能力格差
ほう……もうBクラスでは歯が立たないと
ええ、かなりの成果と言えます
次はAクラスに対して実験を行え、私の予想だと“あれ”は最終的にはSランク以上に到達する
やっと見つけた逸材ですからね……それをああも容易く成長させるとは、所長は天才じゃないんですか?
よしてくれ、私は私のやりたいことをしているだけだ。上手くいかないことだってある。この前だって……
いやいや、あのクローン実験に関しては実験体の性質も見分けれなかった我々にあります
全く、そんなにも私を持ち上げたいかね……
……おい!何を見ている!
「……っ!?」
夢から覚めたように飛び起きる
いや、実際に夢を見ていた
悪夢を……見ていた
思い出したくもないのだが……
「ちっ……胸糞わりぃ……」
独り言を呟きながら、おもむろに時計を見る
時計は7時過ぎを指していた
……学校は9時前から始まるから一時間で全部用意を済ませて家を出ればいいか
そう考えた俺はまずは顔を洗おうと洗面台に向かったのだった
君は転校生だから呼ばれるまで待っててね〜
そう京宮から言われた俺は教室の扉の前で立っていた
……教室の中では京宮が転校生が来ると盛り上げている
男子は女子がいいな〜と騒いでいて
女子も似たような感じでいる
こういうのは誰しも緊張するものなのだろう
俺も実際緊張している
そして京宮に教室の中から
「入ってきていいよ〜」
と、呼ばれた
俺は深呼吸をして心を落ち着かせてから扉に手をかける
そして開けて、京宮に手招きされながら教壇の上に上がる
騒いでいた教室の中の高校生達は、息を飲んでいた
彼は目つきこそ悪いが、かなりのイケメンだからだ
「自己紹介してくれるかい?」
そう京宮に言われ、俺は自分の名前を言葉にする
「……星乃龍弥。能力ランクはBです」
おぉ〜……と教室内から声がする
自分からは他に言うこともないのだが、どうすればいいのだろう
こういうのは大体、教師がフォローするもんだと思っているのだが……
ニヤニヤ笑っていやがるこいつ
まぁ、正直高校で仲良しごっこをするつもりはない
だから俺は京宮に聞く
「俺はどこに座ればいいんですか?」
「ん?あぁ……あの窓側の端っこの席だ。聖奈、頼んだよ」
京宮が俺が座るであろう場所に指を指す
「は……はいっ!」
気の弱そうな、眼鏡を掛けている少女が返事をする
どうやら俺の席の隣の人のようだ
また教室が少し騒がしくなる
そして俺は自分の席まで行って座る
「あ、あのっ……よろしくお願いします……星乃君……」
オドオドしながら俺に挨拶をしてくる
まぁ隣の席だから当たり前といえば当たり前かもしれない
なので俺も挨拶を返すことにする
「あぁよろしく、えっと……」
名前が確か……京宮は聖奈と言っていたが……
「水戸、水戸聖奈です」
どうやら察してくれたようで自己紹介をしてくれた
水戸聖奈
覚えておくか
そう考えて、改めて彼女に対して挨拶をする
「よろしくね、水戸さん」
「はい!よろしくお願いします!」
そこで、京宮が手を叩いて教室の喧騒を止める
「はーい。それじゃああとちょっとで授業が始まるから、準備しといてね」
そう言って、京宮は教室を出て行った
何故か視線が俺に集まる
いや、理由は分かっているが……
こういう時どうすればいいんだろうな
と、そんなことを思う
というか、そんなジロジロ見ないで話しかけに来ればいいと思うのだが
……仲良しごっこをするつもりはないけれども
「おいおい、水戸。転校生君が困ってるじゃねぇか……話してやれよ?」
前の席からそんな声が聞こえた
そちらの方へ目をやると……金髪の男がニヤニヤしながらこちらを見てくる
しかもその男……制服を着ていない
派手なパーカーを着ているのだ
嫌な感じがしたが、とりあえず言葉を放つ
「別に無理に話さなくてもいい、気にしてないからな」
それと、困ってる訳でもない
そう言葉に付け足して場は収まると思ったのだが……
「転校生……星乃だったか、ここにいるクラスの奴ら全員能力ランクはいくつだと思う?」
突然金髪の男が俺にそう聞いてきた
刺激しないように普通に答えるとするか
「……C以上?」
「正解だ、じゃあこの可哀想な女の能力ランクはいくつだと思う?」
金髪の男はこっちに近づいて来て、バンと大きな音で水戸さんの机を叩き、聞いてくる
「……Cじゃないのか?」
俺はそう口にしたのだが……
「違うんだなぁ〜これが……Dなんだよ」
D……通常の能力者であり、対して強力でもないランク
……なるほどな、イジメか
くだらないな……能力だけで、不平等に与えられたモノの質で、運が悪かった者は虐げられる
「まぁ、こいつをどうしようと別にいいんだぜ、ここは実力主義だからな」
そう言って、金髪の男は彼女の髪を引っ張る
「うっ……やめ……」
水戸さんはそう言うのだが……
「あぁ?聞こえないなぁ!!」
笑いながらそう言った
周囲からクスクスと笑い声が上がる
……京宮め……面倒事を押し付けたな、俺に
「やめろよ、クソ蛙」
俺は金髪の男に言葉を放つ
「……なんだと?今俺に言ったのか?」
そいつは水戸さんから手を離し、俺に問う
「お前以外に誰がいるんだよ、耳死んでんのか?」
どうやら挑発に乗って来そうなので、そのまま煽ることにする
「はっ……お前知らないのか?俺はAランク、異能都市6位だぞ?」
Aランク……軍隊を相手に出来るレベルか
それに6位……異能都市には学生限定だが、ランキングというシステムがある
主に独占しているのは清院学園と、王義学園という所だが……
10位以内はランキング上位者として名前が載る
だが、今はそんなことはどうでもいい
「誰もそんなこと聞いてねぇよ、それとも褒めて欲しかったのか?そんな程度で」
「……テメェ……」
「イジメとかくだらねぇことをする、そんな教室の角にこびりついたカスみたいな精神をどうにかしたらどうだ?精神ランクFが」
そう言うと、そいつはある提案をしてきた
「そこまで言うなら……テメェ、俺と戦えよ。ここまでコケにしといて逃げるなんて言わないよな?」
その提案に対し、俺は……
「いいだろう。だが、お前が負けたら土下座して水戸さんに謝れよ」
「………分かった。勝負は今日の放課後、能力練習場でだ」
そうして、転校初日から俺は
星乃龍弥は、これから色々な問題に巻き込まれていくことになる……
どうも皆さん、わがまくです
ランキングについて補足いたしますと、異能都市には能力ランクというものがそもそもあり、それで基本的に順位が学生限定で決められるのですが……これから起こる能力者同士での対決。一対一の『決闘』によってポイントが上がったり下がったりします。ですが、これは学生間だけでしか発生しません。そうやって順位を上げていくことが、この異能都市で暮らしている学生の義務として存在しています
もしかしたらこの説明は他の話でもされるかもしれませんが。




