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「……あれ?」


俺は雨翔先輩の家の前でインターホンを押したのだが……反応はない。今日は休日の午前10時頃で、雨翔先輩の家に俺が迎えに行く約束だった。その後ゾンの家探しをするはず……


「……どうかしたのか……?」


俺は小さく呟いて、何かあったのかと心配になる。この時間で寝ているっていうのは……あるのか?休日だったらもしかしたらありえるのかもしれないが……雨翔先輩が約束をすっぽかす人とは思えないし……


俺は一応、ドアに鍵がかかっているか確認した。……開いてるんだが!?防犯大丈夫かよ……


「雨翔先輩〜?」


俺はドアを開けて、中に向かってはっきりと呼びかけた。多分家中には完全に俺の声が響いているはず……何も言葉は返って来ないが……。少し玄関を確認してみると、雨翔先輩の靴はある。だったら家の中にいるはずじゃあ……?


「……ごめんなさい、雨翔先輩」


申し訳ないが、入ることにしよう。……嫌なことが起こってなければいいが……。水戸さんのこともあったし……少し、いやかなり心配である


「えっと……何処に……」


俺はとりあえずリビングのドアを開ける。というか、雨翔先輩の家はリビングしか入ったことがないので、リビングしか知らないのだが。ちなみに雨翔先輩の家は2階の一軒家である


「……いた」


リビングを入って少し進んだ先にあるソファに横たわっていた。……着替えた状態で寝ているんだが、寝不足だったのか……?


「……ちがっ……僕は……」


寝言?いや、これは……


「……助けて……」


うなされてる!?起こさないと!


「雨翔先輩、雨翔先輩!」


俺は雨翔先輩を優しく揺すりながら呼びかけると……


「……嫌だ……近づかないでっ……!!」


叫びながら飛び起きた。……どんな悪夢を見てたんだ。けれど、目覚めたならよかった……のだろうか。一応、言葉をかけておいた方がいいだろう


「……雨翔先輩、大丈夫ですよ。俺です」


「あれ……なんで……星乃君……」


雨翔先輩は辺りを見回しながら、まだどういう状況なのか分かっていないようだ。


「インターホン押しても反応がなかったので……勝手に入って来てしまってすみません。大丈夫ですか?」


「うん……大丈……夫……」


雨翔先輩は額の汗を手で拭いながら、小さく弱々しい声で言った。


「……凄いうなされてましたけど、本当に大丈夫ですか?」


……心配なので、再度問うことにする。


「……ごめん、側にいてほしい……」


俺の服の袖を軽く引っ張って、俺に目を合わせずに俯いて雨翔先輩はそう言う。なら、側にいる方がいいのだろう。俺は雨翔先輩の右隣に座って微笑みながら言葉を返した


「分かりました、落ち着くまで側にいますね」






「……ほんと優しいよね……星乃君……」


数十秒の間を開けてから雨翔先輩が自身の足を見ながら独り言のように呟く。俺は雨翔先輩の方を向いて、口角をあげながら口を開いて……


「雨翔先輩だけですよ?」


と言った。雨翔先輩が自身の足から俺に視線を変え、呆気に取られたような顔をする


「……え……?」


「ははっ、冗談ですって。友達だったら誰にも優しくしますよ」


何か重い表情をしている気がしたので、違うことを考えさせようとからかうと……


「なんだ……勘違いしちゃうじゃん……」


ん?なんか思ってたのと違う反応である。勘違い……って?いやまさかそんな訳……


「雨翔先輩、もしかして本気で俺のこと好きなんですか?」


「………」


「な、なんですか?その顔は……?」


雨翔先輩は俺の顔をじっと見つめる。真顔……とも少し違うような、説明し難い複雑な表情をしている


「……やっぱり……いや、いいや……」


「え、それはなんか気になるじゃないですか」


ここまで溜めておいて言わないのは流石に気になってしまう。


「星乃君も意地悪したから、教えてあげないよ〜だ……」


雨翔先輩がニヤニヤしながら俺にそう言う。まぁ、それならしょうがないか……


「いつかは教えてくれるんですか?」


俺がそう訊くと雨翔先輩は……


「ん……どうだろうね……?」


……………………


「……えっ……えっ……?」


「その表情可愛すぎるんでやめてください」


「かわっ……!?」


「……よいしょっと……ごめんなさい。怖かったですよね」


危なかった。俺は雨翔先輩を押し倒した状態から立ち上がって、ギリギリ理性が働いたことに感謝する。……紗耶、そう俺には紗耶がいるんだから。ここで……


「…………こっち見ないでっ……!?」


「ご、ごめんなさい……」


なんでだ……最近雨翔先輩のオーラの圧力が気にならなくなってきたからか、めっちゃ可愛く見えるんだが……










「もう……酷いよ、星乃君……」


雨翔先輩が俺から顔を背けながら頬を膨らませて、俺の隣を歩いている。今は駅に向かっている最中だ。……一応遅れるかもという連絡は入れておいたが……『黒崎比奈』と会わないといけないからだ


「……マジですみません」


とはいえさっき押し倒してしまった事実は覆らないので、俺は雨翔先輩の方を向いて謝る


「僕の家に勝手に入って……その上押し倒すなんて……まぁ、星乃君だからいいけどさ……」


「俺じゃなかったら……?」


そう訊いたら雨翔先輩は真顔で言葉を返してきた


「僕の能力で殺してた……かな……?」


……よし!話題変えるか!


「……きょっ、今日は、休日だから〜ゾンの家を探すんですよね?」


俺は動揺して少し裏声を出してしまいながらも、雨翔先輩に今日やることの確認を取る


「うん……ちょっと時間はかかるけど……」


「そうそう、助っ人いますよ」


俺は突拍子もなく雨翔先輩にそう伝える。まぁ、黒崎比奈のことなのだが。そういえば、面識はあったりするのだろうか。……分からないな。


「……助っ人……?」


雨翔先輩が首を傾げる。当たり前の反応だが、俺は勿体ぶって詳細を話さずに雨翔先輩に言った。


「まぁ、割とすぐ会えるので楽しみにしててください。多分驚きますよ」


「じゃ……楽しみにしてる……!」


雨翔先輩は笑顔でそう言ってくれて、ほっとした。




だが、今日も今日とて波乱の日になることは星乃達は知らない

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

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