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「せ……いな……」


聖奈ちゃんが……銃で撃たれた。ただそれだけ、たったそれだけが今の一瞬で起きた


「ごめん……佳奈……ちゃん……」


聖奈ちゃんが私に倒れかかって……今にも消えそうな声で謝る。その様子を見た岩瀬は舌打ちをして……銃を捨てる。しかし今はそんなことを気にしている場合ではない


「聖奈ちゃん……聖奈ちゃん……!!死なないで……お願いだから……死んじゃ嫌だ……」


「……ごめん……わ……たし……ひど……かった……よね……」


息を切らして途切れ途切れでも……聖奈ちゃんは言葉を紡ぐ。そんな言葉に私は……頬に伝う何かを拭いながら聖奈ちゃんに向かって心から叫ぶ


「酷いわよっ……!なにもっ……何も相談しないで……私なんかを庇って……!」


「……ごめん……ね……」


聖奈ちゃんは私の言葉を聞いて……優しく微笑む。私は察してしまった


もうすぐ……


「だめっ……死んじゃ……死んじゃ嫌だ……」


「……か…な………まだ………に………な………」


聖奈ちゃんは脱力しながら私に何かを伝えようとした。だけど……もう何も……声も、鼓動も……なくなってしまった


「…………」


私は聖奈ちゃんの遺体を抱えながら、数秒立ち尽くす。そして……聖奈ちゃんを近くの巻き込まれない所に降ろして、また立ち尽くしてしまう


「終わったか?お別れは」


呆然とする私に対して、煽るようにその忌々しい男は私にそう言い放つ。私の中には色んな感情が混濁していた……悲しさ、怒り、絶望……


しかし、その言葉を聞いた瞬間には


「……ぶっ殺す」


殺意しかなかった


「夢でも見ているのか……可哀想に」


「お前がっ……殺したんだろうが!!」


更に煽るように言葉を放つそいつに私は叫びながら走って接近する。だが……


「エグいことすんなぁ、努」


聞き覚えのある声がした瞬間、私は……私は……










「っと、危な」


甲斐が気絶して前に倒れそうになる黒崎を右腕で抱えて、思わずそう呟く。岩瀬はつまらなさそうに言葉を吐き捨てる。


「……甲斐か……邪魔をするな」


甲斐はそれを聞いてため息をつき、岩瀬を宥める


「こいつは殺しちゃあかんで?てか……」


甲斐は聖奈の死体を見て……誰にも聞こえないような、小さな声で呟く


「……本当に……酷いことするなぁ」


「ハハハ!別に今に始まったことじゃないだろう?」


聞こえていたのか、岩瀬は大きく笑いながらからかうように甲斐に告げる。甲斐は呆れながらその言葉を肯定しながら黒崎を横抱きする


「まぁ……それもそうやな」


「水戸の死体はここに置いておけ。黒崎は……連れて行けそうだな」


岩瀬が甲斐に命令し、甲斐が素直にその言うことを聞いて歩き出す


「結局ワイが持ってくんかいな……まぁええけど」











「……は?」


俺は家に帰った後に……ニュースを見ていた。すると、目を疑うようなニュースが目の前に飛び込んでくる


「水戸さんが……死んだ?」


そのニュースの内容は12区のある神社で異能都市9位の少女が……


「……っ!?」


異能都市3位、黒崎佳奈に殺されたというニュースだった


「マジ……かよ……?」


俺はとてもじゃないが信じられなかった。いや、。そのニュースの内容を……信じてはいけない気がした。とは言ってもどうすれば良いんだろうか……。というか……黒崎は逃げたのか?このニュースだけじゃ情報が少なすぎる


「……行くか、行くしかねぇな」


俺は決心して呟き、立ち上がったのだった











「水戸さんは、どうしました!?」


12区の人混みから少しだけ離れた場所に立っている、異能都市の特殊警察専用のヘルメットを被って、ある程度武装している男に俺は声をかける


「確かもう遺体は運ばれたものかと……あなたは?」


「星乃龍弥、清院学園の生徒で……水戸さんの友達です、現場を見せてくれませんか!?」


思いの外丁寧に対応されたことに対して驚きながら、俺は自分でも無理だと半ば諦めていることを訊いてみる


「いや……この人混みの中それは難しいですね。それに容疑者もまだ見つかっていないので……」


「そう……ですか」


まぁ、やっぱりそうだろう。と思っていたら少しだけ特殊警察の男は俺に近づいて、俺以外に聞こえないくらいの小さな声で言った


「……現在の開放は未定とされていますが……確か、明日の朝10時頃ならここは開放されるはずです。その時なら……現場を見れるかもしれません」


「あ、ありがとうございます……教えてくれて」


まさかそんなことを教えてくれるとは思っていなかったので、動揺しながらも感謝をする。特殊警察の男も柔らかな声色で俺に対して言う


「いえいえ、お役に立てたならよかったです」


そんな時、背後から俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。聞き覚えのある声だ。


「おい、星乃!」


「……草薙」


俺は振り向いて小さく反応する。俺は立っている場所から少し離れて、草薙と一緒に話す場所を変える


「本当なのかよ……これ」


喧騒から更に離れて道路にポツンと二人きりになった時に、草薙は神社の方を向きながら信じられないという様子で呟く。……俺も、未だに信じられない。しかし事実なのだ。だから俺は小さくその言葉を肯定する


「……あぁ」


「……俺は……罪も償えないのかよっ……!」


草薙は膝をついて、悔しそうに右手の拳を固め地面を殴る。……こいつの場合は確かにキツイだろうな。自分が元々虐めていた人が……死んでしまったのだから。俺はその様子を見て黙り込むことしか出来なかった


「黒崎先輩も……行方不明なんだよな」


「……そうだな」


「クソっ……クソっ!」


また草薙はアスファルトの地面を殴る。……本当に改心しているんだな。だが、流石にこのままだと血が出かねないから止めておくか。俺はそう考えて草薙に告げる


「草薙、何もお前が背負うことじゃない。原因は他にあるはずだ」


「原因が……他にあるのか?」


草薙は俺の方を向いてそう訊く。無論その通り……のはずだ。黒崎は何か学園とは違うものが原因で水戸さんを殺した。それ以外考えられない


「そうだ。流石に調べないと分からないかもしれないが……それは逆に言えば調べれば真実は分かるってことだ」


「……俺とお前で、調べるのか?」


草薙が立ち上がりながら俺に問う。俺は少し黙って考えて……そして答えた


「……それは今後考える。でも俺とお前だけでは調べない。というか調べきれない」


「そうだよな……じゃあ……「とりあえず!今日はもう帰ろう、人混みは苦手なんだ」


俺はそこで無理矢理会話を終わらせた。人混みは苦手というのは本当ではあるが、草薙にはとりあえず寝て欲しかった。……能力を使えなさそうなくらい、動揺しているのだから


「あ、あぁ……分かった」


草薙は素直に頷き、俺はほっとした。そして俺は家に帰ろうと考え、草薙に背を向けて手を振って別れを告げる


「じゃ、また今度な」


「……あぁ、またな」


草薙の言葉を背に受けながら俺はその場から去るのだった

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

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