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化け物達の戦い

「アッシュ……!!」


岩瀬が銃をアッシュの方に向けて一発放つ。銃弾は綺麗にアッシュの頭に向かう……が


「大丈夫か!龍弥!!」


意味がないかのように、軽く銃弾をデコピンで弾いて無効化した。……え?どうやって??……いや、いやいやそれもとても気になるが、それよりも……


「アッシュ……今……弟って……ゲホっ……」


俺はアッシュに訊こうとしたのだが、吐血してしまって、上手く話すことが出来ない。アッシュは俺に視線を向ける


「喋らなくていい。お姉ちゃんがすぐに終わらせてやる」


だから、なんでお姉ちゃんなのか気になるのだが……銃を捨て、岩瀬は拳を構えているので今は話す暇はなさそうだ。


「……どうやってここに来た。侵入経路は全て塞いでいるはずだ。異能じゃないと破壊出来ないはずだが……」


多分、比奈の鴉を入れないようにした結界のことなのだろう。アッシュも拳を構えて……岩瀬の言葉に答える。


「……実はもう一人私の友達が来ていてね、ゾンの方にいってるはずだ」


……友達……比奈とか雨翔先輩じゃないのか……?


「まぁ、いい。お前は異常体質も何も持っていない、ただのFランクだ。俺の異能に……」


岩瀬が動こうとした瞬間


「させるかよ」


既に、岩瀬の目の前にアッシュの拳があった。


「ぐっああああああ!!?」


そのままアッシュは岩瀬の顔面を殴り、地面に叩きつける。硬い地面の床にはヒビが入り、一瞬遅れて拳がぶつかる弾けるような音が鳴った


「お前に集中させる暇も与えない」


「が………はっ………!?」


能力を使うには心の平静を保つ必要がある。……目の前で銃弾を弾かれて、動こうとした瞬間に完封されたら……保てないだろ、普通。


「地面が硬くて良かった」


アッシュはそう言って、岩瀬の頭を右足で蹴り……そのまま頭に足を置く。そして……


「思い切り踏みつけれるな」


「くっ……そおおおおおおお!!!」


地面が地震かの如く揺れる。さっきのヒビが円状になって床へめり込んでいった。岩瀬は必死に抵抗しようともがくのだが……


「うるさい」


「……あがっ……うっ……」


更に踏みつける力が強くなる。岩瀬はもう気絶する寸前だ。まさか……ここで終わるのか、全部。


「お前はここで拘束する。終わらせようじゃないか」


アッシュが岩瀬を踏みつけるのをやめて胸ぐらを掴んで高く上げる。岩瀬の頭は血だらけで常人なら死んでるはずの出血量なのだが……


「……あ……あ……『ホワイト……ナイト……メアぁ……』」


俺にも通じる特殊な能力だと気づいた時、すぐに俺はアッシュに警告していた。


「まずい!アッシュ!!……っ……いっ……!?」


酷い頭痛に襲われる……世界がぐにゃりと歪んで、立っていたらすぐに倒れていそうな……アッシュも例外ではないようで、頭を抱えている


「ちっ……くっそ……幻覚系か……?」


「にげ……させて……もらう……」


いつの間にかアッシュの掴みから逃れていた岩瀬は……アッシュが割った窓ガラスから飛び降りた。


「待てっ……!岩瀬……!!」


俺は腹の痛みもあったおかげか、すぐにその異能から解放されて岩瀬の後を追おうとするが……消えている。窓ガラスから何処を覗いても岩瀬の姿は確認出来なかった


「うっ……はぁ……」


ふと、アッシュに目線をやると……アッシュは腕にナイフを突き刺していた。俺は腹を抑えながらもすぐにアッシュの側に寄る


「アッシュ!なんで……」


「私は大丈夫だ。危うく洗脳される所だったが……逃してしまったな……」


そういうことか、痛みがあれば……『ホワイトナイトメア』って異能から解放されるのか……


「……アッシュ……ありが……と……」


アッシュに駆けつけてくれた感謝を伝えようとした瞬間、急に足元がおぼつかなくなり……


「……!龍弥!!」


その声を聞いたのを最後に意識を手放してしまった





















「弱いなぁ、君ら」


赤マフラーの男、甲斐直人が両手を地面につけて跪いている二人を見下しながらそう言い放つ


「……お前……何者だ……」


数十もの斬撃で血塗れになっているゾンがなんとか立ち上がる……が、甲斐は一瞬でゾンの背後にまわり、後頭部にドアを軽くノックする程度に小突く。すると、ゾンは簡単にうつ伏せになって倒れてしまった


「……っ」


「知っとるやろ?甲斐直人……まぁ、そこそこ強い裏社会の人間や」


「そこそこ強い……ってレベルじゃ……ないでしょ……」


檜山はゾンとの戦闘で傷付いているにも関わらず、甲斐と戦闘を続けた為……顔を上げることも出来ずに小さく呟くことしか出来ない


「だから、君らが弱いだけやって」


「……っ!!」


ゾンが〈支配者〉を使用して、甲斐の辺りを避けられないくらいの密度でナイフが囲む


「へぇ……こんな状態になっても異能使えるんや。やるやん」


ゾンが開いてパーにしている手を強く握った。すると、甲斐に向かって一斉にナイフが飛びかかる……飛びかかるのだが……甲斐は平気の平左だった


「……効かんけど」


甲斐直人はそう呟いて、更に憎まれ口を叩く


「で、異能都市の学生の中だったら最強のSランクゾンと、実力を隠してる異能都市5位はこんなもんか?」


「……どうします、ゾンさん……」


「お前……なんで学園長に協力してたんだ……?」


ゾンにしてみれば、甲斐がここに来ることより、そちらの方が気になっていた。そして……なんで甲斐と戦う時は共闘してくれたのかも


「能力の限界ってやつが見たかったんですよ。学園長が見せてやるから協力しろって」


「……なるほどな」


それはゾンにとって、気持ちが分かる問題ではあった。しかし、そんな話でこの状況は覆らない。甲斐はつまらなさそうにため息を吐く


「もうかかってこないなら気絶させて実験体になって貰うで」


そして、甲斐直人が双剣を構えた瞬間だった。


出入り口の方からおちゃらけた声が聞こえる。異能都市の……誰もが知っている人間の声が


「懐かしい奴に呼ばれたと思ったら……ふ〜ん。未来ある子どもを潰そうをしてるのか。で、君誰?」


「……へぇ。なんでここに来とるん?京宮新一」

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