2回目の王義学園
「さっ……斎藤……鈴子……よろしくお願いします……」
新品のようなキラキラした教室で俺は何も知らない20人くらいの学生に対して自己紹介をする。……偽自己紹介の方がしっくりくるな。本当は星乃龍弥なのだから。
ちなみに声はモンブランが作ったチョーカー型の変声機を使って、女の声にしている。こういうのも出来るのは流石に天才だろあいつ。
そんな感じで俺が自己紹介した後に……いやクラスに入った時から騒がしかったが、また騒々しい時間が数秒流れて、俺の隣に立っている女教師が一回だけ手を叩く。すると、気持ち悪いほどに静かになった。
「静かに。特に男子。鈴子さんはウチの異能都市1位ゾンからの推薦でここに来た。みんな仲良くするように」
女教師が険しい表情で学生達に告げる。……ゾンからの推薦って、やっぱりやばいのか……?みんなの表情も険しくなった気がするのだが……
「珍しいですね!7月に転校生だなんて!」
そんな中、窓際の教室の隅っこにいる笑顔の女が立ち上がってそのように言った。正直に言って滅茶苦茶焦る。7月に転校なんてあり得ない……というのは自分自身でも思っているからだ
「ゾンから入れるのはいつでもいいと言われたが、流石に早めに手続きとこの学園に慣れた方がいいと思ったからな。特に問題はあるまい」
ナイスフォローすぎる先生
「能力のランクは?Dなら流石にゾンの贔屓がすぎるが」
教室の真ん中ら辺に座っている男が俺のことをジロリと睨んで、疑っているのかそんな言葉を放つ。ごもっともな質問である。まぁ、弱いつもりはないが
「俺はBランクですけど……」
一応の事実を小さく呟いて伝える。小さく呟いたがはっきり聞こえたらしく、睨む目は柔らかくなっていた。
「B……ほぉ……強いんだな」
「ここでおっ始めるなよ道隆」
女教師が真ん中の奴の席に忠告する。道隆って名前なのか……てかおっ始めようとしてたのか、睨まなくなったのに……
「強さが見たいなら決闘してみればいいじゃん!このクラスで一番強い人と!」
忠告をしたにも関わらず、立ち上がったままの後ろの席の女はそう言った。すると……みんなの視線が俺ではない、女の席の反対側……ドアの方の後ろの席の男に視線が集まる
そいつは机の上に足を乗せて…………少女漫画読んでる……!?個性が強すぎじゃないか!?……いや女装してる俺が言えたことじゃないか……
「……んだよ雑魚共」
昔のヤンキーみたいな格好をしている男は低い声で、俺たちを軽蔑している目でそんな言葉を放つ。それを聞いたみんなはは怒る訳でもなく、やれやれと言った感じだ
「あいつは異能都市8位の井上たいと。Aランクの中でもかなり異質な奴だ」
道隆だったか、その男がヤンキーみたいな男を親指で差して俺に紹介する。……異能都市8位か。確かアッシュが生徒の中にももしかしたら紛れているかもしれないと言っていたが……
「雑魚が俺に向かって奴とかあいつとかごちゃごちゃ言ってんじゃね〜ぞボケ」
この様子を見てると実験する為に誰かを攫うなんてことはしなさそうだ。
「誰が……雑魚だって?」
おっと、煽り耐性が低いのか道隆。井上にどんどん近づいていくぞ。
「喧嘩はだ〜め!転校生の前だよ?」
……いつの間に二人の間に入った笑顔女。能力でも使ったか?と、そんなことを考えていたら隣から小さい声の謝罪が聞こえた。
「すまんな、日常茶飯事だ」
「そうですか……」
この人は少なくとも京宮の奴よりかは良い先生っぽいな。
「おい、全員席に座れ!……鈴子さんはあそこの明るい女子の隣だ」
女教師が今度は大きな声で叱って、道隆と笑顔女は元の席に戻る。というか……俺はあの笑顔女の隣かよ。ああいうのって裏がありそうで苦手なんだよな……。そう思いながら俺は言われた席まで移動して着席する
案の定、笑顔女に絡まれた
「私の名前は苗木愛菜。よろしくね、鈴子さん!」
苗木愛菜……今度こそ仲良しごっこはしないと誓っているが……まぁ名前くらいは覚えておくか。
「よ、よろしく……」
「ところで……あなたは何か隠してる?」
俺が挨拶を返すと、笑顔女……苗木さんは笑顔のままで俺の耳元で小さく……声を低くして聞いてきた。……やっぱこういう女には裏があるんだなぁ……と、しみじみと思いながら即答する
「何も隠してないけど?」
「ふ〜ん……ま、いっか!」
苗木さんは周りはそこそこ静かなのに明るく大声でそう言ってしまい、女教師に睨まれて注意される。
「そこ静かに、早速授業を始めるぞ」
「ふぅ……よし、逃げれた」
休み時間、転校生は質問攻めになる運命を背負っている。ちなみに俺にとっては最悪である。まぁそれはともかく……これからどうしたものか。一応何かしらの現場は見ないといけないのだが……
「……見ない顔だ」
考え事をしながら人通りが少ない廊下を歩いていたらすれ違った人にそんなことを呟かれる。俺は思わず振り返って……
「はい?」
と反応してしまった。しまった。別に今は人と話す暇がある訳じゃないのに。……もちろん、俺の反応にすれ違った人は振り返って……俺に訊く
「そのままの意味だけど……転校生?」
「あ、あぁ。斎藤鈴子だ」
一応自己紹介はしておくが……違和感があったのか俺に一歩近づいて、天パ?の男は怪しむ素ぶりを見せる
「男?」
「女……だけど」
流石に言葉遣いくらい女っぽくした方が良いのだろうか……アッシュが言うには『それも個性だから大丈夫!』らしいが……
「の割には男っぽいね。可愛いけど」
「……なんだよ」
可愛いは余計である。というかこのパーマの男は一体何者なんだ?黒崎は分からないが……雨翔先輩よりは強い気がする。ぱっと見だが。
「僕も自己紹介しておく、僕は檜山海斗」
最近異能都市のランキング上位と会う機会が多いから、ネットに張り出されてたランキングをこの前見てみたが……こいつは確か……
「檜山……異能都市5位か」
どんな能力かは知らないが、ゾンが居なかったらこの男はとりあえずこの学園最強という訳か……確かにかなり強いのは分かる。
「知ってるの?まぁ、なりたくてなった訳じゃないけどさ……」
意外な反応をする檜山に対して、俺は少し驚く
「……そうなのか?」
「僕は挑まれたから戦ってるだけ。本当なら井上君とか小野田君とかの方が強いよ」
「………」
嘘だな。絶対嘘だ。ありえねぇ。井上も小野田も、異常体質を持っている俺なら勝てるという自信はあるが……檜山に対してはその感じはしない。
「僕の顔に何か付いてる?」
「いや、なんでも。じゃ……また」
思わず顔を見つめてしまっていたようだ。まぁ……とりあえず檜山も怪しい感じはしないな。俺はそのように結論付けて檜山に背を向け、その場から立ち去ろうとするのだが……
「そうそう、最近王義学園変だから、気をつけてね」
「……っ!その話、詳しく訊かせてくれないか!?」
まさか、情報を持っているかもしれない奴にこんな早く会えるとは思ってなかった。俺はすぐに振り返って慌ててその事を問いただそうとする
「んお……いいけど……」
檜山は俺の勢いに気圧されながらも了承してくれた。
どうも皆さん、わがまくです
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