンもグラハム作成の『大容量収納便利袋』を所持していたが、本人は誰の作品なのかを知らない。


 そもそも、『基本情報』レベルとは云えプログラミング言語を知っていて、かつ『HTML文』による命令文の書式まで知っている者は、グラハムの他に居るかどうか……。居たとしたら、ほぼほぼ間違い無く、グラハムと同じく転生者だろう。


「幸い、『龍の血液』は在庫がたっぷりあるから……エジソン君、勉強してみるつもりはあるかな?」


「ご教授して頂けるのですか!?

 でしたら、是非ともお願い致します!!」


「他の四人も近くに居るんだろう?

 この際だから、最低限の手習い迄は五人全員、お世話するよ!」


 グラハムがそう言うと、物陰から一人また一人と姿を現した。


「筆は持っている?

 龍の血液は、零したら勿体無いから、小鉢に入れて少しずつ渡すよ。

 足りなくなったら声を掛けて。

 さて。何を創りたい?」


 エジソン達は、そう云うアイディアを求められると困ってしまう。何しろ、何を()の位の物を創れるのか、全く想定して居なかったからだ。


「どんなものが創れますか?」


「うん、正確に文面として意味の通じる文章に出来るものなら、大抵は何でも出来るよ?」


「え゙っ!!」


 可能性の果てし無さに、エジソンのみが驚く。

 他の四人は、「ソレは意外と創れるものが限られてしまうのではないか?」と瞬時に思った。

 だが、正しい反応はエジソンの方である。何しろ、その「文章」の長さに限りが無かったからだ。

 大きなものでなければならないだろうが、果てし無く殆ど何でも創れてしまうのではないかと、エジソンのみがその可能性に瞬時に気付いたのみだ。


「「──あっ!」」


 少し遅れて、キュリーとナイチンゲールが気付いた。そして、二人から耳打ちされたケネディとリンカーンが、気付けなかった恥に赤面した。


「しかし、それなりのサイズにはなってしまうのでは……?」


「モノによってはね」


 その文章の縮め方を知るグラハムのみ、正確に創れてしまうもののサイズが想像出来る。


 だが、グラハムの想定するサイズと、エジソンの想像する、サイズの差の大きさには、敢えてグラハムは指摘しない。


「例えば、僕の思った通りに動く、対人戦闘訓練用自動人形、なんて創れますか?」


「うーん……『思った通りに』とか、『自動』とかって概念が曖昧過ぎて、実現は相当に難しいよ?」


「は?『思った通りに』とか、『自動的に』とかって表現すれば、正しく正確に文面として意味の通じる文章にはなるのではないですか?」


「うーん……じゃあ、俺の『思った通りに』、エジソン君が動いてくれないかな?」


「え……?──あ!そうか!どう思っているかが表現されていないんだ!

 成る程……確かに、難しそうですね……」


「例えば、20時間に一度、同封したドラゴン肉のコピーを創る、『大容量収納袋』を創るのは、ソレと比べたら遥かに簡単だよ。

 色々な事が出来るけれど、その命令が明確で無ければ、『自由に』とか『思った通りに』とかって意味の代物を創るのは、大抵の場合、非常に難しいね」


「そうか……。

 因みに、本当に同封したドラゴン肉のコピーを創る『大容量収納袋』はそんなに簡単に創れるのですか?」


「同封するドラゴン肉の調達と同じ位の難易度かな?」


「それは……中々に難しそうですね……」


 ドラゴンを討つ事が難しいエジソンの立場からすれば、大変だが、グラハムの言葉の意味は、『ドラゴンを討てる実力を身に付ける努力』と同等の努力が、その特殊な『大容量収納袋』を創る技術を得る為にも必要だと云う意味であった。

 ドラゴンとは、『辰年生まれの人間』と云う意味では無い。そもそも、グラハムを始めとする、存在する可能性すら怪しい他の『転生者』の他には、恐らく十二支と云う概念の存在すらも知る者の無い世界である。


「簡単だよ?

 ドラゴンの胃袋は持っている?

 一応、それなりの数のストックはあるけど。

 そうだねぇ〜、2〜3時間、俺の云う通りに文字を書き込めば、あとはドラゴン肉を200gほどを放り込めば、20時間に一回、コピーを生成出来るようになるよ?」


「教授……ソレは普通、簡単とは言わないのではないでしょうか?」


「『龍血魔法文字命令』を理解するよりは、遥かに簡単だよ?」


 比較の対象が、究極難易度だった……。

 エジソンは頭を抱えて、どう切り返したら良いものか、逡巡(しゅんじゅん)していた。


「大丈夫、大丈夫。

 ココに見本があるから、コレと同じく龍の血で『魔法文字』で命令文を書くだけ。

 簡単、簡単♪♪」


「(教授は簡単のレベルを間違えていらっしゃる)」


「ん?何か言ったかな?」


「いえいえ、何でもありません」


 エジソンはそう誤魔化す。


 だが、コレは誤魔化して断るのも難しいと判断したエジソンは、襟元(えりもと)を正してグラハムに対して言う。


「教授。この場に居る全員に、ソレを手解(てほど)きして頂く事は出来ますでしょうか?」


「うん。そのつもりだったから、話した事であるし……、材料も実は十分にあるんだ。

 ──ホラ、ドラゴンの胃袋、五人分一人一つ。

 筆も何なら貸し出すし、『龍の血液』も大量にあるから、心配無く。

 あ、因みに誤字があったら失敗するから、それなりに集中してね。

 完成したら、ドラゴン肉も配るし、失敗した場合は、ドラゴンの胃袋は没収して再利用出来るように洗浄するから、失敗しないように集中してね!」


 想像以上の、作業に挑む為のプレッシャー。だが、エジソンは皇族として、他の四人はその護衛兼身の回りの世話に、緊張感を受けるのに慣れがあった。


 コレは、失敗出来ない……。


 しかし、緊張感を強いられる時に実力を発揮するメンバーは、それぞれに『自分だけは失敗出来ない』と、自らで自らを追い込んだ。


 ──約半日後。


「うん、皆、上手い上手い。

 まさか、全員成功するとは思わなかったな」


 そう言いつつ、グラハムはそれぞれの『大容量袋・改』に300g(グラム)程のドラゴン肉を放り込んで行く。


「さあ、今後、君達は毎日ドラゴン肉を喰らう事で、かの『黄金世代』をも上回るペースでレベルが上がって行くよ!

 その実力を、何の為にどう使うのかは君達の自由だ!

 申し訳無いけれど、僕は君達に期待させて頂くよ!」


 何故か、プレッシャーが更に増した気配を感じたのは、顔を見合わせて自分だけではない事を悟り、後程、要相談の案件だと五人全員が認識したのだった。

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