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最優の落第騎士学園生〜卒業試験を棄権して何度も何年も学生のままである落第騎士候補生は、何故か優秀〜  作者: 第八天龍王 七百印麗院


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第11話:無詠唱魔法

 それは、魔法の実習の時の事だった。


 グラハムは、無詠唱で緻密な魔法を放ち、観る者の心を沸き立たせる、炎で描いた龍のコントロールをしていた。


「教授!」


「──ん?何?」


「どうやったら、そんな魔法が使えるのですか?」


「無詠唱と炎の龍のどっちの方?」


 質問した学生は迷いながらもこう言った。


「出来れば両方ですが、今回は特に無詠唱の方です!」


「んー……『権限レベル』の違いかなぁ、『管理者(アドミニストレーター)』としての」


「えっ!『権限レベル』?!『アドミニストレーター』!?」


「うん。因みに俺のメインの『権限レベル』は、『Excessive Administrator』だね。

 一度はその権限で命令しないとならないから、最初から全て無詠唱では無いよ?」


 何せ、魔力の無いと思われる世界で、世界級魔法を行使出来てしまった方法だ。魔力の実在が確信されている世界で、どれだけの事が出来るかは、可能性は∞だ。


「どど、どうすれば真似出来ますか?」


「うーん……魔法の行使に慣れて、徐々に詠唱を短くして行くしか無いかなぁ……」


「……何年、掛かりますか?」


「んー、早くて10年」


「同じ魔法ばかり、10年ですか?」


「ソレはその人の適性に依るねぇ。

 一つの魔法ばかり続けて使うか、ありとあらゆる魔法の行使を試すか。

 因みに俺は、10種類位の魔法を繰り返し使ってたら、『権限レベル』が上がっている事に気付いて、徐々に強い権限で命令していって、ある時、呪文の必要性が無い事に気付いて、ね。

 最終的に、メソッドを意識するだけでも魔法の行使が出来るようになったから、逆に、メソッドを働かせないメソッドを行使する必要が生じたのだけれどもねぇ。

 安心して眠る事も出来ないと云うのは、中々に(こた)えたよ」


「えっ!無意識で魔法を行使してしまうのですか?!」


「うん。だから、俺はソレを勧めていない」


「……」


 絶句されてしまった。

 グラハムは、前世の記憶がある事を秘匿している。

 ただ、大事な情報に限って覚えていないのだが。


 それでも、『お約束』と云う奴で、振る舞うべく振る舞う状況になったら、その『お役目』を出来るだけ果たすべく、行動して来て居るのだが。

 判る奴は、キーとなる言動をして来て居る。


 但し、『Lana』、二重死の可能性が怖かったからと言っても、煽って来たお前を許すまじ!

 大体、『死』の文字や音を見たり聴いたりした位で、『死』を怖がっていたら、『四』と云う『藤の月』の数字を過剰に恐れ過ぎだ。


 だが、だからといって『藤の月』を支配しようとしたら、『エイプリルフール』と云う運命になるのだから、『不死(ふじ)』を支配する事は恐らく不可能なのだろう。


 その割には、割とアッサリ、『呪殺』を意図しない形で成し遂げられているが、やはり、支配出来ないようである。『呪殺』が出来ると確信出来る『三度の再現性』が実現出来ていない。


 或いは、言語が通じない相手への『呪殺』は通用しないのだろうか?


 いずれにしても、ちょっとした表現に依る『呪殺』は、意図しない形で起こることは確かであるようだ。


 暴走を止めるメソッドを組むことは、グラハムの経験に依ると、重要そうであった。


 前世では、個人的に『コンピューター憲法』を定めたが、効果があったのは一時的な間であった。


 だが、実際問題、どんな命令であっても、効力を持つのには限りがあるだろう。

 だからといって、一夜にして魔力の無い世界から魔力の存在する世界に変化するなぞ、物語の世界でのみの現象であろう。


 グラハムにしても、前世の記憶があって、エルフと云う長寿命種に産まれていなければ、何十年も学生として過ごす事など無かっただろうが。


 そう云えば、一度目の『呪殺』の際、煽って来た人が居たが、別に恨みのある相手で無かったし、何なら『支配の名前』の持ち主だから、『呪殺』されない確信があるのだろう。


 ただ、恐らく『呪殺無効』の能力持ちなのかもと思って自分も巻き込む『呪殺』を試したら、発熱してツラい思いをしたな……。多分、『呪殺耐性』程度なのだろう。

 今後、『呪殺』はしないようにしないと駄目だな。

 それに、そのメインターゲットは何事も無かったようだし。


 ただツラい思いをした。それだけだった。


 ──そうそう、無詠唱魔法の使い方の話であったな。


「『呪文』と云うのはね、『魔法』を行使する権限と、要求する効果の魔法のイメージを固める為だけのものだと、『無詠唱魔法』を行使出来るようになったら判るよ」


 そう言うと、質問して来た学生の肩を、魔法の実習を担当する先生がポンポンと叩いた。


「君。先生は俺だぞ?

 学生同士だからといって、『師匠』に直接質問するのはどのような理由に依るものかなと俺は思うのだが、君はどう思うね?」


「は、ハイ……。そうでした。

 先生、あの位の技量で魔法を行使するには、何の位の年月が掛かりますか?」


「うーん……このレベルの再現性は、恐らく人は一生を賭けて、50年で成し遂げれば、早い方だと思うよ。

 何せ、俺ももっと(あら)い魔法を行使するのが精一杯だからな!」


 それでも、実習を担当する先生に成れるレベルの才能があったから、成れたのだ。才能が無い者が一生を賭けても到達出来るレベルでは無い。


 その事が判ったのか、その学生は、(つたな)い呪文で魔法の行使に慣れる為の訓練に取り組むのだった。

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