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喧嘩屋

井上……たいと。昨日と変わらずヤンキーみたいな格好をしているな……。というか3年生3人組の様子がおかしいような……


「いっ、井上さぁん。な、何にもないっすよぉ」


「嘘吐くな、最初から聞いてたんだよこちとらなぁっ!!」


井上がこちらに走って接近してくる。……速い!


「ぐおっ」「あだっ」「あべっ」


3人をそれぞれ一発ずつ殴って動きを止めてしまう。それも一瞬で


「来い斎藤」


「わっ……」


急に井上に手を引っ張られて驚いてしまう。そこまで強い力で引っ張られている訳ではないが……


「……あのなぁ、易々上級生の言いなりになるんじゃねぇよ」


井上が階段をあがって引っ張りながらこちらを睨む。


「なんで……助けたんだ?」


「お前女だろうが。たとえBランクでも、女は女だ。喧嘩事は男にやらせときゃ良いんだよ」


井上は俺から目を離して、言葉をそのように吐き捨てた。……優しいな。これがギャップ萌えという奴か。


「……もっと怖い奴かと思ってた」


「別に間違っちゃいねぇ……ふぅ。着いたな」


もう自分の教室の目の前に着いていた。井上は俺から手を離して背を向ける


「何処行くんだ?」


「あいつら潰してくる」


井上はそのまま振り向かずにさっきの場所へと歩いていく


「……主人公っぽい」


「は、はぁ!?ちげぇはボケ!俺は俺がやりたいようにやってるだけだわ!!」


はっきりと聞こえるように言ったら、井上は振り向いて顔を赤くする


「ははっ、ありがとうな。やりすぎちゃダメだぞ?」


「ちっ……調子狂うぜ……」


井上はまた俺に背を向けて走って行った一応心配して声をかけたが、大丈夫だろうか。まぁこの学校で異能都市8位に勝てるなんてそれこそゾンとか檜山とか……あと今日見かけた小野田とか。


その3人くらいしかいないだろうが……












「おはよっ、鈴子ちゃん!」


教室に入ると、小走りで苗木愛菜がこちらに近寄ってくる。


「お、おはよう……」


急だったから少しどもってしまった。俺が挨拶を返すと苗木は俺の背後の方を見ていて……


「あっ、納土君だ!おはよう!」


「あぁ、おはよう。井上が靴箱の所で上級生ボコボコにしてたが何か知ってるか?」


「……何も」


いつまでやるんだろうかあの人。とはいえ、一応知らない振りをしておこう。何か聞かれても困るし……


「井上君また喧嘩してるんだ!この前注意されたばっかなのに〜……」


苗木さんが頬を膨らませる。前もやったことがあるのか、反省した方がいいんじゃないか?


「また誰か助けたんだろ」


「多分そうだね〜いつも口は悪い癖して優しいもん!」


……前言撤回。と、そんなことを考えていたら学園が地響きに見舞われる。苗木さんも納土も動揺しているようだ


「……流石に暴れすぎじゃ……?」


「なんか強い奴と戦ってるのか?」


「俺、見に行って……っ!?」


流石に様子を見に行った方が良いだろうと、足を踏み出した瞬間。教室の廊下側の壁が派手に壊れて教室に誰かがぶっ飛ばされたのが見えた。……井上!?


「何もんだテメェ……!!」


俺は思わずぶっ飛ばした側の方を見るために廊下側に進むと……ゾンがいた。……いや何してるんだ!?井上とゾンが戦うなんて……


「いや……う〜ん、ここでは言えないな。とりあえず落ち着け」


「テメェも……アイツらの味方だろ!」


いや違うんだ井上、多分井上がやり過ぎてたからゾンが止めたんだろう。でもそれでも教室を破壊するなんて……


「何やってんの、ゾン……」


「いや……だってやりすぎだろ流石に」


ゾンは俺に気づいて一瞥しながら言葉を返す。案の定、やり過ぎてたのか井上は……


「俺は……負けねぇぞ……!!」


「はいはーいストップだよ井上君!」


苗木が井上の目の前までいつの間にか移動していた。井上は苗木さんを睨んでいるが……大丈夫だろうか


「邪魔すんじゃ……」


「てい!」


苗木さんが平手打ちした!?


「あばばばばばばばばばば」


「……苗木さん、なんの能力なんだ?」


井上は一回しかビンタされてないはずだが……10回くらい叩かれたみたいになってる為、俺は思わず納土に訊く。するとすぐに答えが返ってきた。


「起こした結果を10倍にする能力。色々制限があってCランクだが……強いぞ」


起こした結果を10倍……異常体質があるから俺には効かないんだろうが、かなり強い能力だな。まぁ戦うことは多分ないはずだし、大丈夫だろう


「はっ!」


一瞬気絶していた井上が目を覚ました。苗木が井上の頬をツンツンと突いている。


「目、覚めた?」


「あ、あぁ……」


井上は立ち上がってゾンに近づいていく。そして……頭を下げた


「すまなかった」


「じゃ、俺は……なぁ、誰か学園長の部屋を教えてくれないか?」


……え?知らなかったのかよ


「……いいぜ、詫びも兼ねて俺が連れて行く」


井上の姿勢に対して、俺はまた納土に訊いていた


「いい奴……だな。なんで納土と喧嘩するのが日常茶飯事なんだ?」


「気に入らないだけだ。最初から優しくすればいいものの……」


「でも、実は喧嘩するほど仲が良いってこともあるんだよ!」


苗木が急に飛び出して来た。確かに……と思ってしまったら俺と京宮の仲を肯定してしまうので、俺は黙ってしまう


「なんだこの惨状は!?」


俺が反応しないまま何故か誰も話さずに止まっているような時間を数秒過ごすが……その静寂は俺のクラスの担任の女。北條雪が壊した


「……また井上か。しかもいないし」


察する能力が高いな。まぁ日常茶飯事なんだろうが


……ん?


教室が直ってる……!?


「まぁいい……お前ら席につけ、ホームルームを始めるぞ」


能力が気になるが、もう時間だし席に着くしかないか……

読んで頂きありがとうございます

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