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最優の落第騎士学園生〜卒業試験を棄権して何度も何年も学生のままである落第騎士候補生は、何故か優秀〜  作者: 第八天龍王 七百印麗院


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第10話:ドラゴン肉を要求されて

 それは、ある日の昼休みの事だった。


「師匠!」


「うン?」


「あの……厚かましいお願いかも知れませんが、ドラゴン肉をもう一度、味わいたいのですが……」


「うン。まぁ、基本、そのお願いは断る事にしているんだけど……。

 まぁ、何だ。代金が支払えるなら、譲らないでは無いよ」


「──お幾らですか?」


ステーキ一枚(100g)500万マナクル(グリーンカード)


「うっ……。高い……。高いがしかし、ドラゴン肉をその価格で食べられるなら、妥当なところか……。

 ──いや、しかし……」


 例年、この価格で諦めさせて居るのだが。


「良いでしょう!コチラでお願いします!」


 その学生は、学食のテーブルにグリーンカードを叩き付けた。


「ほぅ……支払うか。ならば、次回からは、1000万マナクル(ブルーコイン)に値上げだな!」


「なっ……!」


 ガタガタッ。


 椅子が(にわか)に騒がしくなる。


「教授、今ならグリーンカードでドラゴン肉を売って頂けますか?」


「う……うん、先着10名様に限り、ね!」


 途端に、行列が出来た。約10名。順にドラゴン肉をグリーンカードと交換し、学食のシェフに頼み込んで焼いて貰う。

 そして、その人数が10名に達した時、行列に残って居るのはたった一人だった。


「うっ……」


 泣きそうな顔で並んでいたその娘は諦め切れず、グリーンカードをテーブルにそっと置いた。


「──仕方無いなぁ。でも、今回は君で最後だよ?」


 そうして、グラハムはお情けとしてドラゴン肉を渡し、受け取った女子学生は、嬉し泣きの涙を流しながら、「ありがとうございます♪♪」とお礼を言って、学食のシェフに調理を頼むのだった。


 後にグラハムは、「美人の涙に弱い」と噂されるのだが、毎年の恒例であるし、タイミングの問題で、本人の弁に()れば、「美人は、美人であるべく努力している事が、其れだけで十二分に美徳」と語るのであった。


 そして、エルフであるが故に性欲が乏しく、お手付きになる娘は現れないのであるが、よく観察していれば、グラハムは露骨に美人に優遇しているのであった。

 女子学生の方も、グラハムに心が傾く娘も居るが、お手付きになった娘の噂すら流れぬし、「役得」と思う娘が大半なのであった。


 まぁ、美人で無い娘は多少の嫉妬は妬くが、それでも、男子学生とは対等に扱ってくれる事に気付くと、二択に分かれる。即ち──


 美人を目指してダイエットと化粧に努力する娘と、男子学生と対等なら構わないかと諦め、美人の娘に嫉妬する娘とに。


 しかし、グラム10万マナクルの肉とは、何と云う高級肉だと云うのか……。

 金の10倍近い価格である。

 まぁ……レベル10相当のステータス上昇効果があるのであれば、ソレも致し方あるまいと云ったところである。


 本人は、都合の良い時に調達し、気の向いた時に食べているし、何なら、バーベキューを開催すれば、学食の方が過疎化すると云う事態になる。

 なので、一応、形の上では、許可を得た時に限ると云う原則となっているし、許可を求めれば断られる事はまず無いものの、都合の悪い時には、それとなく(にお)わせれば、禁止される事もある。

 例えば、調子に乗った大物貴族の子息とかが要求して来た時に、禁止にさせる為にグラハムは利用しているし、皇帝陛下となぁなぁの仲だと気付かせれば、調子に乗るのも落ち着く事になる。


 まぁ、過去を辿ればグラハムがドラゴン肉を安値で振る舞っていた時期もある。それに、そもそもが、レベル10の違いが大きな違いになるレベルと、ほぼ変わらないのに近いと云う者との間で、(いさか)いになれば、後悔するのは喧嘩を売って来た側である。


 (やぶ)突付(つつ)いて蛇どころか皇帝陛下が出て来れば、ビビらぬ貴族は居ない。

 しかも、マナーの出来ていないグラハムは、皇帝陛下相手にタメ口を叩くのだ。

 どんだけ親しいんだよと云う話になるが、ソレについては、同期に近い貴族の親から話を聞いた貴族子弟が、詳細に語るのだ。

 しかし、ソレを馬鹿正直に信じる者は少数派だ。

 何せ、尾鰭(おひれ)が付きまくった話が流れるのだから……。


 皇帝陛下がグラハムに多額の借金をしていたと云う話だけでも、真実なのに信じない者も居るのだ。

 今の平和で清らかな世界からは信じられない程の政治腐敗を払拭(ふっしょく)した事は、皇帝陛下の才を語る上で、欠かせない。

 ソコにも尾鰭が付きまくって居るのだから、皇帝陛下の絶対性は疑う余地が無い。

 なのに、グラハム相手にはタメ口を許すどころか、グラハムに対して他国のトップに対して取るようなマナーを披露するのだ。

 グラハム、恐るべしである。

 当然、長期の滞在をする訳では無いが、その間に築かれるグラハムの武勇伝。


 結果、グラハムは敵に回したらダメだと云う結論に辿(たど)り着く。

 グラハムも、敵に回るのは論外だが、皆と仲良く楽しく過ごしたいと思っている。

 ただ、その築いた武勇伝は、とても『対等で』と云う雰囲気にはならない。


 まして、『狩り』を共にした者達ならば、尚更である。

 だが、グラハムは出来れば対等の立場で付き合いたいと思っていたが、ソレが難しい事も理解している。


 まぁ、そのうち慣れる。例年のように、そのようになる事を、グラハムはただ待つのであった。

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