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漏洩……?

「甲斐……何でお前が……!?」


前に確かここで戦闘したはずだが……。なんで、平然と俺の目の前に立っているんだ。この男は。


「おったらアカンのか?」


甲斐直人は俺にグイッと顔を近づけて、プレッシャーを放つ。俺は一歩下がって、質問の意図を探る。……ダメと言っている訳ではないが……この前この喫茶店をぶっ壊してなかったか……?


「だってお前……」


俺が言い訳を言おうとすると、そいつはクルッと振り向いてさっきまで座っていたカウンターの席に座り直した。


「適当に昔話しに来ただけや。気にせんでええ」


……そう言いながら、ここからはよく見えないが甲斐は飲み物を飲んだ。俺たちのすぐ近くにいた鬼頭さんが、甲斐に聞こえないくらいの小声で訊いてくる


「……で、何か用があったのか?こんな時間に二人で……」


雨翔先輩から「どうする……?星乃君……」という視線が当てられる。甲斐が居たら話し辛いったらありゃしないから……


「少し外でも大丈夫ですか?」


俺も鬼頭さんに合わせて小声で答えたのだが……


「なんや、ワイが聞いたらアカンやつか」


「地獄耳かお前」


……てか、話を聞こうとしてたのかこの男。


「はいはい、ワイ聞かへんからさっさと話してきいや」


とはいえ、空気を読んだのか、甲斐が飛んでいる虫を追い払うかのように手を振り払った。


「すまんな、蒼」


鬼頭さんが謝り、俺たちのいる外へ出ようとする。その鬼頭さんの背中に、甲斐は告げた。


「謝らんでええし、甲斐でええ。頼み事の件もちゃんと考えといてくれよ?」


「あぁ、分かった」


『頼み事』とは何だろう。……気にすることでもないか。俺は自分で勝手に結論付けて、鬼頭さんと話すために喫茶店から少しだけ離れた場所で話そうとするのだった






「で、何の話だ?」


鬼頭さんが俺たちに訊く。……どこから話し始めようか悩んでしまう。単刀直入に協力してくださいって言うべきだろうか……と、俺が考えていると、雨翔先輩が先に口を開いた


「……えっと……僕言ってない事があったんだけど……」


「あぁ〜……岩瀬努の件か?」


雨翔先輩が申し訳ないという雰囲気を出していたのだが、あっさりと鬼頭さんに言葉を返され、俺と雨翔先輩は目を丸くする。


「……何で知ってるんですか?」


思わずそう聞かざるを得なかった。


「甲斐から聞いたんだ。で、それがどうしたんだ?」


甲斐……甲斐から!?俺は言葉を吐き出しそうになり、口元を手で覆う。……狼狽えてしまう。バレてるならまずいんじゃないのか……?


「岩瀬努の居場所を見つけたから……協力してほしい……」


雨翔先輩も鬼頭さんの発言に狼狽えながらも、続けてそう言った。


「……それで、第一国立研究所を攻めるって訳だな」


「どこまで聞いてるんですか!?」


流石に話が早すぎるので俺は驚いてしまう。さっきから驚きっぱなしだが……場所まで知っているとなると……もしかして、もう目的も知っているんだろうか。……いや、目的は知っているか。雨翔先輩と初めてここに来た時に……


「殆ど聞いている。それも……頼みの件もあってな」


「頼みって……何か聞いても良いんですか?」


多分、甲斐が最後に言っていたことだろう。正直関係のない話だと思っていたのだが……関係のある話なのだろうか。俺は躊躇いながらも訊いた。すると……衝撃的な言葉が放たれる


「……お前らに着いて行くな。と言われた」


「どっ……どういうことですか……?」


甲斐が鬼頭さんに……着いて行くなって……それはもう何かあるんじゃないんだろうか。ゾン、姉さん、京宮が居てもどうにも出来ない何かが。


「さぁな。俺にも分からない。説明されなかった」


「…………」


甲斐は鬼頭さんがこの話をすることぐらい予想はついてるはずだ。だから……言わない。その何かを。


「だが、甲斐はこうも言っていた。『それでも行くんならほんまに気をつけろ』……ってな」


「まるで未来を知っているみたいなセリフ……」


雨翔先輩が小さく呟いた。……未来を知っている……か。その線は考えていなかったが……確かあいつも姉さんと同じく無能力者だった気がする。


「だが、甲斐は言うなればあちら側の陣営だ。何かあって、それを旧友の俺に伝えたというだけのような気もする」


鬼頭さんの考えは俺と同じようだ。なんにせよ、警戒はしなければいけない。


「正直、お前らを助けたいという気持ちの方が強い。……だから甲斐には申し訳ないな」


俺はその申し訳ないという言葉に違和感を抱いた。まぁ、俺が昔の甲斐を知らないということもあるのだが……俺からしてみたら、あいつは紗耶を攫った張本人の一人だ。


「……不快そうだな星乃。あいつは確かにそこまで良い人間ではないかもしれないが……あれでも大事な人が居たらしいぞ?」


「嘘ですよね、それ」


ニュアンス的にまるで甲斐に家族じゃない大事な人がいるみたいに言うもんだから、すぐに疑いかかってしまう。


「俺には真偽は分からんが……とりあえず、俺はお前らに着いていくことにするよ」


「あ、ありがとうございます」


鬼頭さんの決断に俺は感謝して頭を下げる。


「……あのマフラー……考えすぎかな……」


「雨翔先輩?」


何か考え事をしている雨翔先輩を呼びかけてみる。


「う、ううん……なんでもない……」


……悩み事だろうか。これから戦いに行くんだし、確かに悩み事ぐらいあるだろうな。俺がそう考えていると、鬼頭さんが手を軽く一回叩いて……そして言った。


「じゃ、一旦戻るか」






少し離れた所だったので、1分ほどですぐに喫茶店に戻ると……


「……いない!?」


甲斐の姿が見当たらなかった。……やっぱりこれから戦いが起こることを知っているようだ。すると、雨翔先輩が何かに気づいたようで、甲斐が座っていたカウンターの席に小走りで近づく


「何か置いてある……」


俺と鬼頭さんもその席に近づいて、みんなでその席に置かれたメモ帳の切れ端のようなものを見つめ、鬼頭さんが書いてある文章を読み上げる


「えっと……何々?『お代は置いといたから、また22時過ぎにでも会おうなー』か。蒼らしいな。」


時間まで……把握しているのか?という疑問が一瞬頭をよぎったが、今はそんなことを気にして居てもどうにもならないと考えて、二人に言った


「……とりあえず、行きましょうか。二人とも」

読んで頂きありがとうございます

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