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vs Fランク

「……星乃君、わざわざ気を利かせて……」


雨翔が2区の駅を出て、歩きながら小さく呟く。星乃が自ら遠い5区から選んだのを気にしているのだろう。さて、2区も異能都市の中ではかなりの都会で、ビルが立ち並んでいるのだが……


「大丈夫、大丈夫……きっとなんとかなるはず……」


彼女は自身にそう言い聞かせて2区の家へと進んでいく。


「それにしても……暑い……」


今日はもう30度を超えていて、とんでもない暑さである。最近はずっと暑い日が続いていて、今日も例外ではないようだ。そんな暑さから出る汗を手で拭いながらある家の目の前までくる


「……マンション……綺麗なところ……」


その家はマンションで、大体10階以上はあるのだが……


「どうしよう……居留守されたら……いや、跳べるかな」


もしそのままインターホンを鳴らしても、反応がなかったら困る。だから跳んで2階まで行けるかと、彼女は考え、それをすぐに実行に移した。


「よっ……っと」


そのまま彼女は辺りを見回す。現在はマンション2階の廊下で……エレベーターは監視カメラがあるから階段を使わなければいけない


「えっと、確か802だから……階段が……あった」


階段を見つけてそこまで足音を立てずに素早く進んでいく


「……バレなきゃいいけど……」


そのまま彼女は何事もなく階段を上がって行って……


「よし、8階だね……」


無事に8階まで辿り着いた。そこで彼女はほっとするが、まだ終わりではない。また気を引き締めて部屋番号802まで進んでいく


「……802……開いてる……?」


その部屋の目の前まで着いたのだが、そこで彼女は違和感を覚える。部屋のドアが開いている。半開きとかじゃなくて、しっかり全部開いているのだ


「誰か〜……?」


彼女が玄関まで入って訝しみながら中に呼びかけると……


「私の家に、何か用かな?」


背後から声がする


「えっ……!?」


思わず振り返ると、灰色髪のポニーテールで黒いパーカーを着ている女性が立っていた。その女性は通信機のようなものを使って、モンブランという人物に伝える


「モンブラン、こっちには来たよ。異能都市4位」


『オッケー、気絶させてアジトに持って来て』


その子どもの声が通信機から聞こえた瞬間


「わっ……!?」


その女性が雨翔に向かって一発、拳を放った。雨翔はギリギリ反射でそれを防御するが……部屋の奥までぶっ飛ばされ、窓にぶつかり、足元がよろめく


「へぇ、軽く適当に殴ったけど……割と頑丈なんだね。ランキング上位は」


女性は雨翔に拍手をしながら歩いて近づいていく。そんな女性に対して雨翔は訊いた


「あなた……ゾンに協力してる能力者……?」


「半分正解」


その質問をした瞬間、すでに雨翔の目の前に女性は迫っていた


「っあ……!?」


そして、そのまま雨翔を殴って窓のガラスを破り、お互いに宙に飛ぶ。灰色髪の女性は雨翔の質問に対して答えを言い放った


「答えは……ゾンに協力してる『無』能力者だ」


「無能……力……!?」









「5区……20分。このまま7区、10区まで行ったら2時間はかかるな」


住宅街の中で歩きながら俺は呟く。一応雨翔先輩には楽な方に行ってもらった。何もなければいいが……ここ5区は住宅街で休日だと言うのに、何故か人の姿はなく……少し異様な雰囲気を感じて俺は警戒を強める。


「なんの変哲もない一軒家……だが」


とある一軒家の前で止まり、辺りを見回しながらここの家を持っていることに納得する


「まぁ、カモフラージュには最適な住宅街って言ったところだな。ゾンの家を探そうとしてここに来ることはあまり無さそうだ」


俺はとりあえずドアの前まで進んで、インターホンを押そうとしたが……考え直す


「……鳴らさないほうがいいか?」


もしここに本当に居たとしたら無闇に押して警戒させてしまうより、静かに入った方が……いやそれはそれで侵入したのがバレたら終わるか。悩ましいところだ。まぁ、一回ドアが開いてるか見てみるか。そう考えてドアを開けようとするのだが……


「……ドアは……開かない?……いやなんだこの微妙な硬さは」


開かないと見せかけて、少し力を入れれば開けれるようなドアだ。……罠……?いや、だとしたら俺たちの行動がバレていることになる……やっぱ開けるしかないか


「……暗いな。まぁ陽の光があるからマシだが……っ!?」


俺は警戒しながら玄関を進もうとした……のだが……


「ピアノ線!?」


首元、目の前にピアノ線が引いてあった。やっぱり罠だったのか!?そう思っている間もなくピアノ線が引き金だったのか、玄関の真上から4、5本ナイフが降ってくる


「くっ……!?」


俺はピアノ線から一歩下がりながらナイフを叩き落として捌くが、一本だけ肩に思い切り刺さってしまう。……不味い。非常に不味いことになった。


「酷いよね〜ハッカーに実戦させるなんてさ」


そんな俺が息を切らしているところに、家の奥から少年のような声が聞こえてくる。いや、実際に少年だった。茶髪の少年が……家の奥から出てきたのだ


「はぁっ……はぁっ……誰……だ?」


少なくともこいつはゾンじゃない気がする。黒髪黒目が……ゾンだったはずだ。


「君だよね?ゾン兄ちゃんを探してるのって」


俺の質問が聞こえなかったのか、はたまたシカトしたのかは分からないが、その茶髪の少年は俺にそのように訊いた


「だったら……なんだよ?」


「残念ながら君が求めているものはここにはないよ」


「それってどういう……」


なんだ?俺の目的はバレてるとでも言うのか?だとしたら誰が……誰が……。……王義学園か!!確かに言いかねないだろうな……あの実力主義の学園は……


「とりあえず、君はもう寝なよ」


少年がそう言うと、辺りが白く濁った煙に包み込まれる。俺は直感で毒ガスだと気づいたが……その時にはもう遅かった。


「う……くっそ……」


意識が……薄れてく……


「この人が……星乃龍弥。スタードさんの……星乃紗耶のお兄さんか」


「おま……えは……」


紗耶のことを……知ってる……?


「モンブラン、Fランクのスーパーハッカーさ。……って寝ちゃったか」

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

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