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たった一人の姉

「まず、最初に……私の本当の名前を教えるか」


「……あぁ」


アッシュは……さっき雨翔先輩が座っていた椅子に座りながら改まっていった。そして……アッシュは教えてくれる


「星乃凛音、それが私の名前だ」


星乃……俺のことを弟と言っていたが……本当なんだろうか。でも、ところどころ紗耶と似ているところがある。目元とか……途轍もない美人なとことか……紗耶が成人したらこんな感じなんだろうか


「星乃……凛音……」


一度、俺はその名前を呼んでみた。アッシュ……いや、星乃凛音は頭を掻いて照れている


「まぁ、つまるところ君の姉にあたるのさ」


「俺のお姉ちゃんか……」


なんだか、不思議な気分である。すると、思わぬところで凛音……姉さんが嬉しそうに反応してきた


「お姉ちゃんって呼んでくれるのか?」


「いや……姉さんで」


流石に高校生にもなってお姉ちゃんは恥ずかしい。何より……この関係をみんなの前でどうするのか……


「姉さんかぁ……昔はお姉ちゃんだったのになぁ……」


「わ、悪いかよ」


しみじみと昔を思い出していそうな凛音姉さんに対して俺は少し動揺する。凛音姉さんとは会って少ししか経っていないから、どう接すれば良いのか分からないのだ


「いや、嬉しいよ。弟に姉と呼ばれるのはどんな形であろうと……ね」


「凛音……姉さん」


俺は少し身体が熱くなるのを感じながら、名前を呼んだ。凛音姉さんは笑顔で答えてくれる


「どうした?」


俺は一番気になっていることを訊いた


「父さんと母さんって……」


凛音姉さんは少し悲しそうな、寂しそうな顔をしながら話し始める。


「……母さんは、元々Aランク能力者なんだ。それで……異能都市に捕まってしまった」


「…………」


そうだったのか。母さんが……異能都市に……異能都市にいるってことか!?ただ、次の凛音姉さんの一言でその可能性が0に等しいことが分かる


「父さんはそんな母さんを助けようとして……行方不明になった。父さんも無能力者だったが、私より強いんだぜ?」


「凛音姉さん……」


凛音姉さんは……泣いていた。一筋の涙が頬を伝っていた。……きっと探したんだろう。それも……死ぬ気で。俺たちの為に……


「……っ、あぁ。すまない。大丈夫だ」


「…………」


俺は腕を大きく広げた。凛音姉さんは一瞬ポカンと呆気に取られたような様子でいたが……すぐに俺が何をしたいのか気づいたようだ


「……良い……のか?」


「あぁ」


俺は凛音姉さんの言葉に大きく頷き、姉さんを受け入れる。


「…………父さんも……母さんもいなくなって……守れなくて……ごめん……ごめんなさい……」


「……姉さんは悪くない」


声を震わせて涙を流す凛音姉さんを強く抱きしめる


「龍弥には……本当は戦ってほしくないんだ……紗耶もそうだった……本当は止めなきゃダメだった……」


「……姉さんは一人じゃない。きっとみんな協力してくれる」


「それでまた……誰かを失うのが……怖いんだ」


「……大丈夫」


そこまで俺が言うと、姉さんは俺から離れて……涙を手で拭った


「ははっ……途端に優しいな……」


「別に……良いだろ」


俺はそう吐き捨てるのだが……姉さんはとんでもないことを言った


「ありがと……好きだぞ、龍弥」


「へ?」


体温がさっきのようにまた上がってくる。好き……って美人に言われたら誰でもそうなると思うのだが……散々人の胸の中で泣いた後でそれはズルである


「もちろん家族として、弟としてだけどな?」


「そっ……そうか」


良かった、安心した。しかし、まだ心臓の鼓動は激しくなっているので、なんとか抑えながら俺は姉さんから顔を背ける。そんな俺が動揺している中、姉さんがからかってきやがった


「そ〜んな顔赤くして、一体どういう勘違いしたんだ?」


「うるせ……っ!!?」


俺が反論しようと振り向くと、姉さんに優しく抱き寄せられる


「口元のキスは心の為に残して置いてやるか」


小さいリップ音が鳴って……俺は気づいてしまう


「なっ……ななな……!?」


額に……額にキスされた……


「童貞かよ」


「童貞で悪いかぁ!!」


姉さんは笑いながらからかって、俺は流石に言い返した。というか……急にキスされたら誰しもそんな反応になるだろう……少なくとも姉さんみたいな美人にされたら……


「ま、とりあえず話を進めると、明日の朝にはお前は退院出来る」


姉さんが俺からゆっくり離れて、その場に立ち上がる。


「……そうかよ」


……俺は素っ気なく反応した。やっぱり……どう接すればいいのか分からない


「じゃ……私はもうアジトに帰ろうかな。明日元気になったらまた二人で話そう。まだ疲れは取れてないだろ?」


「……ありがとう。姉さん」


部屋から出て行こうとする姉さんに対して俺は感謝を述べる。それだけは言わないといけないと思ったからだ


「感謝するのはこっちのほうだ。またな!」


姉さんはこちらに振り返って笑顔で手を振って……行ってしまった。俺は未だ夢なんじゃないかと思いながら……額を抑えて小さく呟く


「…………マジかぁ」

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