ライバル
「なんか久しぶりな感じだな……」
病院から退院して……俺は清院学園に来ていた。確か、休日と王義学園潜入の二日間来てなかっただけなのだが……それでも何か久しぶりな感じである
「……おい」
自分の教室の前で突っ立っていると、背後から声が聞こえた。思わず振り返ってそちらを見てみた瞬間、顔面に衝撃が走る。
「いっ……なんだ……?」
不意の一撃だった為、俺は教室の方へぶっ飛ばされてしまい、殴られた右頬をさすりながら俺を殴った奴を確認しようと顔をあげると……
「テメェ……どこで何してやがった」
「草薙……」
草薙がいた。だが……何か怒っている様子である。俺がそのまま呆然としていると草薙が俺に対して思いっきり吠えた。
「どこで何をしてたか訊いてんだよ!!」
「……色々調べてた」
ここ最近色々なことが起こりすぎて説明しきれない俺は、端的にそう言った。草薙は腹の虫が収まらないようで、責め立ててくる
「なんで俺を呼ばなかった」
「待て、俺にも質問させろ。何をそんなにキレてる」
流石にそこまで怒っている訳が分からない。俺は立ち上がりながら質問攻めしてくる目の前の金髪に対して制止をかけた。教室からの視線が痛い……
「俺だって……俺だって水戸と黒崎のこと調べたいのに……お前ばっかり先に行きやがって……!!」
なるほどな、と、俺は理解した。こいつは縛られてるんだ。過去に自分が暴れて……黒崎に迷惑をかけて、水戸さんを虐めて……その償いをしたいっていうことに
「……仲間外れは寂しいってか?元々弱い人間を虐めてたお前が言えることかよ」
俺は草薙を煽った。恐らくこいつは良くも悪くも普通の人間だ。こいつを巻き込む必要はない。……誰も巻き込みたくはないが。それに……他人の死は引きずって生きていくものだから
一生水戸さんの死を引きずって生きて……水戸さんの分まで幸せに生きればいいのだ。こいつは
「お前……!!」
草薙が俺に殴りかかろうとする。俺は何も抵抗をせず、殴られてようとした……ようとしたのだが……
「落ち着けアホども」
その声が聞こえた瞬間、ガンっ、と鈍い音が頭に響く。俺と草薙は何者かに頭を掴まれて思い切りぶつけられた。まぁ何者かってより……俺はこういうこと出来る奴一人しか知らないが。
「っく……いってぇ……」
「……京宮……」
俺と草薙は頭を抑え……犯行に及んだ人物を見る。……京宮、新一。これだから清院学園は嫌なのだ。こいつがいると全てが思い通りにいかない
「良いだろ、別に説明しても。それに……草薙は弱くないぜ」
京宮は俺の方を向いて、何故かドヤ顔で言い放った。しょうがない……ここは折れるしかないか
「……放課後屋上だ。草薙。その時に全部説明してやる」
「あぁ……分かった」
俺は草薙に吐き捨てるように言い放って……草薙は小さく頷く。そして、互いに自分の席に戻るのだった
「マジかよ……」
「本当だ」
俺が説明出来る全てのことを草薙に話した。俺の妹のこと……異能都市1位のこと……そして……元凶の岩瀬努のことを……
「それにしても草薙君……もう僕のこと大丈夫なの……?」
雨翔先輩が草薙にそう言った。なんでいるかと言うと……まぁ、雨翔先輩が俺と一緒に帰りたかったらしいから一応こっちにも付き合ってもらったというだけだが
それに……草薙はいつも雨翔先輩のことを何も知らないで怖がっていたし。そこが気に入らないから本当は諦めて欲しかったのだが……
「はい。それに……すみませんでした!」
草薙が雨翔先輩に頭を下げたのを見て、思わず俺は目を見張った。……マジか。謝るとは思ってなかった。雨翔先輩も驚いているようで、慌てている
「だ……大丈夫だよ……?謝らなくても……」
「それでも、謝らないといけないんです」
草薙は頭を下げたまま、そう言った。いつからそんな真面目になったんだこいつ。この少しの間に一体何があった。
「……そっか……もう大丈夫だから、顔をあげて……?」
雨翔先輩がそこまで言うと、草薙はゆっくり顔を上げた。……最初の頃とは随分と変わった。前はずっと暴れたいのか目をギラギラさせていたのに
「見直した、草薙」
「……まぁ、色々あったからな……」
「……一回遠ざけようとして悪かった。もし良かったら……協力してくれ」
俺は右手を草薙の前に差し出した。草薙は驚いているのか、手ではなく、俺の顔を見る
「良いのか?」
「あぁ、お前の力が必要だ」
「ははっ……その前によぉ……」
すると唐突に草薙は俺の手を払い退けた。そして……俺と戦っていた時の昂っている表情に変わる
「勝負しようぜ。星乃。決闘だ」
……本質だけは変わらないようだな。流石の京宮もこいつの本質は変えなかったか。俺は口角をあげて、ため息を吐く。
「はぁ〜……少しは変わってるんだろうな?」
草薙と俺の視線がぶつかる。草薙は大きく笑う
「当たり前だ。じゃねぇと頼まねぇよ」
「……行くか、能力練習場。雨翔先輩も付いてきますか?」
俺が草薙から視線を外して、雨翔先輩の方を向く
「うん……!」
そうして俺達は能力練習場に向かって歩き出すのだった
『両者共に準備を開始してください』
アナウンスの女性が流暢な声でそう言って……10秒のカウントダウンを始める。雨翔先輩は観客席の方からこちらを見ている
「絶対負けねぇ……ぶっ飛ばす」
草薙は身体を伸ばして戦う準備を始める。
「……やる気十分だな。かかってこい」
俺も肩……そして足のストレッチをして……0と……アナウンスが告げた。俺と草薙は互いに一瞬で距離を詰めて……
最初に一撃を入れたのは……
「初めてまともに一発入れてやったぜ……星乃!!」
草薙だった……!!
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