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内乱

「檜山、本当にお前はこのままでいいのか?」


ゾンが電気で眩しいほどに明るい能力練習場の中心に立ちながらそう言った。檜山はなんのことか分からないのか、惚けているのか首を傾げている


「学園長に利用されるだけでいいのかって訊いているんだ」


「ん〜そんなの僕の勝手じゃない?」


あははっ、とこんな状況なのにも関わらず檜山は笑いながらゾンに言葉を返した。そんな檜山をゾンは途轍もない圧を持って睨む


「……お前は今、人殺しをしようとしてるんだぞ」


「君だっていつもしてるだろ?」


ゾンは黙ってしまう。事実を突きつけられたのだ、ゾンは返す言葉もなくただただ檜山を睨んでいた


「…………」


「だんまり?まぁ、僕は同情とかされる気ないし。君には何も言わないさ」


その瞬間、ゾンが動く。一瞬で檜山に距離を詰めて頭を掴み、Sランクの能力を……世界を壊せると判断されるレベルの異能を躊躇いもなく使用する


ゾンの異能〈支配者〉

自分より格の低い相手を確実に従わせることが出来る能力。物質にもそれは使用でき、地面の土を支配すれば、土を自在に操ることも出来る……が


「別に、僕は君より精神力が弱い訳じゃないけど?」


檜山は自分を掴んでいるゾンの腕を掴んで引き離した。〈支配者〉は……檜山には通じなかったのだ


「〈淵広魚大〉」


檜山の周りに色んな種類の魚が、何もない空気中から這い出てくる。ゾンは警戒して檜山から一旦距離を取ることにした。魚は檜山の周りを螺旋状に泳いでいる


「『凸』」


その声で数百の魚が一斉に襲いかかる。弾丸並みの速さで一直線にゾンに向かって進んでいく


「邪魔だな……」


ゾンは舌打ちしながら魚の弾道を予測して、走りながら回避する。特に危なげもなく、余裕そうに。その様子を見た檜山はつまらなさそうにため息を吐いた


「やっぱ、Sランク様は違うね。身体能力、判断、どれを取っても一級品だ」


「嫉妬か?」


ゾンがそのまま檜山の周りを大きく円状に走って隙を窺う。檜山はゾンの言葉を嘲笑して言葉を放つ


「褒めてるだけだよ、捻くれてるなぁ」


「そうか、ところで……よそ見していいのか?」


隙が生まれたと確信したゾンは地面、天井の全てからナイフを生成して魚に負けないレベルの速さで檜山に攻撃を仕掛ける


「……っ!?『凹』」


檜山は咄嗟に防御にまわって魚でナイフから身を守る。その時、ほんの一瞬檜山はゾンから目を離してしまった


「だから、よそ見するなって」


檜山がゾンに固く握りしめられた拳で顔面を撃ち抜かれる。表情を変えないでただニヤリと檜山は笑う


「ははっ……!流石1位だね」


「さっさと本気を出さないと負けるぞ?」


「それは君もだよ……『凸』」


防御にまわった魚がまた攻撃に向かう。ゾンは同じ方法は通じないと考え、どう攻めようかと模索する……それと同時に心配事もあった


「面倒だな……星乃は大丈夫か……」


「他人の心配してる暇ある?」


檜山はいつの間にか、ゾンの進行方向にいた。さっきの動きからあらかじめ予測していたのだろう、檜山がお返しと言わんばかりに思い切り拳をぶつける


「ぐっ……!」


顔面を狙ったものの、ゾンはしっかりと防御していた。ただ滲むような痛みが腕を襲うが……それに気付いた檜山はまた嘲笑うような笑みを浮かべる


「別に体術でも負けるつもりないから、覚悟しろよ?」












「廊下でやろうか、星乃龍弥」


瞬間移動……目の前に唐突に現れて、俺に向かって前蹴りを入れる。俺は廊下の方へと押し出されたが、防御は間に合った。しかし目の前に小野田はいない。また瞬間移動された……!?


「……っ!!」


「貧弱だ……なっ!!」


「うっ……!?」


右から同じような蹴りが飛んでくる。同じといえど狙っている場所は変えられて、モロに腹に蹴りが入った。……人通りが多い廊下から突き放され、俺は冷たい地面に膝をついている


「まぁ、触れないと異常体質を発動出来ない。つまり瞬間移動には対応出来ない。終わったな、お前」


「か弱い女の子に何すんだよ……」


割と躊躇いのない攻撃だった。酷いことをするものだ、まぁ正体がバレているから手加減するのも確かにおかしいが……


「……そういえば、なんで女装なんだ?声も変わっているし……高い金でも払ったか」


小野田が唐突にそんなことを訊いてくる。……めっちゃ言い訳したい


「いや俺は嫌だったんだが……ってそんなことはどうでもいい。かかってこいよ」


そういえば戦闘中だったことを思い出した。ここで俺は小野田を倒さないといけない。俺は立ち上がって、小野田の行動を待つ


「言われなくてもやってやるよ」


左だな


「なっ……!?」


今度は俺の左のやや後ろの方面から拳を突き出そうとして来たが、もう行動は読めた。左手で、相手の突き出してきた拳を掴んで、疎かになっている足を引っ掛ける。そしてそのまま……押し倒した


「どうやって……!?」


「目線だ。お前は最後に見た所にワープしてるだろ」


俺はタネを明かした。無意識なのか、発動条件なのかは分からないが、ワープする場所に目線を移動させているのだ。だったらもう次にどうなるかは手を取るように理解出来る


「……くっ!離せ!!」


「能力使えないだろ。……一発で伸びるなよ」


抵抗出来ないその男の顔面を強く握った拳で〈波動〉を使って殴った


「かっ……はっ……」


流石に頑丈だな。もう一発で気絶するか?そう考えて俺は小野田の顔面を気合いを入れてもう一度殴った


「ぐあっ……!!」


「もう抵抗しないで、さっさと失せろ」


俺は押し倒すのをやめて、ほぼのびているそいつに告げる。異能都市7位といえど、能力を使えなければこちらのもんだ。相当体術も出来ないと俺には……


「手を……離したなぁ……!」


小野田が起き上がった!?マジかよ。だが……流石にまともには動けないはず……


「……っ!?」


呼吸が止まる。息が吸えない。唐突な出来事に俺はさっきと同じように硬い地面に膝をついてしまう。


「まさか息が吸えないとは思ってなかっただろ!」


まさか……空気をワープさせたっていうのか……とんでもない応用技だな。空間把握の能力が高くないと空気を移動させるなんて出来ないと思うのだが……


「……っはぁ……はぁ……」


「くっ……さて、どうする……Bランク」


小野田はよろけながらも立ち上がって……俺も息を切らしながら同様に立ち上がる。


「……勝つぞ、俺は」


俺はただ倒す相手をじっと見つめながら……そう宣言した

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