異能都市4位vs異能都市7位
「僕には……まだ左手がある……!」
雨翔先輩は掴まれていない左手を掲げて、上から降り注いでくる複数の不可視の刃を受け止める。しかし、数が多いため全て受け止めることは出来ず、最後の2回の斬撃を直に受けてしまう。
「うっ……はぁっ……はぁっ……」
雨翔先輩は能力の反動で息が荒くなり……掲げた左手をダラっと下げた。その隙を勿論小野田は見逃さない。
「隙ありだ、今度こそ終わりだな」
小野田が雨翔先輩の左腕を掴んでしまった
「いっ……やめてっ……!」
「バカだな……これは決闘なんだ」
抵抗する雨翔先輩にそう言い、小野田はまた不可視の斬撃を繰り出して……雨翔先輩の身体がボロボロになってしまう。そんな王義学園の生徒が清院学園の生徒を圧倒しているという状況に、能力練習場は観戦者の歓声に包まれていく。
「これでもう両手は使えないし、まともに動けず攻撃が出来ない……どんな気分だ?最凶の異能都市4位」
小野田が言葉を吐き捨てて、雨翔先輩の身体を投げ倒す。雨翔先輩はなんとか受け身をとるが、両膝をつき、ボロボロになっている両手でなんとか身体を支えている状態だ。そんな中、雨翔先輩が俺に対して謝罪をする
「ごめん……星乃君……」
「雨翔先輩……!!」
俺はその席から立ち上がっていた。早く助けてなくてはいけない。そう思った瞬間、聞き馴染みのある大嫌いな人間の声がした。
「やめとけ」
「は!?なんでお前「黙れ、僕はお忍びで来てるんだ。騒がれたら困る」
なんと……京宮がいつの間に俺の隣に座っていた。全く気配を感じさせずにだ。俺は騒がれたら困るという言葉の圧に負けて……少し黙ってしまう。それを見た京宮は珍しく真剣な声で俺に告げる。
「雨翔を信じろ。あの子は僕の期待を裏切るほど……やわな子じゃないさ」
「そうは言っても……もう雨翔先輩は満身創痍じゃ……!」
拳を強く握りしめながら、京宮に反論するが……
「だから騒ぐな。異能都市の順位は色々あるとはいえ……基本的には崩せない」
それはそうかもしれないが……でもあんなボロボロの状態で雨翔先輩が勝てるとはとても思えないのだが……。それに、雨翔先輩は俺に謝っていたし……。俺がそう考えている中、京宮は大きく鼻から息を吸って……吐いて。そしてはっきりと告げた。
「彼女が勝つ。だって雨翔心という女の子は……異能都市4位なんだから」
雨翔先輩は立ち上がる。しかし立ち上がっただけで……その場所から動かない。やっぱり……ギリギリの状態なんじゃ……。本当にここから勝てるのか……?
「まだ立ち上がるか……その胆力とタフさは流石4位と言ったところだ。……でもな雨翔」
小野田は拍手をしながらそう言って……そしてニヤリと笑って自信満々に言葉を放つ。
「能力だったら圧倒的にこっちの方が性能が高いんだよ。それこそ、一位になれるポテンシャルがある」
「はぁっ……はぁっ……」
雨翔先輩は息を荒くしながら、片膝を落としてしまう。それを見た小野田は鼻で笑って……勝ち誇った笑みで右腕を突き出して能力の準備を始めた。
「まぁ、そんなことを聞く余裕もなさそうだな……すぐに終わらせる。これからは僕が4位だ。じゃあな、雨翔心」
そして小野田の能力が発動する。雨翔先輩は……本当に大丈夫なのか……!?
そんな俺の心配は無用だった
「……何っ!?」
「残念、でした……」
雨翔先輩がしっかりと地に足をつけて立ち上がる。まるで、さっきの攻撃がまるで効いていないかのように。一体……何が起こったんだ?雨翔先輩は手を傷つけられて、能力が使えないはずじゃ……。俺がそう考えたように、小野田も同じことを思っていたらしく、雨翔先輩に問いただす
「どうやって……!?手は使えないはずだ……!!」
「別に手をかざさないと使えないって訳じゃないよ……僕の〈枯れて落ちろ〉は……」
なんだって!?じゃあなんで最初から手を使って……いやまさか……この為のブラフか!?そうやって俺が驚いていると……雨翔先輩は最初のスピードよりも、更に速く小野田の接近して顔面を蹴っ飛ばす
「がっ……!?」
「油断したね……まぁ、今回に関しては正攻法でも勝てたけど……君は少し僕を怒らせた……」
雨翔先輩が小野田の両手首を掴んで抵抗出来ないようにする。いや待て、なんでさっきあんなにも血塗れだった手が治っているんだ!?これも小野田も同じようなことを思って、口に出す
「いつの間に手が……!?」
それに雨翔先輩は答えない。しかし、小野田に対してたった一つの敗因を告げた
「君の敗因は一つだけだよ小野田君……。驕りすぎたんだよ、君は……」
「くっ……!!まだ、勝負は決まってないだろ!雨翔!」
小野田がそう言い返す。そして右足を上げて雨翔先輩を蹴り上げようとするが……最初から行動が分かっているかのように雨翔先輩は左足で小野田の足を踏み付け、行動不能にさせ更に告げる
「いいや、決まりだね……君は何回僕に触れたかな……?」
「なんだと……?まさか……まさか最初から!!」
小野田は何かに気づいたようにそう叫ぶ。雨翔先輩は最初から〈枯れて落ちろ〉を触れた瞬間に発動させていた……?雨翔先輩の能力は……攻撃を掻き消すような能力じゃなくて……まさか……
「今の君の能力の出力は紙切れ程度で……瞬間移動なんか出来やしない……」
まさか……力を吸収する能力!?手が治ったのも、吸収した力を再生力に変えたからか!?チートすぎるだろ……いや……異能都市4位だから、これくらいは当たり前だったりするのか……?
「くっ……クソがあああ!!!」
小野田は叫んで、身体を動かして必死に抵抗しようとするのだが……ピクリとも雨翔先輩は動じない。その状況を見た俺はやっと確信した
雨翔先輩が勝つ
「チェックメイト……君は最初から僕に戦いを挑んだ時点で、詰んでいたんだ……」
雨翔先輩は唯一空いている右足を小野田が触れれない所まで高く足を上げて……振り下ろした
観戦者の誰もが見惚れるくらい綺麗な……かかと落としである
「……かっこよ……」
俺は思わずそう呟いていた。そんな俺の肩の京宮は手を置いて、自慢気に言った
「ほら、言っただろ。雨翔が勝つって」
俺はサッと肩に置かれた手を振り払って、京宮が言ったその言葉に同意する
「どうやらマジでそうだったみたいだな……」
『勝者!雨翔心!!』
能力練習場のアナウンスもそのように告げた。観戦者の雰囲気はそれぞれだ……悲しんでいたり興奮していたり小野田にキレてる奴もいるが……そんな中雨翔先輩がこちらに近づいて来て、とびきりの笑顔で俺に伝える
「星乃君……!僕勝ったよ……!!」
「最高です雨翔先輩!!ありがとうございます!!」
俺も笑顔でそう言葉を返した。それを聞いた雨翔先輩は照れながら喜んでいる。……やっぱ可愛いな
「えへへっ……!」
そんな状況を見て、京宮は俺に対して笑顔で言う
「青春だな、星乃。清院に来てよかったろ」
「う……うるせぇ!お、お前にはカンケーないだろ!」
俺はどもりながら京宮に言い返す。それを聞いた京宮は表情を全く変えずに笑いながら俺に告げる
「ははっ、明日学校来ないとぶち殺すからな」
「あ、はい……すみませんでした……」
そういえば普通にサボってこっちに来てるんだよな……というのを半ば強制的に思い出してしまった
それでもまぁ……一旦王義学園で起こったことは一件落着である
どうも皆さん、わがまくです
読んでいただきありがとうございます
良ければブックマーク、感想評価しやがれください
異能都市の小ネタ13
雨翔心の能力は余裕でチートレベル




