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紗耶編 後味の悪い決着

「……存外早かったな。力尽きるのが」


膝から崩れ落ちて、大量の汗をかいている藤原を見下ろしながら俺は言った


「はぁっ……はぁっ……クソが……!」


藤原は立ちあがろうにも立ち上がれない様子で、歯軋りしながら俺を睨んで呟く。そんな藤原に対して俺は汗一つかいていない状態で藤原の敗因を告げる。


「異能は必然的に自分の中の『エネルギー』を使う。そして、SランクとAランクはその差も加味されているんだ」


「だから……なんだよ」


「さっさと逃げればよかったのに、なんで逃げなかった?お前なら出来るだろ」


俺からすれば訳が分からないことだったのだ。少なくとも前はそれで逃げられた。あの時は致命傷を与えたから確実に仕留めたと思っていたのだが……


「お前を倒したかった……それだけだ」


……分からないな


「そうか。まぁお喋りはここまでにして……終わらせてやる」


「……最期に一つ教えてやるよ、ゾン」


銃を頭に突きつけて、終わらせようとした瞬間に藤原が口を開く


「岩瀬は、4区じゃない……1区にいる」


「なんだと?」


1区は非合法な施設なんて……


「ははっ……じゃあな」


俺が唖然としている間に藤原は突きつけている銃を奪って


「おいっ!待て!!」


自殺しやがった


「4区じゃ……ないのか?中心部の1区……まさか上層部まで……。早くモンブランに知らせないとマズイな」


俺は少し考え込むが……それは後にしようと考える


「とりあえず今は、スタードを探さないと」


そう呟いて、俺は歩き出した








「やっぱ強いんやな〜アッシュ」


「君もだろ。甲斐」


殴り合いながら広い廊下に出て、アッシュが奥に向かって甲斐を殴りつける


「っと……壁か」


甲斐は吹っ飛びながらも特に顔を顰めたりはせず、戦いを楽しんでいるのか笑顔で奥の壁までいって受け身をとり、そのように呟いた。


「何逃げようとしてるんだ?」


壁まで辿り着いて、場所を変えようと背後にまわろうとする甲斐の動きを捉え、ラリアットを決める


「は?嘘やろ?」


甲斐は壁に思い切りぶつけられる。そして、アッシュがドロップキックで追い打ちすると……壁が壊れた


「いや、ここ何階やと思ってんねん!?20階やぞ!?」


「別に君ならこれくらいどうとでも出来るだろう?」


そう言って、アッシュが甲斐を蹴り落として勢いをつけながら二人で落下していく


「ぐっ……!!」


「このままだと死ぬぞ?」


「知っとるわそんなもん……!!」


甲斐はそう言いながら、足をビルに引っ掛けながら落ちる速度を調整する。勿論その勢いは落ちるのだが……ガラスを破りながら落ちていくので足は血塗れになっていく


「おっ、マジか」


思いもよらない行動でアッシュも唖然としてしまう


「よっこらせっと……ふぅ……」


足をビルに引っ掛けて調整した落下の勢いを使ってバク転して、足をビルから外しながら地面に足をつける。


「足はボロボロにならないのか?」


アッシュは心配なのか煽りなのか、甲斐に問いかけながら受け身を取って着地する


「そんくらい鍛えとるわ」


甲斐は冷静に言葉を返して……それを聞いたアッシュは口角を上げて言い放つ


「そうか、じゃあ本気を出しても大丈夫そうだな」


刹那、アッシュが甲斐の真正面に現れ、思い切り蹴り上げる


「さっきまでは小手調べか!アッシュ!」


「君も、本気を出したらどうだ?」


上空まで飛んでいく甲斐を眺めて、アッシュはそう言った


「ったく……しゃーなしやで」


「……は?」


さっきの20階くらいまでぶっ飛ばされていた甲斐が、唐突に消えた。しかしアッシュはギリギリ見えていた。ビルを蹴って何処かに飛ぶのを。しかし何処へ飛んだかは捉えることが出来なかった


「互いに人間辞めてんねんなこれ。やけどSランクも大抵変わらへんし、言うてこんなもんなのかもしれへんな〜」


甲斐はそう呟いて、アッシュに気配を悟られずに背中を合わせて立っていた


「こんなので死なへんよ流石に」


「……もしかして私より強かったりする?」


アッシュの身体に冷たい汗が滲み出る。


「そんなことはないやろ。体術だけならな」


甲斐は少し付け足してアッシュの言葉を軽く否定する


「そうか。じゃ、これはどうだ?」


アッシュは甲斐に向かって振り向きもせずに、銃を取り出して引き金を引く


のだが……


「……ならこっちも武器使わせて貰うで」


引いた瞬間に銃と放たれた銃弾が切り捨てられた。甲斐のナイフによって綺麗に真っ二つにされたのだ


「ははっ、流石にやるな」


アッシュは乾いた笑いをしながら使い物にならなくなった銃を少しだけ観察して真上に捨てて、一歩だけ下がる。


「今度はこっちから行ったるわ」


アッシュが下がったと同時に甲斐は踏み込んで斬りかかろうとする


「いや、攻めるのは私だよ」


が、アッシュもナイフを取り出して甲斐から放たれる斬撃を真正面から受け止める


「やるやん」


甲斐がそう呟いた瞬間だった


「……私の勝ちだ」


アッシュが勝利宣言をした


「どういう……がっ……!?」


甲斐の肩にナイフが刺さる。今現在鍔迫り合いをしているナイフとは別のナイフが甲斐に刺さったのだ。その生まれた一瞬の隙をアッシュは突いて、甲斐のナイフを弾き飛ばし……ナイフを持っていない左手で首を掴んで地面に押さえつけた。そしてアッシュは甲斐に告げる


「私が投げたのは銃だけじゃないんだよ。そして……王手だ」


「あ〜くそ。まぁ、時間稼ぎはこの程度でええか。じゃあな」


甲斐は首を掴んでいるアッシュの手に触れる。すると、熱いものから反射で手を離してしまうようにアッシュの手が甲斐から離れた。それだけではなく、アッシュは身体ごと……甲斐から弾かれてしまう


「なっ……待てっ!」


甲斐はその間にすでに消えてしまっていた。アッシュは何をされたのか分からず頭を抑えて考えるが……


「どうやって抜け出して……いや、今はスタードだ」


そう自分に言い聞かせて、モンブランが言っていた方向へと走り出すのだった

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

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