0.01%
俺の能力はBランクだ。平凡よりかは少し強いくらいの、しかし一番上に行くことは出来ない中途半端な人間だ。それでも、Bランクというだけである程度強力ではあるのだが……
だけれど、そもそも自分は一番上に行く気などない。やらなければいけないことをするだけだ。清院学園に来たのは、あの京宮とかいう地獄に行っても何も反省しなさそうなゴミに『学校くらい行け』と言われたからだ
ここへ来る気なんてそもそもなかった
……Bランクは、複数人の能力者を相手にしても全員倒すことが出来るレベル。これだけ聞けば、普通に十分に強いと思われるだろう。確かにその通りではある
一番下がF、無能力者
その次がE、無能力者ではないが、能力をそもそも上手く使えない者
そして、一番数が多いD、能力をある程度扱えるが大して強力でもない普通の能力者
ここから少し強くなってC、能力を使えて、その能力自体がある程度強力な能力者
俺が今属しているランクB、一般的には一番強い能力者で、Cランクの能力者を複数人でも相手に出来る
……A、軍隊を相手にしても勝てる可能性がある能力者、100万人以上の人口を誇る異能都市にも数人しかいない
それと……規格外の人外が集まるSランク。一人で世界を終わらせることが出来る
そんな奴らが世界に7人もいる。そこを「しか」と捉えるか「も」と捉えるかは個人によるが……
異能があってもこの世界は平和である
ただそれと同時に
この世界は腐っている
俺は学校によくあるような椅子に座り、机の上に乗っている黒い機械に手をかざしていると、黒い機械が淡くオレンジの色に光った。明るいライトを水の中に入れた時のような、そんな光だ
「能力ランクはBだね、中々見ないなぁ〜」
椅子に座っている試験官であろう女が言った。……元から自分のランクは知っていたので、正直どうでもいい
「これで終わりですか?」
俺は一応確認をする
「うん、これで終わり。改めて、清院学園へようこそ!」
俺は女の言葉を無視して立ち上がり、その部屋を去ろうとすると
「ちょちょ、何で無視するのさ!」
……流石に呼び止められてしまった。別に、早く帰って何かする訳でもないのだが……
それでもこんな所には居たくない
「もうちょっと、おねーさんとお話ししようよ。星乃龍弥君?」
「……早く帰らせてくださいよ」
俺は不愉快そうに言ったのだが、その女はお構いなしに言葉を放つ
「ねぇ、羽鳥真也って知ってる?」
その言葉を聞いた瞬間、俺はそいつに掴みかかった
「うわっ……ちょっ、そんな怒るくらいだったの……?」
そいつは明らかに狼狽え、驚いている。掴みかかられたのなら当然の反応だ。だが、こいつは俺の地雷を易々と踏みやがった
「次その名前を出したら……俺が味わった地獄を身を持って体験させてやるよ」
そう言って俺はその女から手を離し、落ち着く為にため息をつく。すると、彼女は観念したようで
「ははっ……すっごい力……分かった、もう言わないし詮索もしないよ」
と言った
「そうしてくれると助かる」
俺はそのまま、扉を開けてその部屋から出て行って……呼び止められることはなかった
廊下に出たら京宮が目の前に立っていた
「おいおい、そんな嫌そうな顔するなよ」
どうやら、顔に出てしまっていたようだ。出来れば無視したい所だが、どうせ呼び止められると思って俺は口を開く
「何の用だ……ですか?」
思わずタメ口を使ってしまい、慌てて直す。しかし特に京宮は気にしていないようで、俺の質問に答える
「タメ口でも僕は構わないんだけどな……まぁいい。質問に答えるとするならば、ただの監視だ。お前は隙あらば暴れる節があるからな」
多分俺があのまま、あの試験官に何かしようとしたら止めてきたんだろう。正直、あまり手を出す気はなかったが……京宮を相手にすると流石に厄介だ。手を出さなくて良かった、と心の底から思った
「……用はそれだけですか?」
俺が訊くと、京宮はポケットの中からカードのような何かを取り出し、俺に差し出してきた
「いや、これを渡そうと思ってな」
俺はそれを受け取り、そのカードに書いてある字を呟く
「学生証……」
「そうだ、学生証だ。異能都市の学生は全員持ってる。便利だから持ち歩いているといい」
俺の呟きに間髪入れずに京宮は学生証について説明する。ただ、少し違和感を覚える。カードにしては少し重量がある
「何か入ってるんですか、これ」
「確かになんか重いよな、それ」
……少し気になる程度だし、特に問題はないか。そのように結論を自分で出して、俺は再度確認する
「もう、用は済みましたか?」
「あぁ、もう済んださ。僕は職員室に戻ることにするよ」
京宮は俺に背を向けて、その場から去っていった。それと同時に後ろの扉が開く
「君、もしかして京宮さんと何か関係があるの!?」
さっきの試験官が俺に目をキラキラさせながら聞いてくる。……マジで早く帰らせてほしいのだが
「別に何も関係ないですよ」
こう言っても多分追求されるんだろうな。嫌な時の予想は大体当たる
「いやいや、絶対嘘!普通の人はあの人と話すことも出来ないんだよ!?」
案の定追求してきた……追求というか、考えの押し付けというか……。まぁどうでもいいのだが
「はぁ……俺は何を聞かれても答えませんよ」
ため息をつきながらその女に背を向けて、さっさとその場を離れようとする。しかし彼女は俺を呼び止めて
「じゃあ、一つだけ聞かせてよ!」
一つくらいならいいかと思い、俺は振り返って彼女に言う
「一つだけですよ、それも答えられる範囲でお願いします」
それを聞いた彼女はまた目を輝かせて
「あなたも、京宮さんのこと好きだよね?」
「大嫌いだ」
自分で言うのもなんだが、食い気味に即答した。俺は京宮新一という人間が大嫌いだ。多分異能都市にいる99.99%の人間があの男を好いているだろうが……。俺は0.01%だ。彼女は俺の言葉を聞いた瞬間唖然としていたが、当たり前だろう
そして彼女は聞いてきた
「なんで……?」
「それに返答する義務はないですよ。質問は一つだけですからね」
そして俺は今度こそ背を向けて、その場を去った。後ろから呼び止められようが、もう俺は前を向いて歩いている
帰る時には雨は止んでいたが、雲は空を覆っていた
どうも皆さん、わがまくです
読んで頂きありがとうございます
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